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15 アリアの大切な場所
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アリアと一緒に、アリアが世話になってきた孤児院に付いた。
人口5万人、マクハリの町外れ。東側の海に近い古い建物だ。代わりに、沿岸警備隊の詰所が近くにあり、治安は良さそう。
ただすれ違う人々がアリアを見て舌打ちしたり、「孤児院の獣人の仲間か」と平気で口にした。
逆に、私を見て顔を赤くした男もいたりした。
周りに建物がない、殺風景な海の近くに孤児院はあった。
もう薄暗い。明かりが付いてるけど、窓以外から光が漏れてる。孤児院育ちの私も覚えがある。
所々に隙間があるってことだ。
ドアを叩きながら「アリアだよ~」
中から、ドタドタと足音がする。
「アリア姉ちゃん」
「お帰り!」
「アリアちゃん、お帰り!」
犬耳で7歳くらいの男の子がアリアに飛び付いた。
冒険者ギルドと違って、大歓迎だ。
「アリア、よく来てくれたね。ちょうど晩御飯の時間だよ。あれ?そちらの綺麗な方は?」
私は頭を下げた。
「冒険者サラ。アリアにこれから世話になるモンだ」
口が悪いのは勘弁して欲しい。
「まあまあどうぞ」
シスターは歓迎してくれる。
子供は、ぴったり10人。
13~14歳くらいの男女一組。あとは10歳未満。アリアの膝に乗ってる最年少が4歳くらい。
種族はヒト族と獣人族。
食卓を見ると、じゃが芋1個に薄いスープ。見事にレトロの孤児院と似てる。
私は細かいやり取りはしない。
「シスター、厨房借りるぜ」
「え?どうぞ・・」
シスターは手ぶらの私が何をするのか分からない。
荷物は全部、無限収納の中だ。
色々と買ってきた。フライパン、塩、ハーブ、パン。色々と並べたあと、解体したボア肉を出した。
これでも、孤児院で料理してたから、メシ作れるんだぜ。
ラード代わりにオークの脂身を茶色になるまで炒める。じゅわ~、っと油が弾ける音と共に、いい匂いが充満する。
パタパタと足音がして、子供達が集まってきた。
次々と肉を切って焼いていく。
大皿を収納から出して、テーブルに運んでドンッ。
パン20個付きだ。
「さあ食え。ボアステーキだ」
「うわあ!」
「いいの、アリア姉ちゃんのお友達」
「サラだ。よろしくな!」
レトロの孤児院でも、新しく来た子には腫れ物みたくでなく、いきなり距離を詰めた。
シスターにはアリアが説明してくれたみたいで、恐縮しながらもボアステーキを食べてくれた。
◆◆
これも配信した。
コメント欄
『黒目、黒髪の子供なんて初めて見た』
ん?
『だよな。アストリアに来る召喚者は最低でも18歳』
『黒髪は遺伝しないし、アストリアにはいないよね』
『みんな可愛い~』
おおっ。そうだ、みんな可愛いし、こっちも何かしてもらって配信したらウケそうだ。
「サラさん」
年長の子供ふたりが来た。ヒト族男子がベンで猫獣人女子がハンナ。どちらも13歳。
「今日は、ありがとうございました」
「それに、何日分もありそうなお肉まで」
「それで・・」
ハンナが私の力の片鱗に気付いた。大したものだ。
そして、普通なら図々しいお願いをされた。
「ダ、ダンジョンで私達ふたりを鍛えて欲しいんです」
やっぱり、目的は孤児院の弟妹の食費稼ぎだ。
アリアが時々、支援してくれる。だけど、この孤児院は獣人を受け入れてあるから、街の人からの寄付が少ない。
だけど私には疑念がある。ベンだ。
「ベン、おめえはヒト族だろ。獣人とパーティーを組む気はあるのか?」
「僕は、生まれた時からここにいます。サラさんが心配するような偏見は持ってません」
「ふむ」
どうやら、私にとってまともと思えるヒト族もいるようだ。
「分かった。明日から、一緒にメッセ中級ダンジョンに行ってみよう」
「は、はい」
「分かりました」
そういえば、『勇者と5つのオーブ』も、使徒と勇者だけストーリーの中で固定されていた。
あとは場所によって、ゲストキャラが加わったり、傭兵を雇ったりしてたような・・
ゲーム中でも、最初に臨時メンバーになるのが、種族は違うがベンとハンナだそうだ。
まさかとは思うが、偶然だよな。
このとき、孤児院内でドロンが飛び、アリアと子供達の触れ合いを撮影していた。私が知らないとこでウケていた。
コメント欄も大興奮。
『可愛い~』
『私も黒髪の子供を抱っこしたい~』
などなど、大ウケだった。
この中に大切な警告が入っていたことを見逃した。
『勇者と5つのオーブのストーリー通りなら、神託から2日後に始まりの街・チバ近郊の海辺が邪龍軍、今回のヤマト世界では魔王軍かな。その侵攻を食らうはず。まさかとは思うけどねwww』
人口5万人、マクハリの町外れ。東側の海に近い古い建物だ。代わりに、沿岸警備隊の詰所が近くにあり、治安は良さそう。
ただすれ違う人々がアリアを見て舌打ちしたり、「孤児院の獣人の仲間か」と平気で口にした。
逆に、私を見て顔を赤くした男もいたりした。
周りに建物がない、殺風景な海の近くに孤児院はあった。
もう薄暗い。明かりが付いてるけど、窓以外から光が漏れてる。孤児院育ちの私も覚えがある。
所々に隙間があるってことだ。
ドアを叩きながら「アリアだよ~」
中から、ドタドタと足音がする。
「アリア姉ちゃん」
「お帰り!」
「アリアちゃん、お帰り!」
犬耳で7歳くらいの男の子がアリアに飛び付いた。
冒険者ギルドと違って、大歓迎だ。
「アリア、よく来てくれたね。ちょうど晩御飯の時間だよ。あれ?そちらの綺麗な方は?」
私は頭を下げた。
「冒険者サラ。アリアにこれから世話になるモンだ」
口が悪いのは勘弁して欲しい。
「まあまあどうぞ」
シスターは歓迎してくれる。
子供は、ぴったり10人。
13~14歳くらいの男女一組。あとは10歳未満。アリアの膝に乗ってる最年少が4歳くらい。
種族はヒト族と獣人族。
食卓を見ると、じゃが芋1個に薄いスープ。見事にレトロの孤児院と似てる。
私は細かいやり取りはしない。
「シスター、厨房借りるぜ」
「え?どうぞ・・」
シスターは手ぶらの私が何をするのか分からない。
荷物は全部、無限収納の中だ。
色々と買ってきた。フライパン、塩、ハーブ、パン。色々と並べたあと、解体したボア肉を出した。
これでも、孤児院で料理してたから、メシ作れるんだぜ。
ラード代わりにオークの脂身を茶色になるまで炒める。じゅわ~、っと油が弾ける音と共に、いい匂いが充満する。
パタパタと足音がして、子供達が集まってきた。
次々と肉を切って焼いていく。
大皿を収納から出して、テーブルに運んでドンッ。
パン20個付きだ。
「さあ食え。ボアステーキだ」
「うわあ!」
「いいの、アリア姉ちゃんのお友達」
「サラだ。よろしくな!」
レトロの孤児院でも、新しく来た子には腫れ物みたくでなく、いきなり距離を詰めた。
シスターにはアリアが説明してくれたみたいで、恐縮しながらもボアステーキを食べてくれた。
◆◆
これも配信した。
コメント欄
『黒目、黒髪の子供なんて初めて見た』
ん?
『だよな。アストリアに来る召喚者は最低でも18歳』
『黒髪は遺伝しないし、アストリアにはいないよね』
『みんな可愛い~』
おおっ。そうだ、みんな可愛いし、こっちも何かしてもらって配信したらウケそうだ。
「サラさん」
年長の子供ふたりが来た。ヒト族男子がベンで猫獣人女子がハンナ。どちらも13歳。
「今日は、ありがとうございました」
「それに、何日分もありそうなお肉まで」
「それで・・」
ハンナが私の力の片鱗に気付いた。大したものだ。
そして、普通なら図々しいお願いをされた。
「ダ、ダンジョンで私達ふたりを鍛えて欲しいんです」
やっぱり、目的は孤児院の弟妹の食費稼ぎだ。
アリアが時々、支援してくれる。だけど、この孤児院は獣人を受け入れてあるから、街の人からの寄付が少ない。
だけど私には疑念がある。ベンだ。
「ベン、おめえはヒト族だろ。獣人とパーティーを組む気はあるのか?」
「僕は、生まれた時からここにいます。サラさんが心配するような偏見は持ってません」
「ふむ」
どうやら、私にとってまともと思えるヒト族もいるようだ。
「分かった。明日から、一緒にメッセ中級ダンジョンに行ってみよう」
「は、はい」
「分かりました」
そういえば、『勇者と5つのオーブ』も、使徒と勇者だけストーリーの中で固定されていた。
あとは場所によって、ゲストキャラが加わったり、傭兵を雇ったりしてたような・・
ゲーム中でも、最初に臨時メンバーになるのが、種族は違うがベンとハンナだそうだ。
まさかとは思うが、偶然だよな。
このとき、孤児院内でドロンが飛び、アリアと子供達の触れ合いを撮影していた。私が知らないとこでウケていた。
コメント欄も大興奮。
『可愛い~』
『私も黒髪の子供を抱っこしたい~』
などなど、大ウケだった。
この中に大切な警告が入っていたことを見逃した。
『勇者と5つのオーブのストーリー通りなら、神託から2日後に始まりの街・チバ近郊の海辺が邪龍軍、今回のヤマト世界では魔王軍かな。その侵攻を食らうはず。まさかとは思うけどねwww』
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