名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します

とみっしぇる

文字の大きさ
65 / 73

65 貴族フランソワは負けず嫌い

しおりを挟む
ユザワの街に入って、いきなり『勇者5』のストーリーが動き出した。

魔族を蹴散らす場面は割愛。レベル:70前後の魔族5人はジペングの人間には難敵だけど、私が最初の奴を殴ったら一斉に逃げた。

フランソワ17歳と出会って男性視聴者が沸いてるし、彼女の配信の方が間違いなくアストリアの弟妹のためになる。深追いはしない。


「ありがとうございます。フワンソワ・フォン・オーマ、アオモリと申します」

私達もそれぞれ自己紹介した。

例によって、私は視聴者に聞いてフワンソワの目的を知ってるけど、アリアは知らない。

なのでアリア達に理解してもらうため聞かんといかん。

「フランソワだったな、アオモリ侯爵家の長女がなんで、こんな危ない場所にいるんだ」
「あの・・おふたりを実力者と見込んで、お話をするのですが・・」

ここは『勇者5』のストーリー通り。

フランソワの家族は元々、両親、フランソワ、弟の4人家族。家は弟が継いで、フランソワは領内の騎士団長の長男に嫁ぐことになっていた。

しかしフランソワの母親が2年前に急逝。

妻を愛していた父侯爵は後妻をもらわないと宣言していたのに昨年一変。

年始を祝う会合で、アキタエリアから逃げてきたという貧乏男爵家の未亡人と知り合った。

あっという間に父侯爵が、その女ドロージョを後妻に迎えた。フランソワと同じ17歳の娘ネトール付き。

親子共に顔は黒目で黒髪ストレートだけど、顔立ちは私と同じような『北欧系』。

アストリア視聴者と私からしたらモブ顔でも、ヤマト世界なら傾国の美女クラスのようだ。

ふたりを家に迎えた日から優しい父親が変貌した。

フワンソワと弟のことを冷遇し始めたのだ。さらにドロージョとネトールにべったり。

とうとう跡継ぎを弟から、ネトールに変更。ネトールの婿にはフランソワの婚約者をあてがうと、しばらくしたら公式発表する。そんなこと言い出した。

それが先月。

フランソワは『姫騎士』。直接的にドロージョを排除するため、決闘をすることにした。

しかし負けた。

身長175センチと両者は同じ体格でも、鞭使いのドロージョの方が戦闘力は格段に上だった。

フランソワは奥義『ムーンダストプリンセス』まで出したのに退けられた。

そして弟を連れて逃げた。

弟は親族の隠れ家に預け、フランソワは修行に来た。

ここはストーリーと一致。  

◇◇
「で、フランソワは弟のために家を取り返そうと、武者修行に出たんだな」

「家はどうでもいいんですが、剣で負けたのが悔しくて…」

「…え」「……へ?」

私達は目が点になり、視聴者がざわついている。

『あれ、なんかフランソワのキャラが…』
『美女なのに脳肉っぽいな』

『やっぱ、リアル人物使ってたら、違いが出るか』

アストリア視聴者の男子どもがざわついている。

『勇者5』のフランソワは優しい侯爵家の長女。アオモリエリアの領民のことを考える優しいキャラ。

けれど、リアルフランソワは大貴族の跡取りを弟に放り投げ、剣術に励む脳筋。

勇者5とは違うけど、リアルな彼女もアストリア男性陣に期待されている。

フランソワの私怨を晴らしてサキュバスを倒せば、自動的に侯爵は元に戻るとか。

辻褄は合う。

先に視聴者に聞いた話。ハードモード世界だから後妻ドロージョがレベル90でHP1130。魅了魔法と火魔法、身体強化を使えるサキュバス。

娘のネトールはメスのハイオーガでレベル95。HP1426。そらフランソワのレベル43では太刀打ちできん。

私とアリアが魔装と神衣を使えば、こっちの方が強い。けど、敵のランクも上がり出してる。


「そっか、何かの縁だ。私達もユザワ特級ダンジョンに行くから、フワンソワも一緒に行かねえか」

「よろしいのですか。サラ様とアリア様のお力添えがあれば心強いですが、私が足を引っ張ることになりそうでは・・」

「こっちも仲間が多い方が助かるから遠慮すんな」

「大歓迎ですよ。私達も勇者を目指していますから、困ってる人を人助けしたいんです」

勇者アリアが力強く宣言した。

ハーフエルフでも高級装備を纏い、強者の雰囲気が出てきたアリア。

フランソワは頭を下げた。

種属による偏見はありそうな目だけれど、ハーフエルフなのに強そうなアリアに興味があるようだ。

「それでは遠慮無く。頼らせていただきます」

アストリアの男性視聴者が大喜び。

『よし!』
『そうこなくっちゃ』
『よし、フランソワを待ってたんだ』
『早くダンジョン。聖女、誘導してくれよ』

『まずはアリアちゃんとフランソワのコラボだぞ。頼むぜ聖女』

フランソワは一辺10メートル収納指輪とミスリルサーベルを家から持ち出してきた。

装備も純白のミスリル繊維入りで身体にぴったりなやつにマント。

どれも家宝だそうだ。

私とアリアがミスリル製品、無限収納持ちだとは、黙ってる。

ただの指輪を、一辺30メートルの収納指輪だとだけ、ごまかした。


さっそくユザワ特級ダンジョンに入った。

『勇者5』の中でも黒髪キャラのフランソワは、ファンが多くいる。男性視聴者期待に応える。

しばらく1階を歩いてるとレッドカウが2匹現れた。レベルは45でHP675。

「サラ、1匹は私に任せて」
「では、私にもう1匹を倒させて下さい」

アリアとフランソワが前に出た。

私は、もしもの時の援護役。

フランソワはレベル43ながら、HP603でスピードと筋力に姫騎士補正で20パーセント上方修正。

10分ほどの攻防の末に、フランソワがレッドカウを仕留めた。

しかしアリアに驚いている。

フランソワもアリアの耳を見て、ハーフエルフと分かっている。そして、種族特性による弱さを知ってる。

けどアリアだけは普通のハーフエルフとは違う。

「身体強化、ビリバリ×3」

無詠唱の魔法を4回唱えて、レッドカウを瀕死に。魔鉄のナイフでとどめを刺した。

わずか1分。

アリアはレベル72でHP572。それでも1階とはいえ余裕で特級ダンジョンの魔物を仕留めた。

おまけに『オユキサン』『イカヅチ』『神衣』と手札は山のように残っている。


仕留めた直後のアリアは大興奮で私に飛び付いてきた。

「サラやったよ。私が特級ダンジョンの魔物と戦えた」

すげえアリアが可愛い。

ただ、このシーン、アストリア視聴者からお叱りを受けた。

『アリアちゃんが飛び付くならフランソワだろ』
『聖女、次から正しく誘導しろよ』
『成功したらスパチャ出すから』

これに関しては、知らんがなとしか言えん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

追放された荷物持ち、【分解】と【再構築】で万物創造師になる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーから「足手まとい」と捨てられた荷物持ちのベルク。しかし、彼が持つ外れスキル【分解】と【再構築】は、万物を意のままに創り変える「神の御業」だった! 覚醒した彼は、虐げられていた聖女ルナを救い、辺境で悠々自適なスローライフを開始する。壊れた伝説の剣を直し、ゴミから最強装備を量産し、やがて彼は世界を救う英雄へ。 一方、彼を捨てた勇者たちは没落の一途を辿り……。 最強の職人が送る、痛快な大逆転&ざまぁファンタジー!

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...