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65 貴族フランソワは負けず嫌い
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ユザワの街に入って、いきなり『勇者5』のストーリーが動き出した。
魔族を蹴散らす場面は割愛。レベル:70前後の魔族5人はジペングの人間には難敵だけど、私が最初の奴を殴ったら一斉に逃げた。
フランソワ17歳と出会って男性視聴者が沸いてるし、彼女の配信の方が間違いなくアストリアの弟妹のためになる。深追いはしない。
◆
「ありがとうございます。フワンソワ・フォン・オーマ、アオモリと申します」
私達もそれぞれ自己紹介した。
例によって、私は視聴者に聞いてフワンソワの目的を知ってるけど、アリアは知らない。
なのでアリア達に理解してもらうため聞かんといかん。
「フランソワだったな、アオモリ侯爵家の長女がなんで、こんな危ない場所にいるんだ」
「あの・・おふたりを実力者と見込んで、お話をするのですが・・」
ここは『勇者5』のストーリー通り。
フランソワの家族は元々、両親、フランソワ、弟の4人家族。家は弟が継いで、フランソワは領内の騎士団長の長男に嫁ぐことになっていた。
しかしフランソワの母親が2年前に急逝。
妻を愛していた父侯爵は後妻をもらわないと宣言していたのに昨年一変。
年始を祝う会合で、アキタエリアから逃げてきたという貧乏男爵家の未亡人と知り合った。
あっという間に父侯爵が、その女ドロージョを後妻に迎えた。フランソワと同じ17歳の娘ネトール付き。
親子共に顔は黒目で黒髪ストレートだけど、顔立ちは私と同じような『北欧系』。
アストリア視聴者と私からしたらモブ顔でも、ヤマト世界なら傾国の美女クラスのようだ。
ふたりを家に迎えた日から優しい父親が変貌した。
フワンソワと弟のことを冷遇し始めたのだ。さらにドロージョとネトールにべったり。
とうとう跡継ぎを弟から、ネトールに変更。ネトールの婿にはフランソワの婚約者をあてがうと、しばらくしたら公式発表する。そんなこと言い出した。
それが先月。
フランソワは『姫騎士』。直接的にドロージョを排除するため、決闘をすることにした。
しかし負けた。
身長175センチと両者は同じ体格でも、鞭使いのドロージョの方が戦闘力は格段に上だった。
フランソワは奥義『ムーンダストプリンセス』まで出したのに退けられた。
そして弟を連れて逃げた。
弟は親族の隠れ家に預け、フランソワは修行に来た。
ここはストーリーと一致。
◇◇
「で、フランソワは弟のために家を取り返そうと、武者修行に出たんだな」
「家はどうでもいいんですが、剣で負けたのが悔しくて…」
「…え」「……へ?」
私達は目が点になり、視聴者がざわついている。
『あれ、なんかフランソワのキャラが…』
『美女なのに脳肉っぽいな』
『やっぱ、リアル人物使ってたら、違いが出るか』
アストリア視聴者の男子どもがざわついている。
『勇者5』のフランソワは優しい侯爵家の長女。アオモリエリアの領民のことを考える優しいキャラ。
けれど、リアルフランソワは大貴族の跡取りを弟に放り投げ、剣術に励む脳筋。
勇者5とは違うけど、リアルな彼女もアストリア男性陣に期待されている。
フランソワの私怨を晴らしてサキュバスを倒せば、自動的に侯爵は元に戻るとか。
辻褄は合う。
先に視聴者に聞いた話。ハードモード世界だから後妻ドロージョがレベル90でHP1130。魅了魔法と火魔法、身体強化を使えるサキュバス。
娘のネトールはメスのハイオーガでレベル95。HP1426。そらフランソワのレベル43では太刀打ちできん。
私とアリアが魔装と神衣を使えば、こっちの方が強い。けど、敵のランクも上がり出してる。
「そっか、何かの縁だ。私達もユザワ特級ダンジョンに行くから、フワンソワも一緒に行かねえか」
「よろしいのですか。サラ様とアリア様のお力添えがあれば心強いですが、私が足を引っ張ることになりそうでは・・」
「こっちも仲間が多い方が助かるから遠慮すんな」
「大歓迎ですよ。私達も勇者を目指していますから、困ってる人を人助けしたいんです」
勇者アリアが力強く宣言した。
ハーフエルフでも高級装備を纏い、強者の雰囲気が出てきたアリア。
フランソワは頭を下げた。
種属による偏見はありそうな目だけれど、ハーフエルフなのに強そうなアリアに興味があるようだ。
「それでは遠慮無く。頼らせていただきます」
アストリアの男性視聴者が大喜び。
『よし!』
『そうこなくっちゃ』
『よし、フランソワを待ってたんだ』
『早くダンジョン。聖女、誘導してくれよ』
『まずはアリアちゃんとフランソワのコラボだぞ。頼むぜ聖女』
フランソワは一辺10メートル収納指輪とミスリルサーベルを家から持ち出してきた。
装備も純白のミスリル繊維入りで身体にぴったりなやつにマント。
どれも家宝だそうだ。
私とアリアがミスリル製品、無限収納持ちだとは、黙ってる。
ただの指輪を、一辺30メートルの収納指輪だとだけ、ごまかした。
◆
さっそくユザワ特級ダンジョンに入った。
『勇者5』の中でも黒髪キャラのフランソワは、ファンが多くいる。男性視聴者期待に応える。
しばらく1階を歩いてるとレッドカウが2匹現れた。レベルは45でHP675。
「サラ、1匹は私に任せて」
「では、私にもう1匹を倒させて下さい」
アリアとフランソワが前に出た。
私は、もしもの時の援護役。
フランソワはレベル43ながら、HP603でスピードと筋力に姫騎士補正で20パーセント上方修正。
10分ほどの攻防の末に、フランソワがレッドカウを仕留めた。
しかしアリアに驚いている。
フランソワもアリアの耳を見て、ハーフエルフと分かっている。そして、種族特性による弱さを知ってる。
けどアリアだけは普通のハーフエルフとは違う。
「身体強化、ビリバリ×3」
無詠唱の魔法を4回唱えて、レッドカウを瀕死に。魔鉄のナイフでとどめを刺した。
わずか1分。
アリアはレベル72でHP572。それでも1階とはいえ余裕で特級ダンジョンの魔物を仕留めた。
おまけに『オユキサン』『イカヅチ』『神衣』と手札は山のように残っている。
仕留めた直後のアリアは大興奮で私に飛び付いてきた。
「サラやったよ。私が特級ダンジョンの魔物と戦えた」
すげえアリアが可愛い。
ただ、このシーン、アストリア視聴者からお叱りを受けた。
『アリアちゃんが飛び付くならフランソワだろ』
『聖女、次から正しく誘導しろよ』
『成功したらスパチャ出すから』
これに関しては、知らんがなとしか言えん。
魔族を蹴散らす場面は割愛。レベル:70前後の魔族5人はジペングの人間には難敵だけど、私が最初の奴を殴ったら一斉に逃げた。
フランソワ17歳と出会って男性視聴者が沸いてるし、彼女の配信の方が間違いなくアストリアの弟妹のためになる。深追いはしない。
◆
「ありがとうございます。フワンソワ・フォン・オーマ、アオモリと申します」
私達もそれぞれ自己紹介した。
例によって、私は視聴者に聞いてフワンソワの目的を知ってるけど、アリアは知らない。
なのでアリア達に理解してもらうため聞かんといかん。
「フランソワだったな、アオモリ侯爵家の長女がなんで、こんな危ない場所にいるんだ」
「あの・・おふたりを実力者と見込んで、お話をするのですが・・」
ここは『勇者5』のストーリー通り。
フランソワの家族は元々、両親、フランソワ、弟の4人家族。家は弟が継いで、フランソワは領内の騎士団長の長男に嫁ぐことになっていた。
しかしフランソワの母親が2年前に急逝。
妻を愛していた父侯爵は後妻をもらわないと宣言していたのに昨年一変。
年始を祝う会合で、アキタエリアから逃げてきたという貧乏男爵家の未亡人と知り合った。
あっという間に父侯爵が、その女ドロージョを後妻に迎えた。フランソワと同じ17歳の娘ネトール付き。
親子共に顔は黒目で黒髪ストレートだけど、顔立ちは私と同じような『北欧系』。
アストリア視聴者と私からしたらモブ顔でも、ヤマト世界なら傾国の美女クラスのようだ。
ふたりを家に迎えた日から優しい父親が変貌した。
フワンソワと弟のことを冷遇し始めたのだ。さらにドロージョとネトールにべったり。
とうとう跡継ぎを弟から、ネトールに変更。ネトールの婿にはフランソワの婚約者をあてがうと、しばらくしたら公式発表する。そんなこと言い出した。
それが先月。
フランソワは『姫騎士』。直接的にドロージョを排除するため、決闘をすることにした。
しかし負けた。
身長175センチと両者は同じ体格でも、鞭使いのドロージョの方が戦闘力は格段に上だった。
フランソワは奥義『ムーンダストプリンセス』まで出したのに退けられた。
そして弟を連れて逃げた。
弟は親族の隠れ家に預け、フランソワは修行に来た。
ここはストーリーと一致。
◇◇
「で、フランソワは弟のために家を取り返そうと、武者修行に出たんだな」
「家はどうでもいいんですが、剣で負けたのが悔しくて…」
「…え」「……へ?」
私達は目が点になり、視聴者がざわついている。
『あれ、なんかフランソワのキャラが…』
『美女なのに脳肉っぽいな』
『やっぱ、リアル人物使ってたら、違いが出るか』
アストリア視聴者の男子どもがざわついている。
『勇者5』のフランソワは優しい侯爵家の長女。アオモリエリアの領民のことを考える優しいキャラ。
けれど、リアルフランソワは大貴族の跡取りを弟に放り投げ、剣術に励む脳筋。
勇者5とは違うけど、リアルな彼女もアストリア男性陣に期待されている。
フランソワの私怨を晴らしてサキュバスを倒せば、自動的に侯爵は元に戻るとか。
辻褄は合う。
先に視聴者に聞いた話。ハードモード世界だから後妻ドロージョがレベル90でHP1130。魅了魔法と火魔法、身体強化を使えるサキュバス。
娘のネトールはメスのハイオーガでレベル95。HP1426。そらフランソワのレベル43では太刀打ちできん。
私とアリアが魔装と神衣を使えば、こっちの方が強い。けど、敵のランクも上がり出してる。
「そっか、何かの縁だ。私達もユザワ特級ダンジョンに行くから、フワンソワも一緒に行かねえか」
「よろしいのですか。サラ様とアリア様のお力添えがあれば心強いですが、私が足を引っ張ることになりそうでは・・」
「こっちも仲間が多い方が助かるから遠慮すんな」
「大歓迎ですよ。私達も勇者を目指していますから、困ってる人を人助けしたいんです」
勇者アリアが力強く宣言した。
ハーフエルフでも高級装備を纏い、強者の雰囲気が出てきたアリア。
フランソワは頭を下げた。
種属による偏見はありそうな目だけれど、ハーフエルフなのに強そうなアリアに興味があるようだ。
「それでは遠慮無く。頼らせていただきます」
アストリアの男性視聴者が大喜び。
『よし!』
『そうこなくっちゃ』
『よし、フランソワを待ってたんだ』
『早くダンジョン。聖女、誘導してくれよ』
『まずはアリアちゃんとフランソワのコラボだぞ。頼むぜ聖女』
フランソワは一辺10メートル収納指輪とミスリルサーベルを家から持ち出してきた。
装備も純白のミスリル繊維入りで身体にぴったりなやつにマント。
どれも家宝だそうだ。
私とアリアがミスリル製品、無限収納持ちだとは、黙ってる。
ただの指輪を、一辺30メートルの収納指輪だとだけ、ごまかした。
◆
さっそくユザワ特級ダンジョンに入った。
『勇者5』の中でも黒髪キャラのフランソワは、ファンが多くいる。男性視聴者期待に応える。
しばらく1階を歩いてるとレッドカウが2匹現れた。レベルは45でHP675。
「サラ、1匹は私に任せて」
「では、私にもう1匹を倒させて下さい」
アリアとフランソワが前に出た。
私は、もしもの時の援護役。
フランソワはレベル43ながら、HP603でスピードと筋力に姫騎士補正で20パーセント上方修正。
10分ほどの攻防の末に、フランソワがレッドカウを仕留めた。
しかしアリアに驚いている。
フランソワもアリアの耳を見て、ハーフエルフと分かっている。そして、種族特性による弱さを知ってる。
けどアリアだけは普通のハーフエルフとは違う。
「身体強化、ビリバリ×3」
無詠唱の魔法を4回唱えて、レッドカウを瀕死に。魔鉄のナイフでとどめを刺した。
わずか1分。
アリアはレベル72でHP572。それでも1階とはいえ余裕で特級ダンジョンの魔物を仕留めた。
おまけに『オユキサン』『イカヅチ』『神衣』と手札は山のように残っている。
仕留めた直後のアリアは大興奮で私に飛び付いてきた。
「サラやったよ。私が特級ダンジョンの魔物と戦えた」
すげえアリアが可愛い。
ただ、このシーン、アストリア視聴者からお叱りを受けた。
『アリアちゃんが飛び付くならフランソワだろ』
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