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第47話:名を持つ影、光の子として
第47話:名を持つ影、光の子として
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星の核が開いた瞬間、
星の道全体が深い呼吸をした。
光が吸い込まれ、
光が吐き出され、
そのたびに空間が震え、
星の粒が霧のように舞い上がる。
黒い獣だった“影”は、
その光の中心でゆっくりと形を変えていた。
霧がほどけ、
輪郭が整い、
光が骨格を作り、
星の粒が肌のようにまとわりつく。
その姿は――
まだ不完全で、
まだ揺らいでいて、
けれど確かに“生まれようとしている”。
ネロが息を呑む。
「⋯⋯兄ちゃん⋯⋯あれ⋯⋯もう“獣”じゃない⋯⋯」
リオは、喉の奥で低く唸った。
「兄さん⋯⋯あれ⋯⋯“形になりたい”って⋯⋯そういう感じがする⋯⋯」
アレンは剣を下ろし、静かに見つめた。
「⋯⋯これはもう、敵ではない。“存在”になろうとしている」
闇のシュウだけが、胸を押さえたまま動けなかった。
(⋯⋯俺の⋯⋯失われた未来の残滓⋯⋯それが⋯⋯“生まれ直す”のか⋯⋯?)
光の中で、影がゆっくりと目を開いた。
その瞳は、
星の核の光を映したような淡い白。
そして――
初めて、はっきりとした声を発した。
「⋯⋯タチバナ⋯⋯
⋯⋯シュウ⋯⋯」
その声は幼く、震えていた。
まるで、生まれたばかりの子どもが、初めて世界を呼ぶように。
シュウは一歩近づいた。
「お前⋯⋯もう、喰うために動いてるんじゃないんだな」
影は首をかしげる。
「⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯ナニ⋯⋯?」
その問いは、
あまりにも純粋で、
あまりにも切実だった。
ネロが震える声で言う。
「兄ちゃん⋯⋯あれ⋯⋯もう“未来を持たない存在”じゃない⋯⋯“未来を欲しがってる”⋯⋯」
リオが頷く。
「兄さん⋯⋯あれはもう⋯⋯“影”じゃない⋯⋯」
アレンが静かに言った。
「⋯⋯新しい“命”だ」
星の核が、再び声を発した。
――⋯⋯タチバナ⋯⋯
――⋯⋯シュウ⋯⋯
――⋯⋯ナマエヲ⋯⋯
――⋯⋯アタエヨ⋯⋯
その声は、
星の道そのものの響きだった。
シュウは息を呑む。
「⋯⋯名前を⋯⋯?」
闇のシュウが震える声で言う。
「星の核が⋯⋯“命名”を求めている⋯⋯それは⋯⋯神格の誕生を意味する⋯⋯!」
アレンが目を見開く。
「シュウ⋯⋯お前が名を与えた瞬間⋯⋯その存在は“星の道に認められた神”になる」
ネロが小さく呟く。
「⋯⋯子神⋯⋯?」
リオが息を呑む。
「兄さんが⋯⋯神を⋯⋯?」
影は、まだ不安定な身体で、
ゆっくりとシュウへ手を伸ばした。
その手は震えている。
「⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯イキテ⋯⋯イイ⋯⋯?」
その問いは、
あまりにも幼く、
あまりにも切実で、
胸を締め付けるほどの孤独を孕んでいた。
シュウは迷わなかった。
「生きていい。
お前は……“生まれた”んだ」
影の瞳が揺れ、
光が涙のようにこぼれた。
「⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯タチバナ⋯⋯
⋯⋯シュウ⋯⋯
⋯⋯スキ⋯⋯」
その言葉は、
“依存”でも“崇拝”でもなく、
ただ“存在を認めてくれた相手”への
純粋な感謝だった。
闇のシュウが胸を押さえた。
(⋯⋯俺が⋯⋯捨てたもの⋯⋯見なかったもの⋯⋯それが⋯⋯こんな形で⋯⋯)
星の核が強く脈動する。
――⋯⋯ナマエ⋯⋯
――⋯⋯アタエヨ⋯⋯
――⋯⋯タチバナ⋯⋯
――⋯⋯シュウ⋯⋯
星の道全体が静まり返った。
ネロも、リオも、アレンも、闇のシュウも、息を呑んで見守っている。
シュウは影の手を取り、
静かに言った。
「⋯⋯お前の名前は――」
影の身体が光に包まれる。
星の粒が舞い、
光が揺れ、
星の核が脈動する。
「――ルミナ。
光の粒から生まれた、お前にふさわしい名前だ」
影――ルミナは、
ゆっくりと微笑んだ。
「⋯⋯ルミナ⋯⋯
⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯ルミナ⋯⋯」
その瞬間、
星の核が大きく脈動し、
光がルミナの身体を包んだ。
光が収まったとき――
そこに立っていたのは、
もう“影”ではなかった。
白い髪。
淡い光を宿した瞳。
星の粒が舞うような衣。
そして、まだ幼い表情。
ルミナは、
エリュシアの新しい子神としてこの世界に生まれ落ちた。
ネロが涙を浮かべる。
「⋯⋯兄ちゃん⋯⋯すごい⋯⋯ほんとに⋯⋯“生まれた”んだ⋯⋯」
リオが目を細める。
「兄さん⋯⋯この子⋯⋯兄さんの光に似てる⋯⋯」
アレンは静かに頷いた。
「⋯⋯星の道が認めた存在だ。
この子は⋯⋯“星の流れの守り手”になる」
闇のシュウは、
ルミナを見つめながら呟いた。
「⋯⋯俺が⋯⋯捨てた未来が⋯⋯こんなにも⋯⋯美しい形で⋯⋯生まれ直すなんて⋯⋯」
ルミナは、まだ不安定な足取りでシュウの前に立った。
「⋯⋯タチバナ⋯⋯
⋯⋯シュウ⋯⋯
⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯アナタノ⋯⋯コ⋯⋯?」
その問いは、
あまりにも純粋で、
胸を締め付けるほどの温かさを持っていた。
シュウは微笑んだ。
「違うよ。お前は――
“エリュシアの子”だ」
ルミナは、
その言葉を理解するように
ゆっくりと瞬きをした。
「⋯⋯エリュシア⋯⋯
⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯イキル⋯⋯?」
「生きるんだ。これからは、お前の世界で」
ルミナは、初めて“自分の足で立つ”ように星の道の上に一歩踏み出した。
星の道全体が深い呼吸をした。
光が吸い込まれ、
光が吐き出され、
そのたびに空間が震え、
星の粒が霧のように舞い上がる。
黒い獣だった“影”は、
その光の中心でゆっくりと形を変えていた。
霧がほどけ、
輪郭が整い、
光が骨格を作り、
星の粒が肌のようにまとわりつく。
その姿は――
まだ不完全で、
まだ揺らいでいて、
けれど確かに“生まれようとしている”。
ネロが息を呑む。
「⋯⋯兄ちゃん⋯⋯あれ⋯⋯もう“獣”じゃない⋯⋯」
リオは、喉の奥で低く唸った。
「兄さん⋯⋯あれ⋯⋯“形になりたい”って⋯⋯そういう感じがする⋯⋯」
アレンは剣を下ろし、静かに見つめた。
「⋯⋯これはもう、敵ではない。“存在”になろうとしている」
闇のシュウだけが、胸を押さえたまま動けなかった。
(⋯⋯俺の⋯⋯失われた未来の残滓⋯⋯それが⋯⋯“生まれ直す”のか⋯⋯?)
光の中で、影がゆっくりと目を開いた。
その瞳は、
星の核の光を映したような淡い白。
そして――
初めて、はっきりとした声を発した。
「⋯⋯タチバナ⋯⋯
⋯⋯シュウ⋯⋯」
その声は幼く、震えていた。
まるで、生まれたばかりの子どもが、初めて世界を呼ぶように。
シュウは一歩近づいた。
「お前⋯⋯もう、喰うために動いてるんじゃないんだな」
影は首をかしげる。
「⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯ナニ⋯⋯?」
その問いは、
あまりにも純粋で、
あまりにも切実だった。
ネロが震える声で言う。
「兄ちゃん⋯⋯あれ⋯⋯もう“未来を持たない存在”じゃない⋯⋯“未来を欲しがってる”⋯⋯」
リオが頷く。
「兄さん⋯⋯あれはもう⋯⋯“影”じゃない⋯⋯」
アレンが静かに言った。
「⋯⋯新しい“命”だ」
星の核が、再び声を発した。
――⋯⋯タチバナ⋯⋯
――⋯⋯シュウ⋯⋯
――⋯⋯ナマエヲ⋯⋯
――⋯⋯アタエヨ⋯⋯
その声は、
星の道そのものの響きだった。
シュウは息を呑む。
「⋯⋯名前を⋯⋯?」
闇のシュウが震える声で言う。
「星の核が⋯⋯“命名”を求めている⋯⋯それは⋯⋯神格の誕生を意味する⋯⋯!」
アレンが目を見開く。
「シュウ⋯⋯お前が名を与えた瞬間⋯⋯その存在は“星の道に認められた神”になる」
ネロが小さく呟く。
「⋯⋯子神⋯⋯?」
リオが息を呑む。
「兄さんが⋯⋯神を⋯⋯?」
影は、まだ不安定な身体で、
ゆっくりとシュウへ手を伸ばした。
その手は震えている。
「⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯イキテ⋯⋯イイ⋯⋯?」
その問いは、
あまりにも幼く、
あまりにも切実で、
胸を締め付けるほどの孤独を孕んでいた。
シュウは迷わなかった。
「生きていい。
お前は……“生まれた”んだ」
影の瞳が揺れ、
光が涙のようにこぼれた。
「⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯タチバナ⋯⋯
⋯⋯シュウ⋯⋯
⋯⋯スキ⋯⋯」
その言葉は、
“依存”でも“崇拝”でもなく、
ただ“存在を認めてくれた相手”への
純粋な感謝だった。
闇のシュウが胸を押さえた。
(⋯⋯俺が⋯⋯捨てたもの⋯⋯見なかったもの⋯⋯それが⋯⋯こんな形で⋯⋯)
星の核が強く脈動する。
――⋯⋯ナマエ⋯⋯
――⋯⋯アタエヨ⋯⋯
――⋯⋯タチバナ⋯⋯
――⋯⋯シュウ⋯⋯
星の道全体が静まり返った。
ネロも、リオも、アレンも、闇のシュウも、息を呑んで見守っている。
シュウは影の手を取り、
静かに言った。
「⋯⋯お前の名前は――」
影の身体が光に包まれる。
星の粒が舞い、
光が揺れ、
星の核が脈動する。
「――ルミナ。
光の粒から生まれた、お前にふさわしい名前だ」
影――ルミナは、
ゆっくりと微笑んだ。
「⋯⋯ルミナ⋯⋯
⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯ルミナ⋯⋯」
その瞬間、
星の核が大きく脈動し、
光がルミナの身体を包んだ。
光が収まったとき――
そこに立っていたのは、
もう“影”ではなかった。
白い髪。
淡い光を宿した瞳。
星の粒が舞うような衣。
そして、まだ幼い表情。
ルミナは、
エリュシアの新しい子神としてこの世界に生まれ落ちた。
ネロが涙を浮かべる。
「⋯⋯兄ちゃん⋯⋯すごい⋯⋯ほんとに⋯⋯“生まれた”んだ⋯⋯」
リオが目を細める。
「兄さん⋯⋯この子⋯⋯兄さんの光に似てる⋯⋯」
アレンは静かに頷いた。
「⋯⋯星の道が認めた存在だ。
この子は⋯⋯“星の流れの守り手”になる」
闇のシュウは、
ルミナを見つめながら呟いた。
「⋯⋯俺が⋯⋯捨てた未来が⋯⋯こんなにも⋯⋯美しい形で⋯⋯生まれ直すなんて⋯⋯」
ルミナは、まだ不安定な足取りでシュウの前に立った。
「⋯⋯タチバナ⋯⋯
⋯⋯シュウ⋯⋯
⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯アナタノ⋯⋯コ⋯⋯?」
その問いは、
あまりにも純粋で、
胸を締め付けるほどの温かさを持っていた。
シュウは微笑んだ。
「違うよ。お前は――
“エリュシアの子”だ」
ルミナは、
その言葉を理解するように
ゆっくりと瞬きをした。
「⋯⋯エリュシア⋯⋯
⋯⋯ワタシ⋯⋯
⋯⋯イキル⋯⋯?」
「生きるんだ。これからは、お前の世界で」
ルミナは、初めて“自分の足で立つ”ように星の道の上に一歩踏み出した。
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