名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します

とみっしぇる

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18 マクハリの戦い②

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街の戦闘職が太刀打ちできなかった魔族をベンが倒した。

魔装で黒ずくめになった私のサポート付きだけどね。

尖兵隊長の手下を次々と仲間の方に突き飛ばした。私のあまりの速さに誰にも見えていない。

ベンとハンナがカウンターで槍を刺した。サクサクと魔族が倒れた。

これまで、獣人を受け入れた孤児院、そこの子供達を馬鹿にしていた人たちが、彼らを見る目が変わったのが分かった。


とうとう隊長だけになった。アリアと一騎討ちだ。ただ、これまでの奴らと雰囲気と装備は違う。

隊長はレベル40。レベルはアリアが上でも剣技レベル4持ちのHP520。ステータスで上回っている。

長剣を隙なく構える隊長と2本のナイフを持つアリア。

魔装状態の私なら難なく倒せるけど、リアルタイムでアストリアに配信中。配信である限り、主役はアリアなのだ。

「アリア、サポートする」
「はい!」

姿勢を低くして走り出したアリア。並走する私はアリアと同じ姿勢で、ドロンで映して死角にいるように調整しながら動いた。

隊長はアリアに反応して剣を振った。

私はアリアが頭から両断されないように、隊長が剣を握った右手の小指を素早く握り潰した。

一連の作業タイムは0・02秒。

「ぐわっ!」。遅れて振られたアリアのナイフが、隊長の剣を弾いた。

アリアの攻撃ターンに入った。10回の追撃の末、ナイフが隊長の頬を浅く切ったけど、隊長がアリアの腹を蹴った。

アリアが後ろに2回転して着地。ふたりは離れた。

コメント欄
『うおお!』
『すげえ攻防だ』
『アリアちゃん、頑張れ』

私の動きは、画面越しに見ている人にはとらえられていない。アリアも恐らく分かってない。
態勢を立て直したアリアは再び構えた。

私が先に牽制に入った。3度のパンチの応酬のあと、隊長のパンチ、パンチ、蹴りの3連撃を食らって後ろに飛ばされた。

蹴られるとき、隊長の右足首にデタラメパワーでチョップした。金属製ブーツごと骨が割れる手応えがあった。

仰向けに倒れて、私の出番は終了。
「今だぜ、アリア」

「やあああ!」
「くそう、こんな強敵がいるとは聞いてないぞ!」

隊長はアリアの攻撃に反応できず、クリティカルヒットを食らった。そして首を押さえて膝を付いた。

「いい気になるな小娘・・私など、魔王軍では一介の雑兵に過ぎぬ。わはははは」

ぱたりと倒れた隊長だけど、何となくセリフを読んでいるような感じ。

肩で息をするアリア。

さすがに街の人間から称賛の声が上がった。

『やったあアリアちゃん』
『街の人にも認められたよね』
『すごい』

ネット民から、その数倍の称賛の嵐。

アリアはドロンの方を向いた。
「みなさんの応援のお陰で勝てました。ありがとうございます!」

期せずしてバズった。


民衆の中から、身なりのいいオジさんが前に出てきた。何だか段取りがいい。

イベント発生となると『勇者5』のシナリオが働き出すのではないかと、女神の関与を疑ってしまう。

このオッサンが代官のリンカイ男爵だ。黒髪のダンディーだ。

「き、君達は孤児院のベンとンナだな。それにアリアと、そこの黒装束の人も。街を救ってくれたのだな」

黒装束とは、結界魔装で全身ラバースーツ風に見える私のことだろう。

「君達を嫌っている街の人を救うため、隠していた力を発揮してくれたんだな。本当にありがとう」

頭を下げようとした代官をベンが止めた。

「僕らは、獣人の姉弟を孤児院に受け入れることを認めてくれた代官様に恩を返しただけさ」
「そうですよ。お陰で猫獣人の私も、無事に成長できたんです」

ベンとハンナは照れながら言った。

街の人々は誰からともなく拍手をしはじめ、街の新たな英雄を囲んだ。

配信中のアストリア人のコメント欄。
『ベン君とハンナちゃんのセリフ、かなり「勇者と5つのオーブ」こと「勇者5」のストーリーと似てるな』
『アニメは、ここで第5話が終わったよ』
『RPGの方は、これで序盤クリアだよ。ストーリー通りならね』

『数日後にベン、ハンナと別れ、勇者候補と使徒は旅に出るんだよ』

ここで詮索する前に、私から視聴者に言うことがある。

「見てくれてるアストリアのみんな」

『ん?』
『どうした改まって』

「改めて言う。みんなが助言をくれたお陰で、アリアの大切な人を守れた。そして孤児院の子供達が街の人に受け入れられた。ホント、ありがとう」

撮影用のコウモリ型魔道具ドロンに向かって頭を下げた。

『いいってことよ』
『また何か思い出したら書き込むから』
『ほら、街の人も待ってる。いってきなよ』

沿岸警備隊の建物は焼けたけど、幸いに死者ゼロ。自分が回復職だと思い出した私は、ヒール、ハイヒールで怪我人を一気に治した。

孤児院に帰ると、街の人がお礼に食べ物や寄付を持ってきてくれた。

アリアと旅立つ上で、大きな懸念材料だった孤児院のことが期せずして解決できた。


そして夜中。

私は一人で海岸線を20キロ南下した。

私とアリアが巻き込まれてる状況はRPG『勇者と5つのオーブ』

その1個目のオーブを探しに行く。

オーブはどうでもいいんだけど、ネット民から気になる情報をもらった。

念のために確認しにいく。

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