名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します

とみっしぇる

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44 健気すぎて自覚がない

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サラが『勇者5』の第3章に登場する剣士シロウと出会った。19歳。

さて、今回は俯瞰視点で。

アストリア視聴者によると、ここグンマエリアからフクシマエリアを経て、センダイで開かれるダテ家主宰の武闘会まで縁があるキャラ。

『勇者5』ストーリー上の人気キャラ。勇者候補エントリーナンバー4だ。

アストリアの女性ファンから見たら、実物も黒髪長髪のハンサム。
『素敵すぎる』
『はいスパチャ。これでシロウ様に何かご馳走してよ』

『聖女、シロウ様の戦闘シーンをもっと撮って。お礼出すから』
『シロウ様をリモート飲み会に誘って!』

スパチャがどんどん投げ込まれている。

◇聖女サラチャンネル◇
登録者数809万人
スパチャ累計5691万ゴールド

グンマエリアでは伸びないと思った数字が、徐々に上がっている。

サラは、この男は逃がせないと思った。だから助けてくれた礼に晩御飯に誘った。

かなり強引だった。

これは第1章のハンナ&ベン、第2章のミリー&マリーのときのように自然な流れではない。

だから、アリアが焦っている。

◆◆
まずは、サラからシロウへのお願いごとだ。

サラとアリアが霊峰タカサキダンジョンに行くから、シロウに同行してくれと言った。

サラがアストリア視聴者に聞いて、ミヤギエリアのシロウがグンマエリアにいる理由を知った。

シロウには好きな女がいる。相思相愛だ。

けれどよりによって相手は、主君マサムネ・ダテ伯爵の娘であるイロハだ。

ハードルが高い恋。

しかし魔王軍の侵攻、女神の神託からチャンスが生まれた。

マサムネは女神が言うところの勇者オーブを手に入れた。同時にイロハが使徒と公表した。

オーブを優勝賞品に武闘会を開く。参加資格に制限なし。

主君マサムネに問うと、優勝すればイロハの勇者として、ふたりの仲を認めるとはっきり言われた。

だから、武闘会用の武器が欲しい。鋼鉄製の愛刀をミスリルで強化するために、タカサキダンジョンの43~45階で採掘できるミスリル鉱石を手に入れに来た。

しかし問題が生じて、シロウはサラの提案に飛び付いた。少し酒も入っている。

「かたじけない。ダンジョンに潜るための必要物資を運ぶ手立てもなく、途方に暮れておったのです」

「あははは。勢いでグンマまで来たけど、ダンジョン対策考えてなかったのかよ!」

「はは、面目ない」

「ま、私とアリアの両方とも収納指輪あるから、物資運搬は任せろや」

「代わりに戦闘では、役立てるかと思います」
「おう、頼りにしてるぜ」

サラとシロウの会話が弾んでいる。

で、アリアは?

じ~っと、シロウとサラを交互に見てイライラしている。

自覚がないまま、アリアが嫉妬している。

サラは急に登場したシロウを逃がさないため、アストリア視聴者からアドバイスをもらって即座に動いている。

アリアに渡す第3のオーブを手に入れるとき、確実に混乱が起こる思われる。

混乱を回避するため、シロウ&イロハは利用使用と考えている。

何より、アストリア女性から人気があるシロウで金稼ぎ。勇者アリアのダンジョンコラボで、配信を成功させようとしている。

ただ、それだけ。


しかし展開が早いゆえに、アリアへの説明を忘れている。

アリアからしたら違う。サラがシロウを男として気に入って、ナンパしただけにしか見えない。

ご飯に誘ったのは不良冒険者から助けた礼という名目だけど、サラは助けなど必要なかった。

アリアから見たら、むしろサラは実戦訓練していたのをシロウに邪魔された。

なのにサラは怒るでもなく、シロウの顔をまじまじと見て夕御飯に誘った。

黒髪、ブサイクな自分の顔を可愛いと言うなら、同じような顔のシロウもサラの好みだと思った。


そしてなぜ、こんなことを思うのか自分でも分からない。

突然現れた女神の使徒。希望をもらった。勇者にしてもらった。

孤児院と自分を助けてくれた大恩人。感謝だけすべき存在だと思っている。

最後は・・自分の世界に帰る異世界人。必ず別れの日が来る。


アリアは両性ではあるが、自分でも女性的な性格だと思っている。

女の部分では純粋。サラに何かあれば命を懸ける覚悟をしている。

だから気付いていない。

特にオオミヤコロシアムの大ピンチを救われてからの、自分に芽生えた感情を。

女でもあり、男でもあるハーフエルフで64歳。アリアは女としてはヒト族なら20歳くらいに精神的成長を遂げている。

けれど男の部分の精神成長度はヒト族の10歳くらい。身体は成熟してデカいモノをお持ちでも、サラに対して芽生えた気持ちが何なのか分からない。

サイタマで問題を解決してから特に、サラが男性と楽しく話しているとモヤモヤする。

それが何なのか。

女子アリアに心の大半を占められているアリアは、男子アリアの気持ちに気付かない。

しばらく、この手の話は進展しないのかも。


「だよなアリア!」
「う、うんサラ」

会話も上の空だ。お酒も食事も、いつものように美味しくない。


夜になり宿を取って、そこでアリアは初めてサラから説明を受けた。

アストリア視聴者から美男美女であるアリアとシロウのコラボ配信を望まれて、無理に声をかけたと。

なにか心のつかえが取れたアリアはベッドに入り、サラに身体を密着させた。

「どうしたアリア、疲れたんか?」
「・・そうかも」

勇者と使徒のピュアな夜は更けていく。
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