元アラフィフ男の異世界転生記 〜新しい家族とともに異世界を謳歌する〜

あかいとまと

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第48話:ルミナ、世界を知る

第48話:ルミナ、世界を知る

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 星の核の光が静まり、  
 星の道に再び“呼吸”が戻った。

 ルミナは、まだ幼い身体で、  
 ゆっくりと星の道の上に立っていた。

 白い髪が光を受けて揺れ、  
 淡い光を宿した瞳が、  
 初めて見る世界を不思議そうに映す。

 ネロがそっと近づいた。

「⋯⋯兄ちゃん⋯⋯この子⋯⋯ほんとに⋯⋯生まれたんだね⋯⋯」

 リオは、ルミナの周囲に漂う光を見つめる。

「兄さん⋯⋯この子⋯⋯星の粒が守ってる⋯まるで⋯⋯“世界が歓迎してる”みたいだ⋯⋯」

 アレンは静かに頷いた。

「星の核に認められた存在だ。  
 この子は⋯⋯
 “星の流れの守り手”になる」

 闇のシュウは、胸の奥に残る痛みを押さえながら、ルミナを見つめていた。

(⋯⋯俺が捨てた未来が⋯⋯
 こんなにも柔らかく、  
 こんなにも温かい形で⋯⋯ 
 生まれ直すなんて⋯⋯)



 ルミナは、まだ不安定な足取りでシュウの前に立った。

「⋯⋯タチバナ⋯⋯
 ⋯⋯シュウ⋯⋯」

 その声は、星の粒が触れ合うような柔らかさだった。

 シュウは微笑んだ。

「どうした、ルミナ」

 ルミナは、  
 自分の胸に手を当てて言った。

「⋯⋯ココ⋯⋯アツイ⋯⋯
 ⋯⋯ナンデ⋯⋯?」

 ネロが小さく笑う。

「それはね⋯⋯“生きてる”ってことだよ」

 ルミナは瞬きをした。

「⋯⋯イキテル⋯⋯?」

 リオが優しく言う。

「そうだよ。兄さんが名前をくれたから⋯⋯お前は“生きる存在”になったんだ」

 ルミナは、その言葉を理解するように胸に手を当てたまま、ゆっくりと頷いた。



 星の道の先に、エリュシアの空が広がっていた。

 青く、深く、  
 どこまでも澄んだ空。

 風が吹き、  
 草の匂いが運ばれてくる。

 ルミナはその匂いに気づき、  
 小さく鼻を動かした。

「⋯⋯コレ⋯⋯ナニ⋯⋯?」

 アレンが答える。

「風だ。エリュシアの空気だよ」

 ルミナは、風に触れようと手を伸ばした。

 風は、まるでルミナを歓迎するようにその指先を優しく撫でた。

 ルミナの瞳が揺れる。

「⋯⋯アタタカイ⋯⋯
 ⋯⋯キモチ⋯⋯イイ⋯⋯」

 ネロが嬉しそうに笑う。

「それが“世界”だよ、ルミナ」

 星の道を抜けると、  
 エリュシアの草原が広がっていた。

 緑。  
 青。  
 白。  
 金。

 色という色が、ルミナの瞳に流れ込む。

 ルミナは息を呑んだ。

「⋯⋯イロ⋯⋯
 ⋯⋯タクサン⋯⋯
 ⋯⋯キレイ⋯⋯」

 リオが優しく言う。

「世界には、もっとたくさんの色があるよ。これから全部、見ていけばいい」

 ルミナは草に触れた。

 草は柔らかく、風に揺れ、  
 ルミナの指先をくすぐる。

「⋯⋯フワ⋯⋯
 ⋯⋯コレ⋯⋯ナマエ⋯⋯?」

 シュウが答える。

「草だよ」

「⋯⋯クサ⋯⋯」

 ルミナはその言葉を繰り返し、まるで宝物のように胸にしまった。

 遠くで鳥が鳴いた。

 ルミナはその音に反応し、  
 空を見上げた。

「⋯⋯コエ⋯⋯?」

 ネロが指差す。

「鳥の声だよ。あれは“歌”みたいなもの」

 ルミナは目を輝かせた。

「⋯⋯ウタ⋯⋯
 ⋯⋯キレイ⋯⋯」

 アレンが微笑む。

「世界は音で満ちている。  
 風の音、川の音、木の音⋯⋯
 全部、お前のためにある」

 ルミナは耳を澄ませた。

 風の音。  
 草の揺れる音。  
 鳥の声。  
 遠くの水の流れる音。

 そのすべてが、  
 ルミナの胸に染み込んでいく。

 闇のシュウは、  
 少し離れた場所で  
 ルミナを見つめていた。

(⋯⋯俺が捨てたものが⋯⋯ 
 こんなにも美しい形で⋯⋯ 
 生まれ直すなんて⋯⋯)

 胸が痛い。  
 けれど、温かい。

 ルミナが振り返り、  
 闇のシュウを見つけた。

「⋯⋯アナタ⋯⋯
 ⋯⋯ナミダ⋯⋯?」

 闇のシュウは驚いた。

「⋯⋯泣いてなど⋯⋯」

 だが、  
 ルミナはそっと近づき、  
 闇のシュウの頬に触れた。

「⋯⋯アツイ⋯⋯
 ⋯⋯ココ⋯⋯イタイ⋯⋯?」

 闇のシュウは、その問いに答えられなかった。

 ただ、胸の奥が軋む音だけが響いていた。

 ルミナは、シュウの前に戻り、胸に手を当てた。

「⋯⋯タチバナ⋯⋯
 ⋯⋯シュウ⋯⋯
 ⋯⋯ワタシ⋯⋯
 ⋯⋯イキル⋯⋯
 ⋯⋯コノセカイ⋯⋯
 ⋯⋯マモル⋯⋯」

 その言葉は、まだ幼い声なのに、どこか神聖だった。

 アレンが息を呑む。

「⋯⋯誓い⋯⋯?」

 リオが目を見開く。

「兄さん⋯⋯この子⋯⋯“守護の誓い”を⋯⋯」

 ネロが涙を浮かべる。

「兄ちゃん⋯⋯この子⋯⋯ほんとに⋯⋯“神様”なんだ⋯⋯」

 シュウは、ルミナの頭にそっと手を置いた。

「ありがとう、ルミナ。でも⋯⋯守るだけじゃなくていい。お前は――“生きていい”んだ」

 ルミナは、その言葉を胸に刻むようにゆっくりと頷いた。



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