306 / 320
306 団子なさんしまい
しおりを挟む
勇太は嫁が4人も増えることになった。
前世感覚で相手の親への挨拶が必要と思っている勇太は、さっそく行動に移すことにした。
不知火マイコの家族は4人で母親ふたりと妹ふたり。
3月なかばに北海道に一時帰郷だから、勇太も付いて行って挨拶する。
「勇太君の誠実さが私の心にも染み渡った。けれど、私達は厳密には付き合ってもいないし・・」
「いえ、マイコさんの五輪挑戦が終わるまで待つとはいっても、結婚を前提としたお付き合いを申し込むと宣言しました。返事に関係なく俺は親御さんへの挨拶が必要だと思ってます」
「けっ、結婚・・あ、ありがとう」
マイコの顔が真っ赤だ。女の子の顔だ。
あえて、カフェの中で言った。ざわついている。
『け、結婚・・』
『勇太君、はっきり言ったよね』
『マイコさん、真っ赤だ』
『一瞬、メス顔だ~。うらやましい』
当の本人であるマイコだけでなく、周囲からも称賛の声が上がった。
勇太からぐいぐいいく感じしか見せない。
勇太がマイコを知名度を上げるために利用しようとしているという意見は、ネット上で増える。
代わりに、マイコが勇太目当てパラレル市に来たという悪い噂は流れなくなる。
勇太的には100点なのだ。
このリアルタイム放映を花京院夏樹が見ている。ショックを受けている。
隣で伊集院君は、「やっぱり僕の親友は格好いいな」と呟いている。
この世界で珍しいBSSが起こってしまった。
◆
さて次の日には、勇太は長谷川三姉妹の家に向かっている。
いずれそうなると思っていた。けれど、不知火マイコに乗じて嫁ズ入りを3人まとめて前倒しで確定させられた。
なので律儀な勇太は親御さんに挨拶に行く。
長谷川家は、母親4人、祖母2人で和菓子屋を営んでいる。
娘は三姉妹を入れて6人の構成。
重婚ありのこの世界、間門嘉菜の母親達で作った『マカド』と同じように、一緒に何かを経営するとき籍を入れることが多い。
これは勇太前世とは違うが便利。
お互いの信頼があるなら、もしもの時の権利譲渡が非常に簡単になる。なにせ配偶者だから。
実際に3姉妹の母親といえる人は実質的には3人で、ひとりは仕事だけの繋がりに近いとか。
またマルミ、タマミ、キヨミは人口受精ではなく父親がいる。
認知されているが、遠方に住んでいて会うのは年に1度。なので父親への挨拶は機会があれば、程度。
今回は勇太だけでなく、柔道部繋がりでルナ、ファミリーを取り仕切る梓、暇だった麗子を伴って三姉妹の家に来た。
三姉妹は勇太の現在の嫁ズとも籍を入れるから、当然の流れでもある。
パラレル駅から2駅離れた場所の駅近く。呉服店とか「和」な感じの店が並ぶ一角に到着。
『長谷川和菓子店』の看板があり営業中だ。
「いらっしゃいませ~」
「ゲルミかあさ~ん、みんな来てくれましたよ~」
「婿来訪」
「まあまあ、いらっしゃい」
三姉妹を生んだゲルミ母さんが出てきてくれた。
そして店の中には山ほど人がいる。三姉妹が思い切り宣伝していた。
マルミがピンク、タマミが白、キヨミが薄緑の着物を着て接客している。
店は大きく、入って左の方には喫茶コーナーもある。
そこに、みんなで座った。勇太は和菓子を買いに来たことがあり、母親達とは一応の面識もある。
母親全員が仕事の手を止めて勇太の前に来た。
お客さんのスマホだけでなく、長谷川家のビデオカメラも向けられている。
男子の公開挨拶は珍しいのだ。
「ゲルミさん、他のお母さん方、娘さん達との結婚を前提としたお付き合いを認めていただきに来ました」
「どうぞ~。もちろん大歓迎ですよ」
一通り、簡単な挨拶を終えてお茶を出された。お茶請けは三色ダンゴだった。
勇太は、そういえばと思った。
三色ダンゴは、勇太前世と同じ順番で串に刺さり、意味も同じ。
上からピンク、白、緑。
マルミ、タマミ、キヨミが三つ子だから、仲良しな3人はダンゴの色を自分のテーマカラーにしていると聞いた。
マルミが桜を現すピンク。
タマミが雪を表現した白。
そしてキヨミが新緑をイメージした緑。
勇太は知らないが、勇太の前世と三色ダンゴの色の意味は一致する。
キヨミが勇太の前で着物を見せた。「ダンゴ色と一致」
ある意味、晴れの日である本日は三姉妹で話して着物を決めたそうだ。
「キヨミ、可愛いぞ。もちろんみんなもな」
「にへ」
「勇太先輩」「先輩」
「どうしたマルミ、タマミ」
「せっかくだから、私達に何か歌ってほしいっす」
「そうです。選曲は何でもいいんで、記念にしたいです」
「ちっと待てよ。そうだな~~」
三色ダンゴを見て閃いた。いや、閃いたというより前世の人気曲を前から思い出していた。
ダンゴに刺さった三兄妹の歌で、タンゴ風のリズムで歌っていたやつだ。歌詞は即興で考えた。
「三姉妹のテーマ。こんなのどうだ?」
♪♪♪♩♩₤₤♪♩
ダンゴを掲げた勇太がアカペラで前奏を奏で始めた。ルナ達も聞いたことがないやつだ。
「桜の頬ならマルミ♪♪♩♩、純白少女のタマミ♪♩₮、新緑の中からキヨミ♪♪♩♩」
♩♩♪₤₮♩♩
嫁ズと三姉妹で手拍子した。ノリがいい曲。
「いつも仲良くくっつうて~~、ダンゴなさんしまい♪♩」
「ありがとうっす」
「ありがとうございます!」
「感謝」
『勇太君、また新曲だ』
『三つ子のダンゴだ』
今回は流れで三姉妹のテーマソングになった。個々の歌は、改めて作ることにした。
この歌自体はウケた。
長谷川和菓子店の発信から、和菓子と団子のテーマとして親しまれていくことになる。
前世感覚で相手の親への挨拶が必要と思っている勇太は、さっそく行動に移すことにした。
不知火マイコの家族は4人で母親ふたりと妹ふたり。
3月なかばに北海道に一時帰郷だから、勇太も付いて行って挨拶する。
「勇太君の誠実さが私の心にも染み渡った。けれど、私達は厳密には付き合ってもいないし・・」
「いえ、マイコさんの五輪挑戦が終わるまで待つとはいっても、結婚を前提としたお付き合いを申し込むと宣言しました。返事に関係なく俺は親御さんへの挨拶が必要だと思ってます」
「けっ、結婚・・あ、ありがとう」
マイコの顔が真っ赤だ。女の子の顔だ。
あえて、カフェの中で言った。ざわついている。
『け、結婚・・』
『勇太君、はっきり言ったよね』
『マイコさん、真っ赤だ』
『一瞬、メス顔だ~。うらやましい』
当の本人であるマイコだけでなく、周囲からも称賛の声が上がった。
勇太からぐいぐいいく感じしか見せない。
勇太がマイコを知名度を上げるために利用しようとしているという意見は、ネット上で増える。
代わりに、マイコが勇太目当てパラレル市に来たという悪い噂は流れなくなる。
勇太的には100点なのだ。
このリアルタイム放映を花京院夏樹が見ている。ショックを受けている。
隣で伊集院君は、「やっぱり僕の親友は格好いいな」と呟いている。
この世界で珍しいBSSが起こってしまった。
◆
さて次の日には、勇太は長谷川三姉妹の家に向かっている。
いずれそうなると思っていた。けれど、不知火マイコに乗じて嫁ズ入りを3人まとめて前倒しで確定させられた。
なので律儀な勇太は親御さんに挨拶に行く。
長谷川家は、母親4人、祖母2人で和菓子屋を営んでいる。
娘は三姉妹を入れて6人の構成。
重婚ありのこの世界、間門嘉菜の母親達で作った『マカド』と同じように、一緒に何かを経営するとき籍を入れることが多い。
これは勇太前世とは違うが便利。
お互いの信頼があるなら、もしもの時の権利譲渡が非常に簡単になる。なにせ配偶者だから。
実際に3姉妹の母親といえる人は実質的には3人で、ひとりは仕事だけの繋がりに近いとか。
またマルミ、タマミ、キヨミは人口受精ではなく父親がいる。
認知されているが、遠方に住んでいて会うのは年に1度。なので父親への挨拶は機会があれば、程度。
今回は勇太だけでなく、柔道部繋がりでルナ、ファミリーを取り仕切る梓、暇だった麗子を伴って三姉妹の家に来た。
三姉妹は勇太の現在の嫁ズとも籍を入れるから、当然の流れでもある。
パラレル駅から2駅離れた場所の駅近く。呉服店とか「和」な感じの店が並ぶ一角に到着。
『長谷川和菓子店』の看板があり営業中だ。
「いらっしゃいませ~」
「ゲルミかあさ~ん、みんな来てくれましたよ~」
「婿来訪」
「まあまあ、いらっしゃい」
三姉妹を生んだゲルミ母さんが出てきてくれた。
そして店の中には山ほど人がいる。三姉妹が思い切り宣伝していた。
マルミがピンク、タマミが白、キヨミが薄緑の着物を着て接客している。
店は大きく、入って左の方には喫茶コーナーもある。
そこに、みんなで座った。勇太は和菓子を買いに来たことがあり、母親達とは一応の面識もある。
母親全員が仕事の手を止めて勇太の前に来た。
お客さんのスマホだけでなく、長谷川家のビデオカメラも向けられている。
男子の公開挨拶は珍しいのだ。
「ゲルミさん、他のお母さん方、娘さん達との結婚を前提としたお付き合いを認めていただきに来ました」
「どうぞ~。もちろん大歓迎ですよ」
一通り、簡単な挨拶を終えてお茶を出された。お茶請けは三色ダンゴだった。
勇太は、そういえばと思った。
三色ダンゴは、勇太前世と同じ順番で串に刺さり、意味も同じ。
上からピンク、白、緑。
マルミ、タマミ、キヨミが三つ子だから、仲良しな3人はダンゴの色を自分のテーマカラーにしていると聞いた。
マルミが桜を現すピンク。
タマミが雪を表現した白。
そしてキヨミが新緑をイメージした緑。
勇太は知らないが、勇太の前世と三色ダンゴの色の意味は一致する。
キヨミが勇太の前で着物を見せた。「ダンゴ色と一致」
ある意味、晴れの日である本日は三姉妹で話して着物を決めたそうだ。
「キヨミ、可愛いぞ。もちろんみんなもな」
「にへ」
「勇太先輩」「先輩」
「どうしたマルミ、タマミ」
「せっかくだから、私達に何か歌ってほしいっす」
「そうです。選曲は何でもいいんで、記念にしたいです」
「ちっと待てよ。そうだな~~」
三色ダンゴを見て閃いた。いや、閃いたというより前世の人気曲を前から思い出していた。
ダンゴに刺さった三兄妹の歌で、タンゴ風のリズムで歌っていたやつだ。歌詞は即興で考えた。
「三姉妹のテーマ。こんなのどうだ?」
♪♪♪♩♩₤₤♪♩
ダンゴを掲げた勇太がアカペラで前奏を奏で始めた。ルナ達も聞いたことがないやつだ。
「桜の頬ならマルミ♪♪♩♩、純白少女のタマミ♪♩₮、新緑の中からキヨミ♪♪♩♩」
♩♩♪₤₮♩♩
嫁ズと三姉妹で手拍子した。ノリがいい曲。
「いつも仲良くくっつうて~~、ダンゴなさんしまい♪♩」
「ありがとうっす」
「ありがとうございます!」
「感謝」
『勇太君、また新曲だ』
『三つ子のダンゴだ』
今回は流れで三姉妹のテーマソングになった。個々の歌は、改めて作ることにした。
この歌自体はウケた。
長谷川和菓子店の発信から、和菓子と団子のテーマとして親しまれていくことになる。
40
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる