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冒険者とともに魔王討伐隊へ
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冒険者達とおじさんが戻ってきたので、結界を張り俺は食べられるキノコと食材探しをした。
今夜のご飯は、白米と肉とキノコのスープだ。
「さあ、召し上がれ。」
「ご飯、美味しい!!」
「あの…食べないんですか?」
「あんまりお腹減ってないんで。」
お前は一番動いてないからな。
冒険者達はサポートで忙しかったから、食欲は旺盛だ。
前線で働いた人はおかわりをして、後列で頑張っている人もそこそこ食べた。
「ご馳走様でした!!」
「今日も美味しい料理をありがとうございます。」
「なあ…話の流れ的に魔王を討伐しろって奴か?」
「そうだな。」
「はぁ…。」
おじさんはすごく乗り気ではないようだ。
かと言う俺も乗り気ではない、この世界の問題は、この世界の住人で果たすものだからな。
「元の世界に帰りたいな…。」
「ああ、ある意味人身売買したから無理。」
「あのババアに渡した物でか…中身はなんだ?」
「決まってるだろ、金だよ。」
「俺にも寄越せ。」
「この世界のお金は自分で稼げ。」
俺も食材は持っているが、この世界のお金は持っていない。
なので、金を寄越せない。
「くそ…働きたくねえ…。」
「働きたくないなら、奪え。」
「…何?」
「この世界は異世界、つまり元居た法律は通用しない。…逆に捕まったら痛い目に遭うがな。」
「…悪事を働けと?」
「義賊みたいなことをしても良いぞ。」
「義賊…確か、金持ちの物を盗むんだよな?」
「そして、貧しい人に分け与えると。」
「…考えておいてやる。」
冒険者の一人が忘れていったのは、なんとテントでした。
…大事な物を忘れるなよ。
複製したから、この冒険者達と何らかの形で別れてもテントを使えるがな。
また日が暮れる前にちょっとでも進もうと、俺と冒険者達は道を歩き始めた。
その十分後、おじさんが音を上げた。
「ちょ…無理…休憩させろ…。」
「まだ少ししか歩いてないんだが?」
「いやいや、十分歩いたっしょ?」
「…こんな距離で音を上げる人は初めてですよ。」
「休憩しますか?」
「ほら、回復。」
俺はおじさんの背中に手を押し当てて、体力を回復させた。
その効果はおじさんを興奮させる程だ。
「ふおおう!?体が楽になったぜ!!」
「何をしたんですか?」
「体力を回復させた、これでまたちょっとは動けるだろ。」
「体力だけを回復させるなんて…高い技術力ですね。」
「さあ、進むぞ。」
それからまた十分後。
またもや、おじさんは音を上げた。
「はぁ…はぁ…回復を…頼む。」
「…この人、大丈夫なんですかね?」
「そうですね…あまりにも体力が無さすぎるかと。」
「おい、おじさん。冒険者達を呆れさせちゃ駄目だろ。」
「う…うるせぇ…あんまり外を歩いてないだけだ。」
外を歩く…ねぇ?
自室と家の中が世界の全てのおじさんだから仕方ないのだが…仕方ない、不正ドーピングを働こう。
「ほら、おじさん。これを飲め。」
「なんだよ…この黄色く発光している液体は…?」
「体力が増大する薬…いわゆるドーピングだ。」
「…そんなもんがあるなら、早くくれよ…。」
んぐっ…んぐっ…とおじさんは体力増大薬を飲み干す。
まだ副作用を話してないのだが…まあ、良いか。
「良し!!体力が漲るぜ!!」
「…何を飲ませたんですか?」
「違法薬物の劇薬、このおじさんにはもってこいだ。」
「違法な薬…ですか、後の事が気になります…。」
俺と冒険者達は多少引き離される形で町まで歩きました。
その道中で戦闘力ゼロのおじさんが魔物に追いかけられている所を、目撃しては討伐を繰り返しながらだけどな。
なんだかんだで町に到着しました。
冒険者A…名前は聞いてないのでAと呼ばせてもらう。
そのAは町に着くなり、冒険者Bと共に人が集まってる場所へと向かっていきました。
あそこが冒険者達が集まる何かなんだろうな。
さて、おじさんの姿は…居ない。
きっと初めての町ではしゃいで迷い込んでしまったようだ。
「おい、てめえ…どこ見て歩いてんだ?」
「ひいい!?すみません!!」
何かに絡まれてるおじさんを発見した。
ついでに、世の中の厳しさってのを知ってもらうか。
「ああん?それで謝るに入るかよ?金だ…金を出せ。」
「ひいい!?お金なら、そこの人に預けてあります!!」
「そこの人って…何処にいるんだ?」
「あ…あれぇ~?さっきまでそこに居たのに…。」
ちょっと止めてよね、おじさんの仲間と思われてしまうじゃないか。
おじさんの仲間と認知されたら、お金がいくらあっても足りないよ。
「金がねえなら、こっちに来い!!」
「ひいい!?命ばかりはお助けを!!」
その後、おじさんは体力増大薬の効果のお蔭で意識が飛ぶまで無償のサンドバッグ業をやらさせるのでした。
「…。」
「これで勘弁してやるよ。」
最後には身ぐるみを剥がされて、路上に投げ捨てられるおじさん。
さて、後は誰かが拾ってくれると良いけど…。
「おい、そこのおっさん。起きろ。」
「う…ああ…?」
「うわ、裸じゃないか…さては裏路地の奴らに剥がされたな。」
「うわあ!?助けてぇ!!」
「落ち着けおっさん、もうあんたを殴る奴は居ねえよ。」
「あ…あんたは?」
「俺か?俺は自警団だ。」
その後、自警団の人に粗末な服を着せられて自警団の人が集まる場所へ案内されました。
自警団の人に優しく話しかけられると、おじさんは泣きじゃくって襲われた経緯を話しました。
「そんな訳なんです…。」
「町を知らないなんて、貴方は何処から来たの?」
「そ、それは…。」
「ぐうたらと過ごしていたから、町の治安がどれだけ悪いか知らなかったんです。」
「あら、貴方は?」
「そこの惨めなおじさんの連れだよ。」
異世界から来たと言っても、全く通用しないから助け船を出してやった。
おじさんは急に現れた俺にびっくりしている。
「お、お前…どうして「助けても良かったけど、おじさんには厳しさってのを知って欲しかったからな。」…治安の悪さか。」
「連れってことは、仲間ってことじゃないの?」
「あくまでも連れだ、仲間ではない。」
「なら、貴方に引き渡すことは出来ないわね。」
「そのおじさんをどうする気だ?」
「そうね…簡単な仕事から手伝ってもらおうかしら?」
「手伝わしてどうするんだ?」
「見たところ、普通のおじさんだから…町の案内から始めようかしら。」
自警団の性質上、困っている人をほおっておけないのでおじさんをこの町に住まわせるようだ。
さて、あの冒険者達に遭遇しない程度に自警団とおじさんのイベントでも見ましょうか。
「…ここがパン屋、ここがお肉屋さんね。」
「…米はないんだな。」
「米って何かしら?」
「ジャハンナの特産物で、最高に旨い主食だ。」
「ジャハンナ?」
「魔王に滅ぼされた地の事さ。」
「そう…それはお気の毒に…。」
自警団の人とおじさんと俺とで町の中を案内されている所で、おじさんが米の事を話したのでジャハンナの話に繋がった。
「そういえば、お前…まだ米を持っているよな?」
「冒険者がおかわりしたから、もう残ってないよ。」
「そうか…もう米を食べられないんだな…。」
嘘だけどな。
食材は調理済みで複製してあるので、いつでも米は食えるぞ。
「その米ってのを作れるのなら、食べさせられるのだけど…滅ぼされたのなら分からないわね。」
「あ!!旅人さん!!…とおじさん!!」
早くも冒険者達に見つかった。
ここからはこちらのターンだな。
「冒険者達に見つかったので、ここらで失礼するよ。」
「あら、他に用事があるのかしら?」
「ああ、魔王を討伐しなければならないからな。」
「貴方も冒険者だったのね。」
「そういう事だ、それじゃおじさん。また会おう。」
冒険者達が駆け寄る前に、自警団の人とおじさんと別れた。
冒険者達に歩み寄るとやっぱり、目的は俺らしい。
「もう、何処に行ってたんですか?」
「悪い悪い、おじさんががらの悪い奴に絡まれちゃって…。」
「絡まれて…どうしたんですか?」
「ボコボコにされて身ぐるみを剥がされた所を、自警団の人に保護された。」
ほら、あれとおじさんと自警団の人を指差すと二人は納得した。
「おじさんはどうするんです?」
「出来れば、見守りたいけど…ある程度は自警団に任せるよ。」
「自警団の人に任せておけば大丈夫ですよね。」
俺は冒険者達に連れられて、魔王討伐隊の志願所に連れてこられた。
さあ、適当にやるか…あくまでも主役はおじさんだからな。
「討伐隊の志願ですか?ここに名前を書いて下さい。」
「じゃあ、これで。」
「ヒロシさんですね、呼ばれたら広間に来て下さい。」
名前は適当。
実力も適当に出せば良いだろう。
「改めて、自己紹介させてもらいますね。僕はセランで戦士です。」
「私はアナ、僧侶をしています。」
「職業は侍だ。」
「侍?変わった職業ですね?」
「ジャハンナの特有の職業なのかな?」
「ヒロシさん、広間に来て下さい。」
もう呼ばれた。
さて、適当にやらせてもらおうか。
「君が、ヒロシ君だね?」
「ああ、そうだ。」
「武器を持っていないってことは…魔法使いなのかな?」
「いや、ちゃんと…持っているさ。」
リュックサックをそこそこ広い広間の床に降ろして、得物を取り出して試験官らしき人に見せる。
「変わった武器だな…そんなので戦えるのかい?」
「デカい太いを特徴とした武器じゃなくて悪かったな。」
「まあ、良い…準備が出来たら、試験開始だ。」
俺はリュックサックを隅の方に置いて、得物を腰に差した。
はい、これで準備オーケー。
「準備出来たぞ。」
「早っ!?…ごほん、それではこれから試験を開始する!!」
試験官は武器を出す。
俺は得物の柄に手を添えて、少し辺りを見回すと…観客席らしき物が広間の壁周りに設置されている。
その観客席にはセランとアナとその他冒険者達がいらっしゃる。
「では…いくぞ!!」
「抜刀!!」
ガキン!!と試験官と俺の武器がぶつかり合う。
試験官の武器に少しヒビが入る。
強度的には俺の武器が上のようだ。
「…くっ、武器にヒビが入るとは…。」
「武器破壊したら、試験終了か?」
「まさか!!相手が降参するまでさ!!」
そう言って、試験官は後ろに下がって武器をしまい魔法を詠唱する。
さて、何がくるかな?
「食らえ!!ファイアアロー!!」
「居合い切り!!」
俺は一旦武器をしまって、集中し…何かが飛んできたと同時に武器を出した。
ガン!!バチバチッ!!と武器と魔法がぶつかり合う。
「ファイアアローを受けとめただと!?」
「ちょっと不利か。」
いやはや、流石に魔法に普通の武器はキツいか。
じゃあちょっと魔力を込めて…切り裂こう。
「よいしょっと。」
「魔法を切っただと!?」
まさか、切られるとは思ってなかった試験官は驚きの表情を見せた。
その光景に、観客席からもざわめきが生じた。
うーん…やっぱり、魔法を切るのは駄目だったか。
「くっ…ならば、これならどうだ!!」
「ファイナルアタックみたいな物か…押しきられて見るか。」
試験官は魔力を込めて…大きな攻撃を仕掛けてくる構えを見せた。
俺もその構えをとって、試験官と同等の魔力を込めた。
「食ら…えぇ!!」
「ほい!!」
大きな魔力の塊がぶつかり合う。
一旦、試験官が不利になるが…気合いで押しきって、最後には俺が吹っ飛ばされた。
吹っ飛ばされた衝撃と壁に叩きつけられた衝撃の合算ダメージは意外と少なかった。
「勝者!!試験官!!」
観客席の中央に当たる部分に審判役が居た。
試験官は沢山の魔力を使ったようで、はぁ…はぁ…言ってる。
俺は救護班が駆けつけるまでぐったりして、なんとか立ち上がった演出をみせた。
最後にはセランとアナが駆けつけてくれた…が、わざと負ける演出は意外と面倒だなと思いました。
今夜のご飯は、白米と肉とキノコのスープだ。
「さあ、召し上がれ。」
「ご飯、美味しい!!」
「あの…食べないんですか?」
「あんまりお腹減ってないんで。」
お前は一番動いてないからな。
冒険者達はサポートで忙しかったから、食欲は旺盛だ。
前線で働いた人はおかわりをして、後列で頑張っている人もそこそこ食べた。
「ご馳走様でした!!」
「今日も美味しい料理をありがとうございます。」
「なあ…話の流れ的に魔王を討伐しろって奴か?」
「そうだな。」
「はぁ…。」
おじさんはすごく乗り気ではないようだ。
かと言う俺も乗り気ではない、この世界の問題は、この世界の住人で果たすものだからな。
「元の世界に帰りたいな…。」
「ああ、ある意味人身売買したから無理。」
「あのババアに渡した物でか…中身はなんだ?」
「決まってるだろ、金だよ。」
「俺にも寄越せ。」
「この世界のお金は自分で稼げ。」
俺も食材は持っているが、この世界のお金は持っていない。
なので、金を寄越せない。
「くそ…働きたくねえ…。」
「働きたくないなら、奪え。」
「…何?」
「この世界は異世界、つまり元居た法律は通用しない。…逆に捕まったら痛い目に遭うがな。」
「…悪事を働けと?」
「義賊みたいなことをしても良いぞ。」
「義賊…確か、金持ちの物を盗むんだよな?」
「そして、貧しい人に分け与えると。」
「…考えておいてやる。」
冒険者の一人が忘れていったのは、なんとテントでした。
…大事な物を忘れるなよ。
複製したから、この冒険者達と何らかの形で別れてもテントを使えるがな。
また日が暮れる前にちょっとでも進もうと、俺と冒険者達は道を歩き始めた。
その十分後、おじさんが音を上げた。
「ちょ…無理…休憩させろ…。」
「まだ少ししか歩いてないんだが?」
「いやいや、十分歩いたっしょ?」
「…こんな距離で音を上げる人は初めてですよ。」
「休憩しますか?」
「ほら、回復。」
俺はおじさんの背中に手を押し当てて、体力を回復させた。
その効果はおじさんを興奮させる程だ。
「ふおおう!?体が楽になったぜ!!」
「何をしたんですか?」
「体力を回復させた、これでまたちょっとは動けるだろ。」
「体力だけを回復させるなんて…高い技術力ですね。」
「さあ、進むぞ。」
それからまた十分後。
またもや、おじさんは音を上げた。
「はぁ…はぁ…回復を…頼む。」
「…この人、大丈夫なんですかね?」
「そうですね…あまりにも体力が無さすぎるかと。」
「おい、おじさん。冒険者達を呆れさせちゃ駄目だろ。」
「う…うるせぇ…あんまり外を歩いてないだけだ。」
外を歩く…ねぇ?
自室と家の中が世界の全てのおじさんだから仕方ないのだが…仕方ない、不正ドーピングを働こう。
「ほら、おじさん。これを飲め。」
「なんだよ…この黄色く発光している液体は…?」
「体力が増大する薬…いわゆるドーピングだ。」
「…そんなもんがあるなら、早くくれよ…。」
んぐっ…んぐっ…とおじさんは体力増大薬を飲み干す。
まだ副作用を話してないのだが…まあ、良いか。
「良し!!体力が漲るぜ!!」
「…何を飲ませたんですか?」
「違法薬物の劇薬、このおじさんにはもってこいだ。」
「違法な薬…ですか、後の事が気になります…。」
俺と冒険者達は多少引き離される形で町まで歩きました。
その道中で戦闘力ゼロのおじさんが魔物に追いかけられている所を、目撃しては討伐を繰り返しながらだけどな。
なんだかんだで町に到着しました。
冒険者A…名前は聞いてないのでAと呼ばせてもらう。
そのAは町に着くなり、冒険者Bと共に人が集まってる場所へと向かっていきました。
あそこが冒険者達が集まる何かなんだろうな。
さて、おじさんの姿は…居ない。
きっと初めての町ではしゃいで迷い込んでしまったようだ。
「おい、てめえ…どこ見て歩いてんだ?」
「ひいい!?すみません!!」
何かに絡まれてるおじさんを発見した。
ついでに、世の中の厳しさってのを知ってもらうか。
「ああん?それで謝るに入るかよ?金だ…金を出せ。」
「ひいい!?お金なら、そこの人に預けてあります!!」
「そこの人って…何処にいるんだ?」
「あ…あれぇ~?さっきまでそこに居たのに…。」
ちょっと止めてよね、おじさんの仲間と思われてしまうじゃないか。
おじさんの仲間と認知されたら、お金がいくらあっても足りないよ。
「金がねえなら、こっちに来い!!」
「ひいい!?命ばかりはお助けを!!」
その後、おじさんは体力増大薬の効果のお蔭で意識が飛ぶまで無償のサンドバッグ業をやらさせるのでした。
「…。」
「これで勘弁してやるよ。」
最後には身ぐるみを剥がされて、路上に投げ捨てられるおじさん。
さて、後は誰かが拾ってくれると良いけど…。
「おい、そこのおっさん。起きろ。」
「う…ああ…?」
「うわ、裸じゃないか…さては裏路地の奴らに剥がされたな。」
「うわあ!?助けてぇ!!」
「落ち着けおっさん、もうあんたを殴る奴は居ねえよ。」
「あ…あんたは?」
「俺か?俺は自警団だ。」
その後、自警団の人に粗末な服を着せられて自警団の人が集まる場所へ案内されました。
自警団の人に優しく話しかけられると、おじさんは泣きじゃくって襲われた経緯を話しました。
「そんな訳なんです…。」
「町を知らないなんて、貴方は何処から来たの?」
「そ、それは…。」
「ぐうたらと過ごしていたから、町の治安がどれだけ悪いか知らなかったんです。」
「あら、貴方は?」
「そこの惨めなおじさんの連れだよ。」
異世界から来たと言っても、全く通用しないから助け船を出してやった。
おじさんは急に現れた俺にびっくりしている。
「お、お前…どうして「助けても良かったけど、おじさんには厳しさってのを知って欲しかったからな。」…治安の悪さか。」
「連れってことは、仲間ってことじゃないの?」
「あくまでも連れだ、仲間ではない。」
「なら、貴方に引き渡すことは出来ないわね。」
「そのおじさんをどうする気だ?」
「そうね…簡単な仕事から手伝ってもらおうかしら?」
「手伝わしてどうするんだ?」
「見たところ、普通のおじさんだから…町の案内から始めようかしら。」
自警団の性質上、困っている人をほおっておけないのでおじさんをこの町に住まわせるようだ。
さて、あの冒険者達に遭遇しない程度に自警団とおじさんのイベントでも見ましょうか。
「…ここがパン屋、ここがお肉屋さんね。」
「…米はないんだな。」
「米って何かしら?」
「ジャハンナの特産物で、最高に旨い主食だ。」
「ジャハンナ?」
「魔王に滅ぼされた地の事さ。」
「そう…それはお気の毒に…。」
自警団の人とおじさんと俺とで町の中を案内されている所で、おじさんが米の事を話したのでジャハンナの話に繋がった。
「そういえば、お前…まだ米を持っているよな?」
「冒険者がおかわりしたから、もう残ってないよ。」
「そうか…もう米を食べられないんだな…。」
嘘だけどな。
食材は調理済みで複製してあるので、いつでも米は食えるぞ。
「その米ってのを作れるのなら、食べさせられるのだけど…滅ぼされたのなら分からないわね。」
「あ!!旅人さん!!…とおじさん!!」
早くも冒険者達に見つかった。
ここからはこちらのターンだな。
「冒険者達に見つかったので、ここらで失礼するよ。」
「あら、他に用事があるのかしら?」
「ああ、魔王を討伐しなければならないからな。」
「貴方も冒険者だったのね。」
「そういう事だ、それじゃおじさん。また会おう。」
冒険者達が駆け寄る前に、自警団の人とおじさんと別れた。
冒険者達に歩み寄るとやっぱり、目的は俺らしい。
「もう、何処に行ってたんですか?」
「悪い悪い、おじさんががらの悪い奴に絡まれちゃって…。」
「絡まれて…どうしたんですか?」
「ボコボコにされて身ぐるみを剥がされた所を、自警団の人に保護された。」
ほら、あれとおじさんと自警団の人を指差すと二人は納得した。
「おじさんはどうするんです?」
「出来れば、見守りたいけど…ある程度は自警団に任せるよ。」
「自警団の人に任せておけば大丈夫ですよね。」
俺は冒険者達に連れられて、魔王討伐隊の志願所に連れてこられた。
さあ、適当にやるか…あくまでも主役はおじさんだからな。
「討伐隊の志願ですか?ここに名前を書いて下さい。」
「じゃあ、これで。」
「ヒロシさんですね、呼ばれたら広間に来て下さい。」
名前は適当。
実力も適当に出せば良いだろう。
「改めて、自己紹介させてもらいますね。僕はセランで戦士です。」
「私はアナ、僧侶をしています。」
「職業は侍だ。」
「侍?変わった職業ですね?」
「ジャハンナの特有の職業なのかな?」
「ヒロシさん、広間に来て下さい。」
もう呼ばれた。
さて、適当にやらせてもらおうか。
「君が、ヒロシ君だね?」
「ああ、そうだ。」
「武器を持っていないってことは…魔法使いなのかな?」
「いや、ちゃんと…持っているさ。」
リュックサックをそこそこ広い広間の床に降ろして、得物を取り出して試験官らしき人に見せる。
「変わった武器だな…そんなので戦えるのかい?」
「デカい太いを特徴とした武器じゃなくて悪かったな。」
「まあ、良い…準備が出来たら、試験開始だ。」
俺はリュックサックを隅の方に置いて、得物を腰に差した。
はい、これで準備オーケー。
「準備出来たぞ。」
「早っ!?…ごほん、それではこれから試験を開始する!!」
試験官は武器を出す。
俺は得物の柄に手を添えて、少し辺りを見回すと…観客席らしき物が広間の壁周りに設置されている。
その観客席にはセランとアナとその他冒険者達がいらっしゃる。
「では…いくぞ!!」
「抜刀!!」
ガキン!!と試験官と俺の武器がぶつかり合う。
試験官の武器に少しヒビが入る。
強度的には俺の武器が上のようだ。
「…くっ、武器にヒビが入るとは…。」
「武器破壊したら、試験終了か?」
「まさか!!相手が降参するまでさ!!」
そう言って、試験官は後ろに下がって武器をしまい魔法を詠唱する。
さて、何がくるかな?
「食らえ!!ファイアアロー!!」
「居合い切り!!」
俺は一旦武器をしまって、集中し…何かが飛んできたと同時に武器を出した。
ガン!!バチバチッ!!と武器と魔法がぶつかり合う。
「ファイアアローを受けとめただと!?」
「ちょっと不利か。」
いやはや、流石に魔法に普通の武器はキツいか。
じゃあちょっと魔力を込めて…切り裂こう。
「よいしょっと。」
「魔法を切っただと!?」
まさか、切られるとは思ってなかった試験官は驚きの表情を見せた。
その光景に、観客席からもざわめきが生じた。
うーん…やっぱり、魔法を切るのは駄目だったか。
「くっ…ならば、これならどうだ!!」
「ファイナルアタックみたいな物か…押しきられて見るか。」
試験官は魔力を込めて…大きな攻撃を仕掛けてくる構えを見せた。
俺もその構えをとって、試験官と同等の魔力を込めた。
「食ら…えぇ!!」
「ほい!!」
大きな魔力の塊がぶつかり合う。
一旦、試験官が不利になるが…気合いで押しきって、最後には俺が吹っ飛ばされた。
吹っ飛ばされた衝撃と壁に叩きつけられた衝撃の合算ダメージは意外と少なかった。
「勝者!!試験官!!」
観客席の中央に当たる部分に審判役が居た。
試験官は沢山の魔力を使ったようで、はぁ…はぁ…言ってる。
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