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第20話:ボランティア
第20話:ボランティア
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俺シュウ・タチバナ、元は地球の55歳のおっさんで、甥っ子を1人立派に育て上げた経験がある。
人生の半分以上を他人のために尽くして生きてきたつもりだった。
それが、ある日階段から滑って頭を強打し、そのまま意識を失って死亡。
そして目が覚めたら、白い空間に立っていた。
そこには、透き通るような声で「ゴメンね~、間違っちゃった」と言いながら、きらきらと光るドレスを纏った女神がいた。
エリシアという名前だった。
彼女は、俺が死んだのはミスだったと告げ、お詫びとして異世界エリュシアへの転生を約束した。
若返りは当然、チート能力もつけてくれるという。
「え、つまり俺、やり直しってことか?」
「そういうこと! しかもね、貴族として生まれ変わるの。地位も名誉も、力も全部あるよ。楽しみでしょ?」
「⋯⋯楽しみって言うか、なんというか⋯⋯」
「気にしないで! さあ、行ってらっしゃい!」
そう言って、女神は指を鳴らすと、俺の意識は再び光に包まれた。
気が付いたら、森の中にあるログハウスの前だった。
それから一年半が経ち、俺はこの異世界で少しずつ自分の居場所を作ってきた。
自然と調和した暮らしの中で、今は8人の家族と暮らしている。
ネロ、11歳。
茶髪に翡翠色の瞳。
未来視の能力を持っていて、時々「兄ちゃん、明日雨降るよ」とか「今日、馬車が壊れるかも」とか言ってくる。
正確率は8割くらい。
でも、その瞳の奥には、どこか寂しさがある。
彼もまた、孤児だった。
俺が彼を拾った日、彼は「もう、誰も俺のこと見てくれないと思ってた」と泣いていた。
それ以来、俺は彼を「兄ちゃん」と呼ぶことを許した。
そして、ある日、彼が「兄ちゃん、俺、毎日オナニーしてる」と真剣な顔で告白してきた。
俺は一瞬固まったが、すぐに「そっか、成長してるんだな」と笑って受け入れた。
異世界では、性に対してオープンな文化がある。
子供たちも、自分の身体に興味を持つのは自然なこと。
俺もおっさん魂で「無理しないでね」と一言添えた。
リオ、12歳。
黒髪に茶色の瞳。
黒狼族の末裔で、星の守護者の血を引く。
彼も孤児で、奴隷商人に連れられていたところを俺が助けた。
今は「兄さん」と呼んでくれる。
彼もまた、毎日オナニーをしていると公言している。
狼族の習性なのか、夜になると耳がピンと立って「兄さん、今から部屋行くね」と言いながら去っていく。
俺は「了解」としか言えない。
フェイ、19歳。
銀髪碧眼の騎士団長。
エリュシア王国直属の精鋭部隊のトップだが、俺のことを「シュウ様」と呼び、常に礼儀正しく接する。
だが、その礼儀正しさの裏で、毎日子供たちと一緒にオナニーに励んでいるという。
ある日、俺が廊下を歩いていると、リオとネロが「フェイ兄ちゃん、今日も一緒にやる?」と誘っているのを目撃した。
フェイは「もちろんです、若き戦士たち」と真面目な顔で答えていた。
俺は思わず「お前ら、何やってんの⋯⋯」と呟いたが、フェイは「シュウ様、若者の健全な成長には、適切な発散が不可欠です」と真顔で説明してきた。
俺は「⋯⋯まあ、異世界だからな」と納得した。
アレン、21歳。
黒髪茶眼。
星の守護者の生まれ変わりとされる存在。
エレスティア王国の第一王子だが、王位継承権を辞退し、弟のヨシュアに譲った。
俺のことを「シュウ」と呼び捨てにする唯一の人物。
性格はクールで、口数は少ないが、オナニーに関しては非常に積極的。
毎日、決まった時間に部屋に入っていき、数十分後に出てくる。
ある日、俺が「お前、毎日やってるよな?」と聞くと、「当然だ。精神の安定には、肉体の調整が必要だ」と真剣に答えた。
俺は「⋯⋯お前、哲学か何かか?」とツッコんだ。
ヨシュア、19歳。
銀髪碧眼の第二王子。次期国王として教育されているが、まだオナニーは初心者。
週に1回くらいのペースで「シュウさん、これでいいですか?」と俺に相談してくる。
俺は「お前、俺に聞くな⋯⋯」と困惑するが、彼は真剣そのもの。
ある日、ミラに「ヨシュア王子、最近夜更かししてませんか?」と聞かれて、俺は「⋯⋯いや、ちょっとだけ」と誤魔化した。
ミラ、18歳。
金髪赤眼の薬師。
家事が得意で、毎日庭園や薬草園を管理し、薬を作っている。
彼女だけは、男性陣のオナニー事情に全く気が付いていない。
朝はハーブティーを淹れ、夕方には薬膳料理を作り、夜には「皆、お風呂入った? 風邪引かないようにね」と声をかける。
彼女の純粋さが、この家の心の安定剤になっている。
俺は「ミラだけは、このまま気づかないでいてくれ」と内心祈っている。
ウォルフ。
銀狼フェンリルの森の守護者。
人語を解し、話すこともできる。
人間の姿にも変化可能で、普段は銀髪の青年の姿をしているが、本性は狼。
ある日、「俺たちは繁殖のために生きる。だが、人間のように快楽のために身体を使うのは、自然の摂理に反する」と真面目に語っていた。
俺は「⋯⋯まあ、それはそうだけど」と返したが、内心「お前、結構ストイックだな」と思った。
ラム。
九尾の銀狐の姿をした大精霊。
古代樹・生命樹の護り手にして、幾万年を生き続ける智慧者。
人間の姿になると、銀髪に銀色の瞳の美しい女性になる。
古代魔法が得意で、時々俺に「お前、未来視の才能あるぞ」とか「星の流れがお前を導いている」とか言ってくる。
ある日、「肉体の快楽は一時のもの。魂の成長こそが永遠の喜びだ」と説いたが、俺は「⋯⋯ラムさん、それ聞いてる子供たち全員オナニーしてますよ」と返した。
彼女は「⋯⋯それは、彼らの選択だ」と静かに答えた。
そんな日々の中、今日はボランティアの日だった。
近くの街の貧民街に住む若者たちを、温泉に連れて行くという企画。
俺が主催し、フェイとアレンが協力してくれることになった。馬車を数台借りて、男性50人、女性40人、俺たち含めて合計97人を連れて行く。
朝からログハウスは騒がしかった。
「兄ちゃん、準備できたよ!」
とネロが走ってくる。
「シュウ様、馬車の確認を終えました」
とフェイが報告。
「シュウ、荷物積み終わった」
とアレン。
「シュウさん、緊張します⋯⋯」
とヨシュア。
「大丈夫だ、楽しんで来よう」
と俺は笑った。
ミラは「皆さん、お弁当とお茶を用意しました。暑いので、水分補給は忘れずに」と手作りの弁当箱を渡してくれた。
彼女の手料理はいつも温かく、心がこもっている。
出発の合図とともに、幌付きの馬車がゆっくりと森の中の道を進んでいく。
若者たちは初めての馬車に興奮し、窓から顔を出して「わあ!」「森だ!」「鳥がいる!」と叫びながらはしゃいでいる。
女性たちは「シュウ様、ありがとうございます」と頭を下げつつ、友達と笑い合っている。
「兄ちゃん、貧民街の人はみんな、兄ちゃんのこと尊敬してるよ」
とネロが言う。
「そうか?」
「うん。兄ちゃんが大浴場を作ってくれたし、薬を安く配ってくれたし、仕事も紹介してくれた。みんな、兄ちゃんを“光の公爵”って呼んでる」
「⋯⋯光の公爵か。ちょっと恥ずかしいな」
2時間ほどで、温泉宿に到着。
ここは俺が所有する所有地にある天然温泉で、普段は家族専用だが、今日は特別に開放した。
「さあ、男女別に分かれて入ってください。男性用と女性用、それぞれ広い温泉があります。時間はたっぷりありますので、ゆっくりどうぞ」
「「「やったああぁぁぁ!」」」
若者たちは叫びながら、服を脱ぎ捨て、素っ裸のまま温泉へと走っていった。
俺は男性用の温泉の外で見張りをしていたが、中からは笑い声と水音が聞こえてくる。
「おーい、温いなあ!」
「俺、初めて温泉入ったわ!」
「すげえ、肌がつるつるになる!」
だが、しばらくすると、女性用の温泉から聞こえるはしゃぐ声に反応して、男性たちの声が少しずつ変化してきた。
「⋯⋯あー⋯⋯」
「うっ⋯⋯」
「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯」
俺は耳を澄ませ、思わず「⋯⋯お前ら、またか」と呟いた。
中を覗くと、全員が湯船の中で下半身を隠すように手を動かしている。
顔は恍惚としていて、目を閉じている者もいる。
「⋯⋯異世界だからか⋯⋯」
俺は深くため息をついた。
前世では考えられない光景だが、ここではこれが普通らしい。
アレンも「これは自然な欲求の発散だ」と言うし、フェイも「若者の健全な発育には必要不可欠です」と真顔で語る。
やがて、温泉から上がった男性たちは、全員がスッキリした顔をしている。
「シュウ様、最高でした!」
「俺、生まれ変わった気分です!」
「また来たい!」
女性たちも「とても綺麗な温泉でした。体が芯から温まりました」と喜んでくれた。
彼女たちはオナニーの話題には触れないが、男性たちの様子を完全に理解していないわけではないようだ。
ある若い女性が「男の人たち、何か変な顔してたけど⋯⋯大丈夫?」とミラに聞いていた。
ミラは「え? 何かあったんですか?」と首を傾げていた。
温泉の後は、広い庭でバーベキューや手作り料理を囲んでの食事会。
ミラの薬膳料理に加え、フェイが狩ってきた鹿の肉、アレンが魔法で冷やした果物、ネロとリオが採ってきた山菜などが並ぶ。
皆、目を輝かせて食べていた。
「シュウ様、これ、めっちゃうまい!」
「薬師のミラさん、ありがとう! 体が軽くなった!」
「俺、今日が人生で一番幸せかも」
その言葉に、俺の胸が熱くなった。
前世でも、誰かの役に立つことに喜びを感じてきた。
それが、ここでも同じだ。
食事が終わり、馬車に乗り込む頃には、空には星が瞬いていた。
「また連れてってくれ!」
「年に何回でもいいから!」
「シュウ様、神様だ!」
皆の声に、俺は「年に数回、必ず連れてくる。約束する」と言った。
すると、彼らは歓声を上げ、手を振りながら帰っていった。
ログハウスに戻ると、ミラが、
「皆、とても喜んでいましたね。シュウさん、本当に偉いです」
と微笑んだ。
「いや、俺はただ⋯⋯みんなが笑ってくれれば、それでいいんだ」
そして、夜。
男性陣のオナニータイムが始まる。
ネロとリオが「兄ちゃん、そろそろ行くね」と言い、フェイとアレンも「では、本日の精錬を」と風呂場に入っていく。
ヨシュアは「シュウさん、今日は⋯⋯ちょっとだけ」と恥ずかしそうに風呂場へ。
俺は居間でラムとウォルフとコーヒーを飲みながら、今日のことを話していた。
「シュウ、お前たちの文化は、実に興味深い。快楽と成長が結びついている」
「だが、俺たちの世界では、それは禁忌に近い。繁殖以外の行為は、無駄とされる」
「⋯⋯まあ、お互いの価値観だな」
そして、俺もベッドに入り、今日の一日を振り返った。
異世界に来て一年半。
おっさんだった俺が、若者として第二の人生を歩んでいる。
養子たち、仲間たち、そしてこの世界の文化。
全部が、少しずつ俺の心を満たしている。
「⋯⋯まあ、いいか。オナニーも、愛だしな」
そう言って、俺は笑い、静かな夜に包まれて眠りについた。
翌朝、ミラが、
「シュウさん、今日も天気いいですよ。薬草摘みに行きますか?」
と声をかけてきた。
「ああ、もちろん。みんなも手伝ってくれるかな」
「はい! 兄ちゃん、俺も行く!」
「シュウ様、私も参ります」
「了解」
「⋯⋯ちょっとだけ、その後風呂に行くけど」
俺は「⋯⋯了解」とだけ答えた。
異世界の暮らしは、今日も続いていく。
人生の半分以上を他人のために尽くして生きてきたつもりだった。
それが、ある日階段から滑って頭を強打し、そのまま意識を失って死亡。
そして目が覚めたら、白い空間に立っていた。
そこには、透き通るような声で「ゴメンね~、間違っちゃった」と言いながら、きらきらと光るドレスを纏った女神がいた。
エリシアという名前だった。
彼女は、俺が死んだのはミスだったと告げ、お詫びとして異世界エリュシアへの転生を約束した。
若返りは当然、チート能力もつけてくれるという。
「え、つまり俺、やり直しってことか?」
「そういうこと! しかもね、貴族として生まれ変わるの。地位も名誉も、力も全部あるよ。楽しみでしょ?」
「⋯⋯楽しみって言うか、なんというか⋯⋯」
「気にしないで! さあ、行ってらっしゃい!」
そう言って、女神は指を鳴らすと、俺の意識は再び光に包まれた。
気が付いたら、森の中にあるログハウスの前だった。
それから一年半が経ち、俺はこの異世界で少しずつ自分の居場所を作ってきた。
自然と調和した暮らしの中で、今は8人の家族と暮らしている。
ネロ、11歳。
茶髪に翡翠色の瞳。
未来視の能力を持っていて、時々「兄ちゃん、明日雨降るよ」とか「今日、馬車が壊れるかも」とか言ってくる。
正確率は8割くらい。
でも、その瞳の奥には、どこか寂しさがある。
彼もまた、孤児だった。
俺が彼を拾った日、彼は「もう、誰も俺のこと見てくれないと思ってた」と泣いていた。
それ以来、俺は彼を「兄ちゃん」と呼ぶことを許した。
そして、ある日、彼が「兄ちゃん、俺、毎日オナニーしてる」と真剣な顔で告白してきた。
俺は一瞬固まったが、すぐに「そっか、成長してるんだな」と笑って受け入れた。
異世界では、性に対してオープンな文化がある。
子供たちも、自分の身体に興味を持つのは自然なこと。
俺もおっさん魂で「無理しないでね」と一言添えた。
リオ、12歳。
黒髪に茶色の瞳。
黒狼族の末裔で、星の守護者の血を引く。
彼も孤児で、奴隷商人に連れられていたところを俺が助けた。
今は「兄さん」と呼んでくれる。
彼もまた、毎日オナニーをしていると公言している。
狼族の習性なのか、夜になると耳がピンと立って「兄さん、今から部屋行くね」と言いながら去っていく。
俺は「了解」としか言えない。
フェイ、19歳。
銀髪碧眼の騎士団長。
エリュシア王国直属の精鋭部隊のトップだが、俺のことを「シュウ様」と呼び、常に礼儀正しく接する。
だが、その礼儀正しさの裏で、毎日子供たちと一緒にオナニーに励んでいるという。
ある日、俺が廊下を歩いていると、リオとネロが「フェイ兄ちゃん、今日も一緒にやる?」と誘っているのを目撃した。
フェイは「もちろんです、若き戦士たち」と真面目な顔で答えていた。
俺は思わず「お前ら、何やってんの⋯⋯」と呟いたが、フェイは「シュウ様、若者の健全な成長には、適切な発散が不可欠です」と真顔で説明してきた。
俺は「⋯⋯まあ、異世界だからな」と納得した。
アレン、21歳。
黒髪茶眼。
星の守護者の生まれ変わりとされる存在。
エレスティア王国の第一王子だが、王位継承権を辞退し、弟のヨシュアに譲った。
俺のことを「シュウ」と呼び捨てにする唯一の人物。
性格はクールで、口数は少ないが、オナニーに関しては非常に積極的。
毎日、決まった時間に部屋に入っていき、数十分後に出てくる。
ある日、俺が「お前、毎日やってるよな?」と聞くと、「当然だ。精神の安定には、肉体の調整が必要だ」と真剣に答えた。
俺は「⋯⋯お前、哲学か何かか?」とツッコんだ。
ヨシュア、19歳。
銀髪碧眼の第二王子。次期国王として教育されているが、まだオナニーは初心者。
週に1回くらいのペースで「シュウさん、これでいいですか?」と俺に相談してくる。
俺は「お前、俺に聞くな⋯⋯」と困惑するが、彼は真剣そのもの。
ある日、ミラに「ヨシュア王子、最近夜更かししてませんか?」と聞かれて、俺は「⋯⋯いや、ちょっとだけ」と誤魔化した。
ミラ、18歳。
金髪赤眼の薬師。
家事が得意で、毎日庭園や薬草園を管理し、薬を作っている。
彼女だけは、男性陣のオナニー事情に全く気が付いていない。
朝はハーブティーを淹れ、夕方には薬膳料理を作り、夜には「皆、お風呂入った? 風邪引かないようにね」と声をかける。
彼女の純粋さが、この家の心の安定剤になっている。
俺は「ミラだけは、このまま気づかないでいてくれ」と内心祈っている。
ウォルフ。
銀狼フェンリルの森の守護者。
人語を解し、話すこともできる。
人間の姿にも変化可能で、普段は銀髪の青年の姿をしているが、本性は狼。
ある日、「俺たちは繁殖のために生きる。だが、人間のように快楽のために身体を使うのは、自然の摂理に反する」と真面目に語っていた。
俺は「⋯⋯まあ、それはそうだけど」と返したが、内心「お前、結構ストイックだな」と思った。
ラム。
九尾の銀狐の姿をした大精霊。
古代樹・生命樹の護り手にして、幾万年を生き続ける智慧者。
人間の姿になると、銀髪に銀色の瞳の美しい女性になる。
古代魔法が得意で、時々俺に「お前、未来視の才能あるぞ」とか「星の流れがお前を導いている」とか言ってくる。
ある日、「肉体の快楽は一時のもの。魂の成長こそが永遠の喜びだ」と説いたが、俺は「⋯⋯ラムさん、それ聞いてる子供たち全員オナニーしてますよ」と返した。
彼女は「⋯⋯それは、彼らの選択だ」と静かに答えた。
そんな日々の中、今日はボランティアの日だった。
近くの街の貧民街に住む若者たちを、温泉に連れて行くという企画。
俺が主催し、フェイとアレンが協力してくれることになった。馬車を数台借りて、男性50人、女性40人、俺たち含めて合計97人を連れて行く。
朝からログハウスは騒がしかった。
「兄ちゃん、準備できたよ!」
とネロが走ってくる。
「シュウ様、馬車の確認を終えました」
とフェイが報告。
「シュウ、荷物積み終わった」
とアレン。
「シュウさん、緊張します⋯⋯」
とヨシュア。
「大丈夫だ、楽しんで来よう」
と俺は笑った。
ミラは「皆さん、お弁当とお茶を用意しました。暑いので、水分補給は忘れずに」と手作りの弁当箱を渡してくれた。
彼女の手料理はいつも温かく、心がこもっている。
出発の合図とともに、幌付きの馬車がゆっくりと森の中の道を進んでいく。
若者たちは初めての馬車に興奮し、窓から顔を出して「わあ!」「森だ!」「鳥がいる!」と叫びながらはしゃいでいる。
女性たちは「シュウ様、ありがとうございます」と頭を下げつつ、友達と笑い合っている。
「兄ちゃん、貧民街の人はみんな、兄ちゃんのこと尊敬してるよ」
とネロが言う。
「そうか?」
「うん。兄ちゃんが大浴場を作ってくれたし、薬を安く配ってくれたし、仕事も紹介してくれた。みんな、兄ちゃんを“光の公爵”って呼んでる」
「⋯⋯光の公爵か。ちょっと恥ずかしいな」
2時間ほどで、温泉宿に到着。
ここは俺が所有する所有地にある天然温泉で、普段は家族専用だが、今日は特別に開放した。
「さあ、男女別に分かれて入ってください。男性用と女性用、それぞれ広い温泉があります。時間はたっぷりありますので、ゆっくりどうぞ」
「「「やったああぁぁぁ!」」」
若者たちは叫びながら、服を脱ぎ捨て、素っ裸のまま温泉へと走っていった。
俺は男性用の温泉の外で見張りをしていたが、中からは笑い声と水音が聞こえてくる。
「おーい、温いなあ!」
「俺、初めて温泉入ったわ!」
「すげえ、肌がつるつるになる!」
だが、しばらくすると、女性用の温泉から聞こえるはしゃぐ声に反応して、男性たちの声が少しずつ変化してきた。
「⋯⋯あー⋯⋯」
「うっ⋯⋯」
「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯」
俺は耳を澄ませ、思わず「⋯⋯お前ら、またか」と呟いた。
中を覗くと、全員が湯船の中で下半身を隠すように手を動かしている。
顔は恍惚としていて、目を閉じている者もいる。
「⋯⋯異世界だからか⋯⋯」
俺は深くため息をついた。
前世では考えられない光景だが、ここではこれが普通らしい。
アレンも「これは自然な欲求の発散だ」と言うし、フェイも「若者の健全な発育には必要不可欠です」と真顔で語る。
やがて、温泉から上がった男性たちは、全員がスッキリした顔をしている。
「シュウ様、最高でした!」
「俺、生まれ変わった気分です!」
「また来たい!」
女性たちも「とても綺麗な温泉でした。体が芯から温まりました」と喜んでくれた。
彼女たちはオナニーの話題には触れないが、男性たちの様子を完全に理解していないわけではないようだ。
ある若い女性が「男の人たち、何か変な顔してたけど⋯⋯大丈夫?」とミラに聞いていた。
ミラは「え? 何かあったんですか?」と首を傾げていた。
温泉の後は、広い庭でバーベキューや手作り料理を囲んでの食事会。
ミラの薬膳料理に加え、フェイが狩ってきた鹿の肉、アレンが魔法で冷やした果物、ネロとリオが採ってきた山菜などが並ぶ。
皆、目を輝かせて食べていた。
「シュウ様、これ、めっちゃうまい!」
「薬師のミラさん、ありがとう! 体が軽くなった!」
「俺、今日が人生で一番幸せかも」
その言葉に、俺の胸が熱くなった。
前世でも、誰かの役に立つことに喜びを感じてきた。
それが、ここでも同じだ。
食事が終わり、馬車に乗り込む頃には、空には星が瞬いていた。
「また連れてってくれ!」
「年に何回でもいいから!」
「シュウ様、神様だ!」
皆の声に、俺は「年に数回、必ず連れてくる。約束する」と言った。
すると、彼らは歓声を上げ、手を振りながら帰っていった。
ログハウスに戻ると、ミラが、
「皆、とても喜んでいましたね。シュウさん、本当に偉いです」
と微笑んだ。
「いや、俺はただ⋯⋯みんなが笑ってくれれば、それでいいんだ」
そして、夜。
男性陣のオナニータイムが始まる。
ネロとリオが「兄ちゃん、そろそろ行くね」と言い、フェイとアレンも「では、本日の精錬を」と風呂場に入っていく。
ヨシュアは「シュウさん、今日は⋯⋯ちょっとだけ」と恥ずかしそうに風呂場へ。
俺は居間でラムとウォルフとコーヒーを飲みながら、今日のことを話していた。
「シュウ、お前たちの文化は、実に興味深い。快楽と成長が結びついている」
「だが、俺たちの世界では、それは禁忌に近い。繁殖以外の行為は、無駄とされる」
「⋯⋯まあ、お互いの価値観だな」
そして、俺もベッドに入り、今日の一日を振り返った。
異世界に来て一年半。
おっさんだった俺が、若者として第二の人生を歩んでいる。
養子たち、仲間たち、そしてこの世界の文化。
全部が、少しずつ俺の心を満たしている。
「⋯⋯まあ、いいか。オナニーも、愛だしな」
そう言って、俺は笑い、静かな夜に包まれて眠りについた。
翌朝、ミラが、
「シュウさん、今日も天気いいですよ。薬草摘みに行きますか?」
と声をかけてきた。
「ああ、もちろん。みんなも手伝ってくれるかな」
「はい! 兄ちゃん、俺も行く!」
「シュウ様、私も参ります」
「了解」
「⋯⋯ちょっとだけ、その後風呂に行くけど」
俺は「⋯⋯了解」とだけ答えた。
異世界の暮らしは、今日も続いていく。
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