45 / 73
45 人気キャラのバッドエンド回避を頼まれた
しおりを挟む
サラだぞ。夕べはアリアの食欲がなくなって心配してたけど、一晩寝たら元気になってた。
今朝も頬にちゅってして起こされた。
「おはようサラ」
「おう、おはよアリア」
いつもの笑顔だ。ハルナみたく可愛いぞ。
『勇者5』の人気キャラ、剣士シロウが臨時メンバーに入った。
アストリアファンの間の通り名があり「殉愛剣士シロウ」
私の「守銭奴聖女サラ」と響きは似てるけど中身が大違いだな。
RPG『勇者5』の勇者候補10人の中で、最初から相思相愛の相手がいるキャラ。
勇者に選ぶと、ミヤギの武闘会で優勝して第3のオーブの力を手にする。そしてマサムネ・ダテ伯爵に認められてイロハ姫との仲も許される。
だけどな、苦悩しながら世界平和のために旅立つことを選ぶんだ。
去り際に『私は生きて帰れる保証もありません。例え命が尽きようと、イロハ姫、あなたの幸せのために厄災を討ってみせます』と言って、イロハに涙をこぼさせる。
ゲストキャラのときは、もっと悲しい結末が待ってんだよ。
武闘会で優勝すればイロハ姫をやるとマサムネに言われる。そして決勝進出。
勇者と対戦して傷だらけになりながらも、勝利が見えてくる。
だけど第3のオーブを奪いに来た魔王軍が乱入して、そいつらにイロハ姫がさらわれる。
シロウは勇者と戦ったあとで満身創痍。それでも海岸まで敵を追って切り込む。
魔族のレオールって奴を倒してイロハ姫を救うけど、自身は力尽きてしまう。
シロウはイロハ姫に頭を抱かれながらつぶやく。
『来世では名もなき男女として・・なんの足かせもなく、あなたと出会いたい・・』
うなずきながら涙を流すイロハ姫の腕の中で、シロウは息を引き取る。
どっちのケースでも、結ばれねえんだ。
けどよ、ここはリアルで、女神が仕込んだと思われる『勇者5』のシナリオも中途半端にしか働かないヤマト世界。私は没される予定のキャラを救った実績がある。
第1章で孤児院のシスターとリンカイ男爵、第2章では片方しか生き残らないはずのミリーとマリーを両方助けた。
アストリアの女性ファンのリクエストがすげえ。
『聖女、必ずシロウ様を生かしてあげてよ』
『もちろんイロハ姫と結ばれるところまでがセットよ』
『聖女、成功したらスパチャだすわ』
シロウを死なさないのはできそう。
問題はシロウとイロハ姫のこと。
シロウを優勝させても、実際に使徒ではないイロハにオーブは割れない。
方法は視聴者に考えてもらってるけど、恋愛経験ゼロの私だぞ。他人の恋の橋渡しなんてできるのかよ・・
◆◆
武闘会まで2ヶ月。まずは霊峰タカサキダンジョンにやってきた。
ダンジョンは道幅広めの回廊型。全50階。魔物はミノタウロスとオーガでレベル帯は35~70。40階から属性付きの魔物が出る。
ダンジョンボスはファイアオーガとアイスミノタウロスのセット。
アリアと私は、ナイフ使いとヒーラーだと言ってある。勇者と聖女とは明かせない。
シロウは剣士。レベル44、HP616。攻撃力と敏捷が748もある。身体強化レベル4にプラスして、珍しい「斬鉄」スキル持ち。
アリアへの偏見が心配だったけど、イロハ姫、父であるダテ伯爵にエルフの血が少し混じっている。
破天荒キャラだけあって、それを隠していない。だから家臣も気にしていない。
これを確認するのを忘れてシロウに声かけちまった。差別主義者だったらアリアに嫌な思いさせるとこだった。
よかった、よかった。
◆
もう6階だ。これが合計15回目の戦闘。
ミノタウロスとオーガが1体ずつ現れた。
ドロンが飛ぶ。『アクション』
シロウは居合という技が得意。1対1の戦いに向いている。
「サラ殿、下がっていて下され。きえええ!」
オーガとすれ違いざまに首を斬った。私がみずからをヒーラーと紹介したから、戦わせてくれない。
そしてアリアも負けじと、ビリビリで動きを止めたミノタウロスを魔鉄のナイフ2本で仕留めた。
「すごいですなアリア殿。実戦のレベルが高い」
「シロウさんの技のキレには、かないませんよ」
ハイタッチする黒髪の美男美女をドロンが映すと、アリアファン、シロウファンの両方から、すごい量の書き込みがある。
『シロウ様とくっつくの、アリアちゃんでもいい』
『聖女、頼んだわよ』
なにをだ?
さっき、5階のセーフティーゾーンで休んでから、アリアの機嫌がいい。
ええっと、会話の内容は何だったっけ・・
そうだ、シロウが旅の目的を明かしたんだ。
アリアが聞いたんだった。
『シロウさんは、なぜ武闘会に参加するんですか。勇者になりたいの?』
『勇者には、こだわりはありませぬ。守りたい人がおります』
そこで、私がうっかり言ってしまった。
『シロウは、愛するイロハ姫を守りたいんだよな』
あ・・。アストリア視聴者から教えてもらっていたけど、これってシロウの口から聞いてなかった。
しゃーないから、昨日の夜に酒飲んで漏らしてたって言い訳したよ。
けど、シロウは照れながらも真っ直ぐな目をして言った。
『主君のマサムネ様に認められるほど強くなり、姫を一生守りたいのです』
すると、なんかアリアの顔がぱあっと明るくなった。
『シロウさんは好きな人のために戦うんですね。サラ、2人に協力しようよ!』
シロウがサラ狙いじゃなくて良かったとか、なんか小声で言ってたけど、なんだろな?
まあとにかく、私の勇者が『勇者5・第3章』のルートに乗ってくれることになった。
今朝も頬にちゅってして起こされた。
「おはようサラ」
「おう、おはよアリア」
いつもの笑顔だ。ハルナみたく可愛いぞ。
『勇者5』の人気キャラ、剣士シロウが臨時メンバーに入った。
アストリアファンの間の通り名があり「殉愛剣士シロウ」
私の「守銭奴聖女サラ」と響きは似てるけど中身が大違いだな。
RPG『勇者5』の勇者候補10人の中で、最初から相思相愛の相手がいるキャラ。
勇者に選ぶと、ミヤギの武闘会で優勝して第3のオーブの力を手にする。そしてマサムネ・ダテ伯爵に認められてイロハ姫との仲も許される。
だけどな、苦悩しながら世界平和のために旅立つことを選ぶんだ。
去り際に『私は生きて帰れる保証もありません。例え命が尽きようと、イロハ姫、あなたの幸せのために厄災を討ってみせます』と言って、イロハに涙をこぼさせる。
ゲストキャラのときは、もっと悲しい結末が待ってんだよ。
武闘会で優勝すればイロハ姫をやるとマサムネに言われる。そして決勝進出。
勇者と対戦して傷だらけになりながらも、勝利が見えてくる。
だけど第3のオーブを奪いに来た魔王軍が乱入して、そいつらにイロハ姫がさらわれる。
シロウは勇者と戦ったあとで満身創痍。それでも海岸まで敵を追って切り込む。
魔族のレオールって奴を倒してイロハ姫を救うけど、自身は力尽きてしまう。
シロウはイロハ姫に頭を抱かれながらつぶやく。
『来世では名もなき男女として・・なんの足かせもなく、あなたと出会いたい・・』
うなずきながら涙を流すイロハ姫の腕の中で、シロウは息を引き取る。
どっちのケースでも、結ばれねえんだ。
けどよ、ここはリアルで、女神が仕込んだと思われる『勇者5』のシナリオも中途半端にしか働かないヤマト世界。私は没される予定のキャラを救った実績がある。
第1章で孤児院のシスターとリンカイ男爵、第2章では片方しか生き残らないはずのミリーとマリーを両方助けた。
アストリアの女性ファンのリクエストがすげえ。
『聖女、必ずシロウ様を生かしてあげてよ』
『もちろんイロハ姫と結ばれるところまでがセットよ』
『聖女、成功したらスパチャだすわ』
シロウを死なさないのはできそう。
問題はシロウとイロハ姫のこと。
シロウを優勝させても、実際に使徒ではないイロハにオーブは割れない。
方法は視聴者に考えてもらってるけど、恋愛経験ゼロの私だぞ。他人の恋の橋渡しなんてできるのかよ・・
◆◆
武闘会まで2ヶ月。まずは霊峰タカサキダンジョンにやってきた。
ダンジョンは道幅広めの回廊型。全50階。魔物はミノタウロスとオーガでレベル帯は35~70。40階から属性付きの魔物が出る。
ダンジョンボスはファイアオーガとアイスミノタウロスのセット。
アリアと私は、ナイフ使いとヒーラーだと言ってある。勇者と聖女とは明かせない。
シロウは剣士。レベル44、HP616。攻撃力と敏捷が748もある。身体強化レベル4にプラスして、珍しい「斬鉄」スキル持ち。
アリアへの偏見が心配だったけど、イロハ姫、父であるダテ伯爵にエルフの血が少し混じっている。
破天荒キャラだけあって、それを隠していない。だから家臣も気にしていない。
これを確認するのを忘れてシロウに声かけちまった。差別主義者だったらアリアに嫌な思いさせるとこだった。
よかった、よかった。
◆
もう6階だ。これが合計15回目の戦闘。
ミノタウロスとオーガが1体ずつ現れた。
ドロンが飛ぶ。『アクション』
シロウは居合という技が得意。1対1の戦いに向いている。
「サラ殿、下がっていて下され。きえええ!」
オーガとすれ違いざまに首を斬った。私がみずからをヒーラーと紹介したから、戦わせてくれない。
そしてアリアも負けじと、ビリビリで動きを止めたミノタウロスを魔鉄のナイフ2本で仕留めた。
「すごいですなアリア殿。実戦のレベルが高い」
「シロウさんの技のキレには、かないませんよ」
ハイタッチする黒髪の美男美女をドロンが映すと、アリアファン、シロウファンの両方から、すごい量の書き込みがある。
『シロウ様とくっつくの、アリアちゃんでもいい』
『聖女、頼んだわよ』
なにをだ?
さっき、5階のセーフティーゾーンで休んでから、アリアの機嫌がいい。
ええっと、会話の内容は何だったっけ・・
そうだ、シロウが旅の目的を明かしたんだ。
アリアが聞いたんだった。
『シロウさんは、なぜ武闘会に参加するんですか。勇者になりたいの?』
『勇者には、こだわりはありませぬ。守りたい人がおります』
そこで、私がうっかり言ってしまった。
『シロウは、愛するイロハ姫を守りたいんだよな』
あ・・。アストリア視聴者から教えてもらっていたけど、これってシロウの口から聞いてなかった。
しゃーないから、昨日の夜に酒飲んで漏らしてたって言い訳したよ。
けど、シロウは照れながらも真っ直ぐな目をして言った。
『主君のマサムネ様に認められるほど強くなり、姫を一生守りたいのです』
すると、なんかアリアの顔がぱあっと明るくなった。
『シロウさんは好きな人のために戦うんですね。サラ、2人に協力しようよ!』
シロウがサラ狙いじゃなくて良かったとか、なんか小声で言ってたけど、なんだろな?
まあとにかく、私の勇者が『勇者5・第3章』のルートに乗ってくれることになった。
0
あなたにおすすめの小説
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
追放された荷物持ち、【分解】と【再構築】で万物創造師になる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーから「足手まとい」と捨てられた荷物持ちのベルク。しかし、彼が持つ外れスキル【分解】と【再構築】は、万物を意のままに創り変える「神の御業」だった!
覚醒した彼は、虐げられていた聖女ルナを救い、辺境で悠々自適なスローライフを開始する。壊れた伝説の剣を直し、ゴミから最強装備を量産し、やがて彼は世界を救う英雄へ。
一方、彼を捨てた勇者たちは没落の一途を辿り……。
最強の職人が送る、痛快な大逆転&ざまぁファンタジー!
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる