名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します

とみっしぇる

文字の大きさ
58 / 73

58 センダイ港の攻防

しおりを挟む
アリアはセンダイの街の港に着いた。ここは入り江になってる。

私はアリア用ドロンに映る映像を見てる。

沿岸には通常の警備隊員だけ。広い港から非戦闘員を避難させると、戦える人間は40人しかいない。

大きな船が7隻。すでに先頭の船から小舟が降ろされ、方々から上陸を試みようとしている。

あらかじめ別の場所から上陸してた40人の魔族も現れた。けん制されて、警備兵は小舟を攻撃できない。

そこにアリアが走って行った。

アリアに並走してる奴がいる。確か決勝トーナメント1回戦で敗退したエルフ女子だ。

ダテ家で士官目的に自分を売り込んだらしい。けど、エルフ至上主義の匂いがぷんぷん。

おまけにシロウから恩人と紹介されたアリアを白い目で見た。

他種族に寛容なダテ家では、この種族偏重タイプを引き取りたい部隊がゼロだった。

けどエルフ女子、あきらめてない。ここで活躍して自分を売り込もうとしている。

「ハーフエルフは引っ込んでいて」

「・・そんな場合じゃないです」

アリアは知った顔を見つけた。

「ヒョウエさん手助けします」
「アリア殿、ありがたい」

シロウの実家、カタクラ家で歓迎してくれた若者が、2人の魔族に果敢に立ち向かってた。

アリアが加勢して、その2人だけは退けた。

けど、その間に最初の魔族11人が乗った小舟が岸に取り付いた。

エルフ女子は、苦戦する警備隊に見向きもせずに精霊を喚んだ。

そして小舟の魔族に火の精霊術ホムラを放った。

しかし、小舟の中にいたヒーラータイプが張った結界に、簡単に攻撃を防がれた。そして飛んできた矢で大きくのけぞらされた。


「どいて下さい」
「ハーフエルフがどうするのよ」

「誰も上陸なんてさせない。オユキサン、お願い」

『あいよ。あたしの出番だね』

いきなり3メートルで白装束の召喚獣オユキサンが現れた。

「なっ、精霊・・。こんな大きなの見たことない」
「みなさん、沿岸から離れて下さい」

アリアはエルフ女子に返事をせず、警備兵に呼びかけた。同時にオユキサンが迎撃態勢に入った。

『海から敵がきてるね。あるじ様、小舟と岸辺を凍らかすよ』

オユキサンが白い息を吐くと、近付いた小舟の周囲を凍らせた。

オユキサンの射程60メートルに入った4艘の小舟を立ち往生させた。

「ありがたい」
「シロウ様が言っておられたアリア様の隠された力とはこのことか」

先陣の魔族は止めたけど、大きな船が近付いてくる。

港に接岸して一気に多人数で攻める気だ。


アリア、無理しないでくれ・・

そんな私の言葉が聞こえてないのに、アリアはドロンに向かって何か言ってる。

「・・サラ、大丈夫だよ。私はあなたに大きな力をもらったから」


アリアは岸辺に立った。

アリアめがけて弓兵の放った矢が飛んでくる。

けど、ガギンって音がして全部の矢がアリアの前で止まった。オユキサンの氷の障壁だ。

『守りは任せておくんなさい。さぁて、あるじ様、大技の披露だよ』


大きな船はすでに港から50メートルまで迫った。

アリアは右手の指2本を前に突き出して、あえて『正しい呪文』を唱え始めた。

「雷雲の中に住みし神の子よ。閃光の力を秘めし者。その猛々しき姿を現し我に力を貸したまえ」

コメント欄
『とうとう出るぞ』
『ああ、寝ないでリアルタイム配信みて良かった』
『いけアリアちゃん』
『敵を倒してナメたエルフを驚かせてやれ』

「え、そ、その呪文は、まさか・・なんでエルフ族が・・」
女エルフの声が震えてる。

次の瞬間、エルフ女の声がかき消された。

大きな船の真上に逆さ魔法陣が浮かんでバチッ、バチッってスパークし始めた。

「イカヅチ!」

バリバリバリバリって音がして、稲妻が大きな船のマストに落ちた。目に見えるくらいの電気の帯が水面を走り、小舟も感電させた。

大きな船のマストが黒く焦げてプスプスいってた。少しの間は煙を出してたけど、いきなり船体から火が出た。

そうなのだ、「イカヅチ」は雷。雷魔法を使える魔法使いがレベル85になって、やっと習得できる。

さらに、魔力の練り方を覚えて呪文を正しく詠唱する。そしてようやく発動する。

だから強力なんだ。

女神印の力をもらったアリアは、レベル60で覚えた。そしてただ「イカヅチ」と言えば、こんな恐ろしい技を発動できる。

詠唱は女神印の異常性を隠すため。


みんな、大きな口を空けて驚いている。

「さあ、何とかなりそうです。魔王軍を退けましょう!」

アリアが大声を出すと警備隊のみんなが我に帰り、浮足だった魔族を攻撃し始めた。

アリアとオユキサンは、ビリビリの魔法、足元の凍結で敵の動きを阻害。サポートに徹した。


やがて大きな船6隻は、出撃しようとした小舟を回収し去っていった。

「おお、助かったぞ」
「我らの勝利だ」
「アリア殿のお陰だ」

「いいえ、みんなの勝利です。少人数でも勇気を持って戦ったみなさんが、街を守ったんです」

アリアが、沿岸警備隊のみんなに囲まれて勝利をわかちあってる。

「・・良かったな、アリア」


私は自分の戦いが目の前に迫ってるのに、呑気に呟いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

追放された荷物持ち、【分解】と【再構築】で万物創造師になる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーから「足手まとい」と捨てられた荷物持ちのベルク。しかし、彼が持つ外れスキル【分解】と【再構築】は、万物を意のままに創り変える「神の御業」だった! 覚醒した彼は、虐げられていた聖女ルナを救い、辺境で悠々自適なスローライフを開始する。壊れた伝説の剣を直し、ゴミから最強装備を量産し、やがて彼は世界を救う英雄へ。 一方、彼を捨てた勇者たちは没落の一途を辿り……。 最強の職人が送る、痛快な大逆転&ざまぁファンタジー!

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...