名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します

とみっしぇる

文字の大きさ
26 / 73

26 ◆幕間◆アストリアの召喚者

しおりを挟む
サラがヤマト世界でアリアと一緒に魔王を倒す決意をした。

同じ頃。

アストリア世界の召喚者達も、戸惑いながらも勇者活動を続けていた。

 ◇◇◇

ザク、バキッ、ドゴッと、長剣、拳、メイスが何かに当たった音がする。

勇者、拳聖、聖女が次々とハイオーク1体に攻撃した。

「ちょっとみんな、オーバーキルだって!」

本来の召喚者である聖女紗羅を女神が次元の狭間から探し出し、アストリアの勇者パーティーに合流させた。

第20代アストリア勇者パーティーが揃った。

早くも低級ダンジョン、中級ダンジョンをクリアして、上級ダンジョンで力を付けている。

「けどさ賢者翼、目が血走った大きなオークが出てきたんだよ」
「そうです、リアルに性欲向けられて、気持ち悪いです」
「女の敵、全滅」

勇者千尋、拳聖亜美、聖女紗羅が口々に答える。

日本で若くして亡くなり、アストリアに連れてこられた召喚者。今回は3人が18歳の女子高生。賢者翼だけが男子で、工業大学の大学院生23歳。


召喚され神託を聞き、素直に魔王討伐の旅に出た。

日本では暴力と無縁だった4人だけど、女神が精神耐性のパッシブスキルを付けている。だから、ヒト型の魔物を平気で倒せる。

ヤマト世界に飛ばされたサラにも精神耐性はセットされている。だから残酷になれるのだ。

そんな図太くされたアストリアの勇者パーティー4人だけど、慣れると思えないことがある。

 ◆◆
上級ダンジョン全50階のうち20階までサクッとクリアして、今日は予定通りに帰還。

転移装置でダンジョンから地上に出たのだが・・

「きゃ~、出てきたよ」
「すげえ美形ばっか。来て良かった!」
「勇者千尋さん、握手して!」
「亜美ちゃん、こっち向いて」
「紗羅ちゃ~ん!」

「翼さま~~~~」

オオカミが出る森の中にも関わらず、勇者パーティーがダンジョンから出てくるのを待っている男女が50人もいた。

「これだよ・・」
「嬉しいけど慣れない」
「顔がひきつりそう」
「冷や汗」

そうなのである。アストリアでは50年に1度、4人だけ召喚される日本人は『美の化身』として扱われている。

今回も同じだ。

ところが、4人は自他共に認める日本の平凡な顔。むしろ中の下と評価されたこともある。

恋人いない歴=年齢という悲しい共通点まである。

なのに、ヨーロッパ圏から美形ばかり集めたようなアストリア人に、召喚された直後から称賛の嵐。

使命がどうとかいう前に、熱烈な歓迎ぶりに驚いた。

そんな4人なのに、かつての召喚者と比べても人気だ。

アストリアで魔道映像技術が実用化されたのは30年前。

50年前の、第19代勇者パーティーまでとは違い、今回の召喚者の活動は配信され、魔道スマホで見ることができる。

ヤマト世界のサラと同じく、撮影用のコウモリ型神器『ドロン』を各々が持っている。

何を映してもバズる。

すでに悪魔軍の尖兵隊を蹴散らしている。その動画がバズったのは、4人ともアリだと思った。

けれど勇者千尋が筋トレしても、拳聖亜美が踊っても、聖女紗羅が無言でケーキを食べてるだけでも。

賢者翼が海岸で猫を追いかけただけでも。

それだけでネット上はフィーバーした。

4人でレトロの街を歩いただけでも、大騒ぎになった。

吟遊詩人の話でしか聞いたことがない勇者パーティーのリアルな動き。

そしてアストリア人からしたら美男美女4人。早くも勇者パーティーの人気は加熱している。

ヤマト世界のアリアも人気だけど、やっぱり熱気が違う。


ダンジョンから出てくるたび、アストリア勇者の4人は出待ちの若者に囲まれるのだ。

今もプレゼントをもらったり、握手したりと、トップアイドル並みの扱いだ。

「勇者千尋様。馬車の準備ができてます」

「い、いつもすみません」

馬車に乗せられ今日の宿に運ばれたが、女子をエスコートしてくれたのは皆貴族。そして日本人から見ると、美丈夫ばかり。

男子の翼の左右には、ハリウッドスターのような女性ふたりがメイド服を着て付き添っている。

日本ではド平民だった4人は、恐縮してしまうのだ。

宿に帰って配信した動画を確認すると、各々のチャンネルが登録者数2000万人を越えている。

国から支度金ももらい、金銭にも困らない。

チートじみた能力で勇者活動も余裕。

けれど、突然の世界的アイドル扱いに戸惑うばかり。


4人は次元レベルのドッキリではないかと疑っている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

追放された荷物持ち、【分解】と【再構築】で万物創造師になる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーから「足手まとい」と捨てられた荷物持ちのベルク。しかし、彼が持つ外れスキル【分解】と【再構築】は、万物を意のままに創り変える「神の御業」だった! 覚醒した彼は、虐げられていた聖女ルナを救い、辺境で悠々自適なスローライフを開始する。壊れた伝説の剣を直し、ゴミから最強装備を量産し、やがて彼は世界を救う英雄へ。 一方、彼を捨てた勇者たちは没落の一途を辿り……。 最強の職人が送る、痛快な大逆転&ざまぁファンタジー!

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...