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第二章 二度とBANされるものか
偶然の答え
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――紫鈴――
広島攻略に向けて、櫻小隊は散開していた。
私は森の中を単独で進む……予定だったのだけれど。
「ねえ紫鈴ちゃん、聞いてる? 美和子の話!」
横を歩く公子が、目を輝かせている。
「……聞いてる」
正直、聞いていなくても同じ内容だ。
「美和子ってね、まず存在が尊いの! “ぱわふる”なだけじゃなく、“きゅーと”だなんて、存在してるだけで世界に貢献してると思わない?」
「思わない」
「ダンスしてる時の髪の揺れ方がこう、天使なのよ! しかも笑うと目がくりくりして――」
「……公子」
「はい!」
「静かに歩いて。敵に見つかる」
そう言ったそばから。
――ガァンッ!!
地面が爆ぜた。
「……っ!?」
中型ヘイト。
しかも、近い。
防御の構えを取る暇もなく、衝撃が直撃した。
「きゃああっ!」
「っ……!」
視界が反転し、身体が宙を舞う。
背中から地面に叩きつけられ、息が詰まった。
「……っ、紫鈴ちゃん、大丈夫!?」
「肋骨、やられたかも……」
立ち上がろうとした瞬間、追撃。
ヘイトの影が覆いかぶさる。
(……まずい)
致命傷をくらう。
そう思った瞬間――。
「そこまで!」
聞き覚えのある、落ち着いた声。
――ドゴォンッ!!!
轟音。
視界の端で、巨大なハンマーが振り下ろされる。
中型ヘイトが粉砕された。
「……美和子!」
彼女は、そこに立っていた。
いつも通りの、穏やかな表情で。
「二人とも、大丈夫?」
次の瞬間。
「美和子ぉぉぉぉ!! これは運命です!!」
公子が飛んだ。
「ちょ、公子!?」
「再会の奇跡です! 愛です! 運命です!!」
――ベアハッグ。
骨が鳴る音がした気がする。
「……っ」
美和子の目が、すっと白目を向き。
「……あ」
崩れ落ちた。
「美和子!? 美和子!? 起きてください!!」
「……」
私は、深く息を吐いた。
「……やれやれ」
肩をすくめながら、倒れた二人を見る。
偶然。
でも、答えはいつもこうだ。
この世界は、残酷で。
そして、ときどき――どうしようもなく、間が抜けている。
「公子、離れなさい。美和子、運ぶわよ」
「はい! でもやっぱりこれは運命で――」
「黙って」
森の中に、ため息が一つ落ちた。
■□■□■□特殊能力解説■□■□■□
公子(きみこ)
特殊能力 偶然必然(ラッキー・ピエロ)
公子の特殊能力「偶然必然」は、戦場や日常で起こる“偶然”を、本人にとって最も都合のよい“必然”へと静かに収束させる能力である。
弾が逸れる、床が軋む、敵が一瞬だけ視線を外す――それらはすべて、確率の揺らぎとして自然発生している出来事にすぎない。しかし公子がそこに存在すると、それらの揺らぎは一本の流れとなり、必ず彼女の望む結果へと導かれる。
この力は直接的な攻撃性を持たず、派手な演出もない。その代わり、戦局全体に“説明のつかない有利さ”をもたらす。味方の一撃が奇跡的に当たり、敵の切り札がなぜか不発に終わる――誰かが「運が良かった」と片づけるその裏で、偶然必然は確実に働いている。
お嬢様然とした余裕ある振る舞いと、過剰なまでの愛情表現を持つ公子にとって、この能力は「守るための支配」である。彼女は無意識のうちに、大切な存在が傷つかない未来を選び取り、世界をそっと書き換えているのだ。
広島攻略に向けて、櫻小隊は散開していた。
私は森の中を単独で進む……予定だったのだけれど。
「ねえ紫鈴ちゃん、聞いてる? 美和子の話!」
横を歩く公子が、目を輝かせている。
「……聞いてる」
正直、聞いていなくても同じ内容だ。
「美和子ってね、まず存在が尊いの! “ぱわふる”なだけじゃなく、“きゅーと”だなんて、存在してるだけで世界に貢献してると思わない?」
「思わない」
「ダンスしてる時の髪の揺れ方がこう、天使なのよ! しかも笑うと目がくりくりして――」
「……公子」
「はい!」
「静かに歩いて。敵に見つかる」
そう言ったそばから。
――ガァンッ!!
地面が爆ぜた。
「……っ!?」
中型ヘイト。
しかも、近い。
防御の構えを取る暇もなく、衝撃が直撃した。
「きゃああっ!」
「っ……!」
視界が反転し、身体が宙を舞う。
背中から地面に叩きつけられ、息が詰まった。
「……っ、紫鈴ちゃん、大丈夫!?」
「肋骨、やられたかも……」
立ち上がろうとした瞬間、追撃。
ヘイトの影が覆いかぶさる。
(……まずい)
致命傷をくらう。
そう思った瞬間――。
「そこまで!」
聞き覚えのある、落ち着いた声。
――ドゴォンッ!!!
轟音。
視界の端で、巨大なハンマーが振り下ろされる。
中型ヘイトが粉砕された。
「……美和子!」
彼女は、そこに立っていた。
いつも通りの、穏やかな表情で。
「二人とも、大丈夫?」
次の瞬間。
「美和子ぉぉぉぉ!! これは運命です!!」
公子が飛んだ。
「ちょ、公子!?」
「再会の奇跡です! 愛です! 運命です!!」
――ベアハッグ。
骨が鳴る音がした気がする。
「……っ」
美和子の目が、すっと白目を向き。
「……あ」
崩れ落ちた。
「美和子!? 美和子!? 起きてください!!」
「……」
私は、深く息を吐いた。
「……やれやれ」
肩をすくめながら、倒れた二人を見る。
偶然。
でも、答えはいつもこうだ。
この世界は、残酷で。
そして、ときどき――どうしようもなく、間が抜けている。
「公子、離れなさい。美和子、運ぶわよ」
「はい! でもやっぱりこれは運命で――」
「黙って」
森の中に、ため息が一つ落ちた。
■□■□■□特殊能力解説■□■□■□
公子(きみこ)
特殊能力 偶然必然(ラッキー・ピエロ)
公子の特殊能力「偶然必然」は、戦場や日常で起こる“偶然”を、本人にとって最も都合のよい“必然”へと静かに収束させる能力である。
弾が逸れる、床が軋む、敵が一瞬だけ視線を外す――それらはすべて、確率の揺らぎとして自然発生している出来事にすぎない。しかし公子がそこに存在すると、それらの揺らぎは一本の流れとなり、必ず彼女の望む結果へと導かれる。
この力は直接的な攻撃性を持たず、派手な演出もない。その代わり、戦局全体に“説明のつかない有利さ”をもたらす。味方の一撃が奇跡的に当たり、敵の切り札がなぜか不発に終わる――誰かが「運が良かった」と片づけるその裏で、偶然必然は確実に働いている。
お嬢様然とした余裕ある振る舞いと、過剰なまでの愛情表現を持つ公子にとって、この能力は「守るための支配」である。彼女は無意識のうちに、大切な存在が傷つかない未来を選び取り、世界をそっと書き換えているのだ。
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