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23 自称勇者、現れる
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私、アリア、ベン、ハンナの4人はラッカセイ伯爵により、魔王軍を退けた褒美をもらうことになった。
マクハリの代官であるリンカイ男爵に伴われ領都チバに行くと、街の中央広場に連れていかれた。
周りはひとだかり。
金ができたし、私達4人は裕福な商人の子息のような装いだ。ベンはスーツで、残り3人は生地がきれいなワンピース。
アストリアに配信してるから、女子枠で売り出している両性アリアも私と同じ格好だ。
アストリア人のコメント欄
『きゃ~聖女さん、ベン君をアストリアに連れてきてよ』
『アリアちゃん、美人度が倍増』
『ハンナちゃんの猫耳に萌える!』
『聖女は・・まあ普通だな』
私は現地人には美しいと称賛を浴び、アストリアの視聴者には軽くディスられている。
とにかく同時接続は伸びている。すでに40万超え。『勇者5』のストーリー通り、伯爵家次男が現れるのか、アストリア人が注目している。
普通は現れない。
中央広場にステージ。護衛は控えさせ、恰幅がいいオジサンが私達の前に立った。
笑顔が優しそうな黒目黒髪のダンディー。アリアに言わせると平凡だそうだが、アストリア人にはハンサムだ。
「今日はよく来てくれた。マクハリ、いやチバの英雄達よ!」
アリアを嫌っていた街の人はどよめいたりしたが、まずまずの数の人が手をたたいてくれた。
次に伯爵は猫獣人ハンナの手を取って、伯爵家が後ろ盾となることを示す腕輪を着けた。獣人であっても、公式に英雄として認めたあかしだ。
同じ3つの腕輪の盆に載せて私に渡しに来た。その時、小さな声で呟いた。
「私も、跡継ぎの長男も使徒であるサラ様と敵対する気はありません。しかし・・」
この音、高性能の配信装置・コウモリ型カメラの神器ドロンが拾ってる。そして配信されてる。
「次男が少々、夢見がちでして・・。突拍子もない行動に出るかも知れません」
「で、私はどうすりゃいい」
「孤児院の支援は我が名にかけて約束します。なので、次男が何かしても、お仕置き程度で済ませてもらえないでしょうか」
この伯爵は何かをつかんでいる。そして配信先のアストリア視聴者もNPCのようでいて、そうではない、リアルな人間の予測不能のセリフに意外性を感じているだろう。
「なんだそりゃ・・」
「数日前のハジマリの洞窟、洞窟があった岬の崩壊」
伯爵は、孤児院を監視していた。そして私が真夜中に飛び出して、監視していた斥候職も追えないスピードで走り去った。
「次の日から、あなたが走って行った方向を調べると、孤児院から20キロ離れたハジマリの洞窟が岬ごとなくなっていました。火龍、リヴァイアサンのどちらかが出現したかのような惨状だったそうです」
コメント欄
『伯爵、岬崩壊は聖女の仕業って確信してるな』
『これは勇者5になかった展開だ』
『やっぱリアルとNPCは違うな』
あの力を勘づかれた可能性はある。けど、やりすぎたお陰で、絶対に敵対すべきでないと判断したようだ。
「私はアリアが大切な孤児院が守られるなら敵対しない。むしろ1個くらいお願いを聞いてもいい」
「ふうっ。使徒様が話が通じる方で良かった・・」
伯爵から緊張感が解けた。だが・・
「俺がいるチバの街に銀髪、青目の使徒が現れた。やっぱり俺が勇者だったぞー!」
黒髪、黒目、身長170センチ15歳の細身。伯爵家次男、カラッパが現れた。
アストリア人視聴者大喜び
『キター』
『キター!』
『キター。待ってたぞ!』
『勇者候補、エントリーナンバー1番』
『リアルは美少年』
『けど中身はバカ』
『スキルは身体強化レベル6。中身はともかく才能アリ』
勝手にステージの端に上がり、英雄の報奨授与式を壊してくれた次男カラッパ。
「カラッパ、控えていなさい」
「まあまあ父上、僕の晴れ舞台だから大目に見て下さい。僕こそが勇者ですよ」
「何を根拠に、みずからを勇者と言うのだ」
「身体強化レベル6の潜在能力。これから鍛えていけば、勇者の素質が開花するのです」
「やかましい。お前には資格なんぞない!」
「む、何故でしょう」
「お前はあの日、マクハリの街にいただろうが。なのに逃げただろうが。お前は勇者レースからリタイアしたの!」
なんとカラッパ君。『勇者5』の勇者候補だけあって、マクハリの戦いに参加できる可能性はあった。
なのに、魔王軍にビビって逃げ出した。
コメント欄
『ヤッター!』
『リアル勇者候補、エントリーナンバーワン、敵前逃亡』
『惜しい!勇者は、候補ナンバーツー以降に乞うご期待』
『www www』
くす、くすくすと、民衆の中から笑い声が聞こえてきた。
けれど、『勇者5』の強制力なのか、カラッパは父親の言葉を無視して、私の方に歩いてきた。
そして片膝をついて、棒読みのセリフを言った。いや、言わされたのかもしれない。
「使徒サラよ、僕を勇者に選んでくれ」
「やなこった!」
敵前逃亡したやつに大事なものは託せない。私は間髪入れず断った。
「・・え」
そして私とアストリアの視聴者は気付いた。『勇者5』のシナリオが終わり、強制力から解放された。
カラッパの目が変わった。
正常に戻り、断った私だけでなく、アリア、ベン、ハンナに敵意むき出しの表情。
「てめえら、この俺様に恥をかかせやがって・・」
この我が儘そうで、チンピラなボンボン。
これが本来の伯爵家次男・カラッパなのだろう。
マクハリの代官であるリンカイ男爵に伴われ領都チバに行くと、街の中央広場に連れていかれた。
周りはひとだかり。
金ができたし、私達4人は裕福な商人の子息のような装いだ。ベンはスーツで、残り3人は生地がきれいなワンピース。
アストリアに配信してるから、女子枠で売り出している両性アリアも私と同じ格好だ。
アストリア人のコメント欄
『きゃ~聖女さん、ベン君をアストリアに連れてきてよ』
『アリアちゃん、美人度が倍増』
『ハンナちゃんの猫耳に萌える!』
『聖女は・・まあ普通だな』
私は現地人には美しいと称賛を浴び、アストリアの視聴者には軽くディスられている。
とにかく同時接続は伸びている。すでに40万超え。『勇者5』のストーリー通り、伯爵家次男が現れるのか、アストリア人が注目している。
普通は現れない。
中央広場にステージ。護衛は控えさせ、恰幅がいいオジサンが私達の前に立った。
笑顔が優しそうな黒目黒髪のダンディー。アリアに言わせると平凡だそうだが、アストリア人にはハンサムだ。
「今日はよく来てくれた。マクハリ、いやチバの英雄達よ!」
アリアを嫌っていた街の人はどよめいたりしたが、まずまずの数の人が手をたたいてくれた。
次に伯爵は猫獣人ハンナの手を取って、伯爵家が後ろ盾となることを示す腕輪を着けた。獣人であっても、公式に英雄として認めたあかしだ。
同じ3つの腕輪の盆に載せて私に渡しに来た。その時、小さな声で呟いた。
「私も、跡継ぎの長男も使徒であるサラ様と敵対する気はありません。しかし・・」
この音、高性能の配信装置・コウモリ型カメラの神器ドロンが拾ってる。そして配信されてる。
「次男が少々、夢見がちでして・・。突拍子もない行動に出るかも知れません」
「で、私はどうすりゃいい」
「孤児院の支援は我が名にかけて約束します。なので、次男が何かしても、お仕置き程度で済ませてもらえないでしょうか」
この伯爵は何かをつかんでいる。そして配信先のアストリア視聴者もNPCのようでいて、そうではない、リアルな人間の予測不能のセリフに意外性を感じているだろう。
「なんだそりゃ・・」
「数日前のハジマリの洞窟、洞窟があった岬の崩壊」
伯爵は、孤児院を監視していた。そして私が真夜中に飛び出して、監視していた斥候職も追えないスピードで走り去った。
「次の日から、あなたが走って行った方向を調べると、孤児院から20キロ離れたハジマリの洞窟が岬ごとなくなっていました。火龍、リヴァイアサンのどちらかが出現したかのような惨状だったそうです」
コメント欄
『伯爵、岬崩壊は聖女の仕業って確信してるな』
『これは勇者5になかった展開だ』
『やっぱリアルとNPCは違うな』
あの力を勘づかれた可能性はある。けど、やりすぎたお陰で、絶対に敵対すべきでないと判断したようだ。
「私はアリアが大切な孤児院が守られるなら敵対しない。むしろ1個くらいお願いを聞いてもいい」
「ふうっ。使徒様が話が通じる方で良かった・・」
伯爵から緊張感が解けた。だが・・
「俺がいるチバの街に銀髪、青目の使徒が現れた。やっぱり俺が勇者だったぞー!」
黒髪、黒目、身長170センチ15歳の細身。伯爵家次男、カラッパが現れた。
アストリア人視聴者大喜び
『キター』
『キター!』
『キター。待ってたぞ!』
『勇者候補、エントリーナンバー1番』
『リアルは美少年』
『けど中身はバカ』
『スキルは身体強化レベル6。中身はともかく才能アリ』
勝手にステージの端に上がり、英雄の報奨授与式を壊してくれた次男カラッパ。
「カラッパ、控えていなさい」
「まあまあ父上、僕の晴れ舞台だから大目に見て下さい。僕こそが勇者ですよ」
「何を根拠に、みずからを勇者と言うのだ」
「身体強化レベル6の潜在能力。これから鍛えていけば、勇者の素質が開花するのです」
「やかましい。お前には資格なんぞない!」
「む、何故でしょう」
「お前はあの日、マクハリの街にいただろうが。なのに逃げただろうが。お前は勇者レースからリタイアしたの!」
なんとカラッパ君。『勇者5』の勇者候補だけあって、マクハリの戦いに参加できる可能性はあった。
なのに、魔王軍にビビって逃げ出した。
コメント欄
『ヤッター!』
『リアル勇者候補、エントリーナンバーワン、敵前逃亡』
『惜しい!勇者は、候補ナンバーツー以降に乞うご期待』
『www www』
くす、くすくすと、民衆の中から笑い声が聞こえてきた。
けれど、『勇者5』の強制力なのか、カラッパは父親の言葉を無視して、私の方に歩いてきた。
そして片膝をついて、棒読みのセリフを言った。いや、言わされたのかもしれない。
「使徒サラよ、僕を勇者に選んでくれ」
「やなこった!」
敵前逃亡したやつに大事なものは託せない。私は間髪入れず断った。
「・・え」
そして私とアストリアの視聴者は気付いた。『勇者5』のシナリオが終わり、強制力から解放された。
カラッパの目が変わった。
正常に戻り、断った私だけでなく、アリア、ベン、ハンナに敵意むき出しの表情。
「てめえら、この俺様に恥をかかせやがって・・」
この我が儘そうで、チンピラなボンボン。
これが本来の伯爵家次男・カラッパなのだろう。
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