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305 マイコナンバー11
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不知火マイコに悪い噂が立ち始めた。
勇太に悪意はなくても、一番の被害者とでもいうべき女性になってしまった。
凛々しい彼女がパラレル市に移住した目的はひとつだけ。
柔道63キロ級の代表で2026年のニース五輪に出るため、己を鍛えるのに最適だから来た。
実際にパラレル市で過ごす時間のほとんどが柔道漬け。
ただ、そのマイコの姿勢に、勇太ファミリーのみんなが好感を持ってしまった。
だからカオル同様に全力で応援したい勇太の方から関わり始めている。
マイコの時間を取らないように、練習の休憩時間に誕生日を祝ったりした。
時間は短い。けれど、視聴者から見たら一回一回の接触が濃い。
もちろん練習メインだけど、技の反復練習に熱中しすぎて距離が近い。
その流れからマッサージだからヤバかった。
マイコは、イキ顔をネット上にさらしてしまった。ただし、よだれ垂れ流しとかではない。
美形であるマイコのイキ顔は可愛かった。限界まで我慢して、達したあとも歯を食いしばっていた。
耐えるメス顔はノーマル肉食女子にウケた。
同時に美少年が寝バックで勇太に果てさせられた姿にも見え、BL作品を好む腐った女子の間では人気が爆上がりしている。
早くも、濡れ場多めの恋愛映画『純愛、モザイク無し』の出演オファーなど、芸能活動へのお誘いが再び殺到している。
これには勇太が反省した。
マイコの求道者的でストイックな本質を理解したのに、勇太がマイコの日常を壊しそうになっている。
映像を見れば勇太から接触している。けれどマイコの出現場所が勇太のテリトリーでもある。
完全に、勇太目当てにパラレル体育大学に進学を決めたと言われるようになってしまった。
マイコが覚悟していたとはいえ、事態が動くのが早い。
さすがに勇太も、自分とマイコの注目度を改めて考えたら当たり前だった。
緊急事態だ。ファミリー8人全員集合。
呼ばなくても肝心なときには集まる。これが勇太ファミリーだ。
早くも女性客からスマホが向けられて動画が撮られている。
・・・・・・
嫁ズと勇太でマイコのことを話し合った。ひとつの結論も出た。
そのときだ。
なんとマイコ本人がカフェに飛び込んできた。
「すまない勇太君、私がキミのマッサージで醜態をさらしたせいで、キミに迷惑をかけてる」
「え、なんですか、それ」
自分の方が迷惑をかけたと思っている勇太は戸惑った。
「ネットの一部で書き込まれていたよ。キミが厚意で私に色々としてくれたのに、それはキミの売名行為だと・・」
「なんでですか?」
「なんというか、私も気にしていないが、キミは調停で敗訴歴があるだろう。それを突くネット民も多いのだよ」
「今後もあるでしょうけど、それは過去の俺自身のせい。それとなんの関係が・・」
「調停のことを言われることがある勇太君と、自分で言うのもなんだが、女子ウケがいい私が絡み始めた。私を利用して勇太君が汚名返上を目論んでいるとか・・」
マイコは、勇太の行動が純粋な厚意だと分かっている。だから言葉を続ける。
「実際には違うのに、私の迂闊さで勇太君に迷惑をかけている。だから・・」
マイコは『もう2度と、勇太君に前には現れない』と続けようとしたが・・。勇太の方が先読みしていた。
「待ってマイコさん」
「・・マイコ?」
マイコはドキンとした。いきなり勇太に名前で呼ばれた。
勇太は、嫁ズとマイコ絡みの話を始めたとき、久々に前世感覚に切り替わっていた。
マイコのことでは花京院夏樹に怒った。
彼は暴女に襲われそうになってマイコに助けられたくせに、十分な感謝もしなかった。
それに憤っている勇太だから、男性優位なパラレルワールドの常識に馴染む気はない。
彼女は勇太に迷惑をかけたと言っているが、勇太のデメリットなんて微々たるもの。
こんな尊敬できると思うようになった女性が、自分のせいで多くの人に嫌われようとしている。
彼女は五輪出場のために、北海道の仲間を捨て、友人を裏切ってまでパラレル市に来た。
ネットなどで中傷誹謗が増えても、それを受け入れて柔道に集中している。
そんな人の評価を下げようとしているのは自分だ。
それなのにマイコは勇太を気遣うのみ。
自分がマイナス材料を背負ったまま、勇太から離れようとしている。
そんなことはさせない。
絶対に守る。
重婚世界だから、勇太と嫁ズに結論は出ている。
「マイコさん。返事は来年のオリンピック挑戦後に下さい」
「な、なにを・・」
「柔道に一段落ついたとき、他のことも考える余裕ができたら、俺達のファミリーに入ることを考えてもらえませんか」
「え、え、そ、それは・・。私はそんな大それたことは望んで・・」
「今のマイコさんが柔道のことしか考えていないのは、分かってます。これは俺からの一方的な申し込みです」
周囲の女性客がどよめいた。
「け、けれど、嬉しいけれど、ファミリーのみなさんは・・」
梓、カオルが立ち上がった。
「私達嫁ズ7人は、全員が賛成です。もちろん返事を急かしたりしません」
「不知火さん、OKしなよ。男前キャラな不知火さんや、がさつなアタイを受け入れてくれる男なんて勇太しかいないっ・・もがが」
余計なことを言うカオルはルナ、真子、純子に羽交い締めされた。
思いがけない申し出に、マイコは涙ぐみながら頷いた。
早くも、ネット上には勇太の8人目の嫁誕生と出ている。
勇太がマイコの手を取ろうとしたときだ。
「ちょっと待つっす~」
「8番目ってなんですか~」
「保留」
なんと、次の嫁候補を自称していた柔道部1年の長谷川三姉妹がカフェに飛び込んできた。
キヨミが勇太のところに来て言った。
「8ダメ」
「どうしてダメなんだ、キヨミ」
勇太はキヨミに甘い。
そしてマルミとタマミが口を開いた。
「不知火さん、私、長谷川マルミがナンバー8っす」
「私こと長谷川タマミのナンバー9、キヨミのナンバー10も譲れません」
キヨミがマイコに近付いて手を取った。
「マイコナンバー11」
マイコは呆気に取られたけど、笑顔で頷いた。
「ああキヨミ、そういうことね。マイコさんのことを反対なんじゃなくてナンバーの問題ね・・あれ?」
ネットにはリアルタイムで流れていた。
マイコの流れに乗って、自分達の嫁入りを確定させた長谷川三姉妹だ。
勇太に悪意はなくても、一番の被害者とでもいうべき女性になってしまった。
凛々しい彼女がパラレル市に移住した目的はひとつだけ。
柔道63キロ級の代表で2026年のニース五輪に出るため、己を鍛えるのに最適だから来た。
実際にパラレル市で過ごす時間のほとんどが柔道漬け。
ただ、そのマイコの姿勢に、勇太ファミリーのみんなが好感を持ってしまった。
だからカオル同様に全力で応援したい勇太の方から関わり始めている。
マイコの時間を取らないように、練習の休憩時間に誕生日を祝ったりした。
時間は短い。けれど、視聴者から見たら一回一回の接触が濃い。
もちろん練習メインだけど、技の反復練習に熱中しすぎて距離が近い。
その流れからマッサージだからヤバかった。
マイコは、イキ顔をネット上にさらしてしまった。ただし、よだれ垂れ流しとかではない。
美形であるマイコのイキ顔は可愛かった。限界まで我慢して、達したあとも歯を食いしばっていた。
耐えるメス顔はノーマル肉食女子にウケた。
同時に美少年が寝バックで勇太に果てさせられた姿にも見え、BL作品を好む腐った女子の間では人気が爆上がりしている。
早くも、濡れ場多めの恋愛映画『純愛、モザイク無し』の出演オファーなど、芸能活動へのお誘いが再び殺到している。
これには勇太が反省した。
マイコの求道者的でストイックな本質を理解したのに、勇太がマイコの日常を壊しそうになっている。
映像を見れば勇太から接触している。けれどマイコの出現場所が勇太のテリトリーでもある。
完全に、勇太目当てにパラレル体育大学に進学を決めたと言われるようになってしまった。
マイコが覚悟していたとはいえ、事態が動くのが早い。
さすがに勇太も、自分とマイコの注目度を改めて考えたら当たり前だった。
緊急事態だ。ファミリー8人全員集合。
呼ばなくても肝心なときには集まる。これが勇太ファミリーだ。
早くも女性客からスマホが向けられて動画が撮られている。
・・・・・・
嫁ズと勇太でマイコのことを話し合った。ひとつの結論も出た。
そのときだ。
なんとマイコ本人がカフェに飛び込んできた。
「すまない勇太君、私がキミのマッサージで醜態をさらしたせいで、キミに迷惑をかけてる」
「え、なんですか、それ」
自分の方が迷惑をかけたと思っている勇太は戸惑った。
「ネットの一部で書き込まれていたよ。キミが厚意で私に色々としてくれたのに、それはキミの売名行為だと・・」
「なんでですか?」
「なんというか、私も気にしていないが、キミは調停で敗訴歴があるだろう。それを突くネット民も多いのだよ」
「今後もあるでしょうけど、それは過去の俺自身のせい。それとなんの関係が・・」
「調停のことを言われることがある勇太君と、自分で言うのもなんだが、女子ウケがいい私が絡み始めた。私を利用して勇太君が汚名返上を目論んでいるとか・・」
マイコは、勇太の行動が純粋な厚意だと分かっている。だから言葉を続ける。
「実際には違うのに、私の迂闊さで勇太君に迷惑をかけている。だから・・」
マイコは『もう2度と、勇太君に前には現れない』と続けようとしたが・・。勇太の方が先読みしていた。
「待ってマイコさん」
「・・マイコ?」
マイコはドキンとした。いきなり勇太に名前で呼ばれた。
勇太は、嫁ズとマイコ絡みの話を始めたとき、久々に前世感覚に切り替わっていた。
マイコのことでは花京院夏樹に怒った。
彼は暴女に襲われそうになってマイコに助けられたくせに、十分な感謝もしなかった。
それに憤っている勇太だから、男性優位なパラレルワールドの常識に馴染む気はない。
彼女は勇太に迷惑をかけたと言っているが、勇太のデメリットなんて微々たるもの。
こんな尊敬できると思うようになった女性が、自分のせいで多くの人に嫌われようとしている。
彼女は五輪出場のために、北海道の仲間を捨て、友人を裏切ってまでパラレル市に来た。
ネットなどで中傷誹謗が増えても、それを受け入れて柔道に集中している。
そんな人の評価を下げようとしているのは自分だ。
それなのにマイコは勇太を気遣うのみ。
自分がマイナス材料を背負ったまま、勇太から離れようとしている。
そんなことはさせない。
絶対に守る。
重婚世界だから、勇太と嫁ズに結論は出ている。
「マイコさん。返事は来年のオリンピック挑戦後に下さい」
「な、なにを・・」
「柔道に一段落ついたとき、他のことも考える余裕ができたら、俺達のファミリーに入ることを考えてもらえませんか」
「え、え、そ、それは・・。私はそんな大それたことは望んで・・」
「今のマイコさんが柔道のことしか考えていないのは、分かってます。これは俺からの一方的な申し込みです」
周囲の女性客がどよめいた。
「け、けれど、嬉しいけれど、ファミリーのみなさんは・・」
梓、カオルが立ち上がった。
「私達嫁ズ7人は、全員が賛成です。もちろん返事を急かしたりしません」
「不知火さん、OKしなよ。男前キャラな不知火さんや、がさつなアタイを受け入れてくれる男なんて勇太しかいないっ・・もがが」
余計なことを言うカオルはルナ、真子、純子に羽交い締めされた。
思いがけない申し出に、マイコは涙ぐみながら頷いた。
早くも、ネット上には勇太の8人目の嫁誕生と出ている。
勇太がマイコの手を取ろうとしたときだ。
「ちょっと待つっす~」
「8番目ってなんですか~」
「保留」
なんと、次の嫁候補を自称していた柔道部1年の長谷川三姉妹がカフェに飛び込んできた。
キヨミが勇太のところに来て言った。
「8ダメ」
「どうしてダメなんだ、キヨミ」
勇太はキヨミに甘い。
そしてマルミとタマミが口を開いた。
「不知火さん、私、長谷川マルミがナンバー8っす」
「私こと長谷川タマミのナンバー9、キヨミのナンバー10も譲れません」
キヨミがマイコに近付いて手を取った。
「マイコナンバー11」
マイコは呆気に取られたけど、笑顔で頷いた。
「ああキヨミ、そういうことね。マイコさんのことを反対なんじゃなくてナンバーの問題ね・・あれ?」
ネットにはリアルタイムで流れていた。
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