悪役令嬢は謝罪したい

ぽんかん

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悪役令嬢は目が覚める

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   あれから、王子とは何回も会うようになった。
   お城に行くこともあれば、家に招待する事もあって、最初に比べると大分仲良くなれてると思う。





   あと、これが1番驚きなんだけど、お城に通ううちにリリアさんとすれ違う事があって、以前なら有り得ない事に2人で話すようになった。


   このリリアさん、本当に素敵な人で、精神年齢は私の方が上の筈なのにお姉さんみたいに包容力があって、優しくて!可愛くて!綺麗で!もう今では大好きだ!!


   身分の差から私の事はモーガス様と読んでいるけど、いつか「セリアちゃん」と呼んでもらうのが夢だ!







   そして、今日も王子に招待してもらってお城に向かっている所だ。




   (まさかこんな事になるなんてなぁ…)



   最初はどうやって婚約破棄を穏便に済ませようか考えてたけど、今では王子と定期的にお茶をする仲にまでなった。
   最近では、大分お互いの事を知れてると思う。




「ふふっ今日は何のお話をしようかな」
  


   浮かれすぎるのは良くないって分かってるんだけど、ニヤニヤが止まらない。


   お城に着いたと私に伝えようとした御者に怪しげな目で見られたのは言うまでもない。



  (私、絶対に変なやつだって思われてるんだろうな…) 











   お城に着くと、いつもの応接間に向かう。
   付き添いはいなくても分かるので、王子を呼びに行ってもらった。



   あと少しで応接間という所で誰かの話し声が聞こえてきた。




   (あ、この声リリアさんーー!)



   話し掛けようと思ったけど、誰かと話していたので邪魔しちゃ悪いと離れようとした時ーー



「分かってるよ、フォレスター嬢」


   王子の声だ。



  (なんだ、王子なら一緒に応接間まで行こう)



   ついでに、リリアさんも一緒にお茶しないかなと思い、2人に声を掛けようとした。



   でも、出来なかった。






「本当に分かっているんですか?」


「はいはい、分かってるよ。でもこれだけは譲れないな」


「殿下ばかり、ずるいですよ」


「俺の特権だよ」








  (…えっ……)


   楽しそうに親しげな会話をする2人。







   リカルド王子ってこんな話し方だった?
  
   
   自分の事俺なんて言ってた?
 




   







   リリアさん…だから?







   そう気付いた時、私はその場から逃げ出した。







   急いで馬車に乗って屋敷に戻ると、自分の部屋に駆け込んだ。
   扉を閉めると、走った疲れからかズルズルと座り込んでしまう。








「私…馬鹿だ」


   何を調子に乗って、ちょっと話したくらいで浮かれてたんだろう。
   頑張れば、婚約破棄されないんじゃないかって、リカルド王子と一緒に居られるんじゃないかって思っちゃってた。
   身の程知らずにも程がある。





   きっと、あの王子が本当の素のリカルド王子なんだろう。
   何も珍しい事じゃない。王族の人間それも第1王子なんだ、周りに隙を見せないようにとか、威厳の為にとか、理由は色々あるんだろう。
   




   私が知ってるのは完璧な理想その物の王子様って感じだった。
   でも、本当は結構親しみやすい感じだったんだなぁ。まさか、自分の事俺って言ってるとはびっくりしたけど、案外似合ってるのかも。
   なんていうか、こう、お兄ちゃんって言葉が似合う感じの面倒みの良さそうな感じだった。



   (あ、でも、あの無邪気な感じの笑顔は私も見た事あるな…)




   なんて、私とリリアさんじゃ全く別物だろうけど。








   大体、私も私だよね。
   リリアさんと王子応援するって言ってたのに、3人でお茶しようかななんて、空気読めなさすぎる。完璧に邪魔者じゃん。恥ずかしすぎる。

   
   まあでも良かった、完璧にハマる前で。
   今ならまだ、引き返せるよ、大丈夫。


   簡単な事だよ、あれは信用した特別な人にだけ見せる本当のリカルド王子。


   リリアさんは特別で、私はそうじゃなかった。


   分かりきってる事だよ、私が勝手に1人でドキドキしてただけ。
   王子に迷惑掛ける前で良かった。










   大丈夫、全然大丈夫。



   だって、私はセリア・モーガス。悪役令嬢なんだよ?こんな事でいちいち狼狽えたりしない。




   ちゃんと、2人を応援する。






   走ったから、少し胸が苦しいけど

  






「大丈夫ーー」


 





   私は自分にそう言い聞かせて、頬を伝うものは無視したーーー






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