名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します

とみっしぇる

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57 シロウVSレオール

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シロウの居合術が、魔族レオールに簡単に受け止められた。

シロウのミスリル刀、レオールのバスタードソードがぶつかり合って激しい金属音が鳴り響いた。

私はヤマガタエリアのツルオカ侯爵軍に備えながら、ドロンから送られてくる映像を意識していた。

おかしい。それはアストリアの視聴者も感じている。

『レオールはRPGの中では弱ったシロウと相討ちになるはずだぞ』
『大幅レベルアップのシロウより強くねえか』
『あっ、シロウ様が危ない』

映像に映るシロウはレベル77。『勇者5』のレベル48シロウより大幅なパワーアップをしている。

けれど、重い大剣を持ったレオールにスピードで押されている。

ギンギンギン、と甲高い音が響いて、じりじりとシロウが下がっている。

「おう、強い兄ちゃんがいるな。レベルを上げてて良かったぞ。そりゃっ」

レオールの横切りを刀を当てて衝撃を流したけれど、シロウは3メートルくらい飛ばされた。

レベルを上げたのはシロウだけじゃなかった。ドロンの情報ではレオールはレベル88ある。

レオールも『勇者5』のシナリオに組み込まれる前に鍛えてた。

誤算だった。

「・・シロウ、頑張ってくれ」

不利とみたシロウが刀を逆手に持った。

アストリア女性がシロウの勝利を確信して沸いた。
『出るわ、斬鉄よ』
『シロウ様、そんなやつぶった切って』
『イロハ姫を守って!』

「食らえ、斬鉄!」斬撃が走ったが、レオールも構えていた。

「しゃらくせえ。慚愧!」


マサムネ公、イロハ姫、観客もみんな息をのんで見ている。

一気に踏み込むシロウ。同じように突っ込んできたレオール。甲高い音とともに2人が交差した。

そして、お互いに背を向けて相手が立っていた場所と位置を入れ替えてた。


「甘えよ、兄ちゃん」
レオールが笑うと、シロウが苦悶の表情を浮かべた。

「うぐっ」。レオールのスキル慚愧は、シロウのスキル斬鉄を封じて右肩に傷を負わせていた。

そこからレオールの追撃が始まった。重く速いレオールの剣をシロウは防ぐのでいっぱいだ。

シロウは「斬鉄」を止められた。斬鉄の進化スキルは覚えたけど自分の技として完成してない。

このまま戦うと『殉愛剣士シロウ』のフラグが成立しちまう。

そんなとき、静かにシロウに声をかける女がいた。


「シロウ様」

イロハ姫が闘技場に上がる階段のとこに立ってた。心眼が開花した左目が光っている。

「危ない。近付いてはなりませんイロハ姫」
「よそ見してんじゃねえ!」

シロウは斬られはしなかったが、再び飛ばされた。イロハ姫の近くで膝を付いた。

イロハ姫は自分の懐から小太刀を出した。そのまま立ち止まらず、ゆっくりと闘技場に上がった。

シロウの横に座った。

「離れて下さい。姫」

そう言うシロウを見て、イロハ姫は微笑んだ。

「この中に、目の前の魔族に太刀打ちできる剣士はシロウ様しかおりませぬ」

「・・イロハ姫」

「あなた様が敗北すれば、私はその男の慰み者」

イロハ姫は小太刀を抜いてシロウに渡した。

「そうなるくらいなら、ここであなたと共に討ち死にしとうございます。・・シロウ様」

「・・・!」

イロハの愛情と覚悟、その両方をシロウは見せられた。

「うるせえ。兄ちゃんを殺したら、お望み通りに姫さんも相手にしたらあ!」


「させぬ」

シロウはレオールのバスタードソードに、自分の刀をたたきつけた。ミスリル刀にひびが入った。

しかしシロウは慌てるどころか微笑んだ。

「姫、あなたのお陰です。あなたを守るために何が足りなかったか、やっと理解できました」

シロウは自分のミスリル刀、イロハの小太刀を両方とも逆手に持った。

「我、姫の守護者なり」

レオールも「慚愧」の構えに入った。

誰もが息をのむ中、シロウが言霊を唱えた。

「我、未熟な剣士なれど命を懸して護る者あり。我が剣、殺戮の道具にあらず」

「しゃらくせえ、これがトドメだ!」

『斬鬼』

「剣よ、姫を護りたまえ」

『斬鉄乱舞』

見て明らかだった。クロスしたシロウの武器から新スキル『斬鉄乱舞』が正しく発動した。後ろに庇ったイロハ姫を守るように光りの刃が舞い始めた。

その光輪が飛び交う範囲が広がっていく。

慚愧VS斬鉄のように、レオールを踏み込ませない。

「うぐああああ、なんじゃこりゃあああ!」

最後にシロウの姿がブレると、下段から切り上げた刃がレオールを襲った。

そしてレオールの全身から血しぶきが舞った。

「ぐ、ぐあ、俺が・・こんなとこで躓くなんて・・」


「シロウ様」「イロハ姫」
血まみれのシロウに抱きつくイロハ姫と、抱き締め返すシロウ。

「勇者のスキルを発動させたシロウこそが、イロハ姫の選んだ男だ!」

結局はイロハからシロウへ、勇者オーブを授けられたわけでもない。

けれどシロウはジペング国の誰も知らない鮮烈なスキルを発動させた。そしてマサムネ公の宣言。

大きな歓声と拍手の中、シロウとイロハ姫は公認の仲となった。

アストリア女子の視聴者が騒がしい
『よかったああ』
『シロウ様、イロハ姫とお幸せに』
『愛よ、イロハ姫の愛の力でシロウ様が勝ったんだわ』
『シロウ様ああああ』

シロウは、ギリギリで勝利を収めた。

『殉愛』のフラグもイロハ姫の愛をもって、打ち破られた。


次はアリアが沿岸警備隊と合流した、港の戦いが始まる。
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