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聖と出会ったのは、俺が籍を置いているアイドル事務所に入ってから。
俺は既に成人していたが、彼はまだ未成年だった。
そして歳下でありながら、俺にとっては人生の大先輩だった。
何故そのことを知っているかというと、彼はアイドルになる以前から有名だったから。
女優の母親と歌手の父親から生まれた聖は、小さな頃から子役として活躍していた。
俺が子供の頃、彼はテレビに毎日出ていて、小さいのに大変だな、と呑気に思っていた。
でもいつからかテレビに出なくなって。
噂では、とあるアイドル事務所に入ったのだと聞いた。
まさかそれが、俺が入った事務所だったなんて、知らなかった。
「刻はさ、なんでアイドルになったの?」
聖の家に行った時、彼がそう聞いてきたことがあった。
彼は例の「体調不良」の時だったから、突然喋り出した彼を俺は不思議に思いつつ、答えた。
「俺も輝きたいな、と思ったから」
俺は昔から、出来ない子供だった。
頭は悪いし、要領も悪い。
でも体を動かすことは好きで。
好きなことは徹底してやれる自信があった。
高校を卒業して就職した時。
テレビをつけた時偶然、アイドルが出ている番組で、歌いながら楽しそうに踊っていた。
歌いながら体を動かすのは大変なはずなのに、その人たちは簡単にやってみせた。
それを見た時、俺は思った。
俺が1番輝くことのできる仕事はこれだって。
成功しないなんて考えないで、きっとアイドルとして活躍できると確信して。
そして俺はこの世界に入った。
「仕事、楽しい?」
「もちろん」
「そっか」
きっと、最初は同情だった。
小さな頃から働いている聖を、他の世界を知らない聖を、俺が助けてやりたいって。
別の世界もあるんだってことを教えてやりたかった。
そうしたらきっと彼も、もっと楽しく仕事をできるだろうと思った。
その選択が間違いだったのだろうか。
俺が彼を助けるつもりだった。
俺が彼を変えてやるつもりだった。
そのはずがいつの間にか。
俺が彼に変えられていたということを、俺は気がついていなかった。
「ったー…」
動く度に腰が鈍く痛む。
昨夜は彼が「体調不良」で、俺はそれに付き合わされたのだ。
何度も「酷くしないで」と言ったけど彼は聞こえていなかったのか、ひたすら中を暴かれた。
終わったのは夜も更ける頃で、あまり睡眠が取れなかった。
その癖彼は隣で倒れるように眠ってしまったのだから、恨み言の1つでも言ってやりたい。
しかし、それはできなかった。
結局俺も、本心では嫌がっていないのかもしれなかった。
その証拠に、彼に作り上げられた体は毎回、熱を帯びる。
もっと欲しいと思ってしまう。
しかし問題は、彼が俺を求めてくる周期だ。
前は1年に数回、彼が仕事を休んだ時のみだった。
それが最近は月に数回。
そしてとうとう、仕事が休みでなかった日も、時間が合えば俺を呼び出すようになった。
几帳面な彼を表すように、不在着信がきっちり3件。
それが彼の合図で、俺も可能な時は、彼に対して不在着信を2回残すようにした。
できない時は1件のみ。
それが暗黙の了解。
俺は忙しくても、できる限り彼の家に行くようにしていた。
聖が俺を求めている。
そう思うと、俺はつい彼の所へ行ってしまう。
いや、それは言い訳かもしれない。
結局は俺が、彼の所へ行きたいのだ。
扉をノックする音が聞こえ、俺は物思いに更けていた意識を浮上させた。
「何ですか?」
扉越しに問うと、向こうからぶっきらぼうな声が聞こえた。
「俺だ」
俺は扉の鍵を開けた。
予想通り、光がそこに立っていた。
光は同じ事務所に所属するアイドル。
俺の先輩であり、そして。
事務所の社長の息子だった。
光は扉を閉じ、鍵をかける。
「なんの用事?」
「お前がここにいるって聞いたから」
「会いに来たわけ?」
「会いに来たんじゃない。話をしに来たんだ」
彼は俺を睨む。
嫌な予感がした。
彼がこのような目をする時、彼は怒っている。
長年の付き合いで、知っていた。
しかし、彼を怒らせるようなことはしたか?
覚えがない。
光は俺に向かってつかつかと歩いてくる。
そして突然、何をするかと思えば、俺が着ていた服をたくし上げた。
そして俺の胸元に付けられたものを見て、舌打ちをして目を逸らした。
胸元だけではない。
首筋にも、背中にも。
服に隠れた至る所に彼の刻印が入っている。
「お前、これはどういうことだ…?」
「…アイドルとはいえ、俺にだって性欲くらいある。お前だってそうだろ?」
相手が聖だということは言わなかった。
先ほども言ったように俺はアイドル。
男とこんなことをしているとバレたら、俺の芸能生活はどうなるかわからない。
しかし俺が隠したにも関わらず、彼は俺を見下ろし冷たく言い放った。
「確かにそうだな。俺だって発散する時はある。でもな、いくらなんでも男が相手ってことはねえぞ」
「なんで俺の相手が男だと思うわけ?」
「お前は無意識かもしれないけどな、聖に会った次の日はいつも腰を気にかけてんだよ」
光は、相手が男というだけでなく、聖だということすら見破っていた。
そこまでは流石に予想外で、俺も驚く。
「俺が聖と会ってるって証拠はあるの?」
「お前、俺を誰だと思ってんだ。この事務所内の人物の行動は把握してんだよ」
「俺が聖に会ってるのをマネージャーから聞いたってこと」
「まあね」
「プライバシーの権利が俺にだってあるんだけど」
「親父から頼まれて聞いてるっていえば、簡単に話してくれるぞ」
いくら社長の息子とはいえ、酷い権利乱用だ。
しかし、仲本さんがそんな簡単に俺のことを話す人だとは思わなかった。
これからは、あの人にはあまり話をしないようにしよう。
いくら誤魔化しても、頭の良い光のことだから俺の嘘は感づくだろうと思い、俺は素直に話すことにした。
「安心してよ。別に聖とは付き合ってないから」
「そこが問題なんじゃねえよ」
てっきり俺と聖が付き合っていると勘違いして怒っているのだと思ったが、俺の言葉を光はすぐ否定した。
そのことが問題でないとしたら、いったい何が問題なのか。
わからずに首を傾げていると、光は諦めたようにため息を吐いた。
「お前、こんなことをして責任が取れんのか」
「責任ってなんの」
「お前と聖の関係がマスコミにバレた時、お前が聖を守れるのかって聞いてんだよ。お前1人の問題だったら、別に勝手にやってくれれば良い。でも、お前がしてることは聖を巻き込んでんだよ。同じ事務所のアイドルが肉体関係にあるって知られれば、マスコミは話題にしないはずがない。そのせいでもしかしたら、聖の人生を狂わせるかもしれないんだぞ。お前には、その後も聖を守ることができんのか」
「俺が聖を巻き込んでいる…?」
つまりはそれは、聖に迷惑をかけているってこと?
俺が、あいつに?
「お前が年上なんだ。もし今後も付き合いを持つっていうならそこまで考えて行動しろ。俺が少し調べればわかるような行動は慎め」
「どうやって……?」
「さあな。例えば会うのはもう少し控えるとかすれば良いんじゃねえの」
「……それは、ダメだよ」
「なんで」
「だってあいつは、俺がいないとダメなんだ。俺が助けてやらないと、すぐに壊れちゃうんだよ」
「……」
光はまた、大きなため息をついた。
「お前はあいつを甘やかしすぎだ。そうやって聖のいう通りにいつも行動してたらあいつのためにならない。本当にあいつのことを考えるなら、もっと厳しくやった方が良い」
「厳しく……」
「そうだよ。あいつも子供じゃないんだ。何度か行動で示してやれば、きっとあいつも正しい行動が理解できるはずだ」
「……光」
「なんだよ」
「それが、本当に聖のためになるの?」
「さあな」
光は俺のそばから離れた。
そして背を向け、楽屋から出ていこうとする。
ドアを閉まりそうな時、微かに
「お前が正しいと思うことをしろ」
と言った。
正しいこと。
俺だけの人生じゃない。聖の人生。
聖のためになること。
これからのためになること。
俺は楽屋にスタッフがやってくるまでずっと、そのことを考えていた。
1日後。
聖から、3件の留守電が入っていた。
俺はその通知を、無視した。
俺は既に成人していたが、彼はまだ未成年だった。
そして歳下でありながら、俺にとっては人生の大先輩だった。
何故そのことを知っているかというと、彼はアイドルになる以前から有名だったから。
女優の母親と歌手の父親から生まれた聖は、小さな頃から子役として活躍していた。
俺が子供の頃、彼はテレビに毎日出ていて、小さいのに大変だな、と呑気に思っていた。
でもいつからかテレビに出なくなって。
噂では、とあるアイドル事務所に入ったのだと聞いた。
まさかそれが、俺が入った事務所だったなんて、知らなかった。
「刻はさ、なんでアイドルになったの?」
聖の家に行った時、彼がそう聞いてきたことがあった。
彼は例の「体調不良」の時だったから、突然喋り出した彼を俺は不思議に思いつつ、答えた。
「俺も輝きたいな、と思ったから」
俺は昔から、出来ない子供だった。
頭は悪いし、要領も悪い。
でも体を動かすことは好きで。
好きなことは徹底してやれる自信があった。
高校を卒業して就職した時。
テレビをつけた時偶然、アイドルが出ている番組で、歌いながら楽しそうに踊っていた。
歌いながら体を動かすのは大変なはずなのに、その人たちは簡単にやってみせた。
それを見た時、俺は思った。
俺が1番輝くことのできる仕事はこれだって。
成功しないなんて考えないで、きっとアイドルとして活躍できると確信して。
そして俺はこの世界に入った。
「仕事、楽しい?」
「もちろん」
「そっか」
きっと、最初は同情だった。
小さな頃から働いている聖を、他の世界を知らない聖を、俺が助けてやりたいって。
別の世界もあるんだってことを教えてやりたかった。
そうしたらきっと彼も、もっと楽しく仕事をできるだろうと思った。
その選択が間違いだったのだろうか。
俺が彼を助けるつもりだった。
俺が彼を変えてやるつもりだった。
そのはずがいつの間にか。
俺が彼に変えられていたということを、俺は気がついていなかった。
「ったー…」
動く度に腰が鈍く痛む。
昨夜は彼が「体調不良」で、俺はそれに付き合わされたのだ。
何度も「酷くしないで」と言ったけど彼は聞こえていなかったのか、ひたすら中を暴かれた。
終わったのは夜も更ける頃で、あまり睡眠が取れなかった。
その癖彼は隣で倒れるように眠ってしまったのだから、恨み言の1つでも言ってやりたい。
しかし、それはできなかった。
結局俺も、本心では嫌がっていないのかもしれなかった。
その証拠に、彼に作り上げられた体は毎回、熱を帯びる。
もっと欲しいと思ってしまう。
しかし問題は、彼が俺を求めてくる周期だ。
前は1年に数回、彼が仕事を休んだ時のみだった。
それが最近は月に数回。
そしてとうとう、仕事が休みでなかった日も、時間が合えば俺を呼び出すようになった。
几帳面な彼を表すように、不在着信がきっちり3件。
それが彼の合図で、俺も可能な時は、彼に対して不在着信を2回残すようにした。
できない時は1件のみ。
それが暗黙の了解。
俺は忙しくても、できる限り彼の家に行くようにしていた。
聖が俺を求めている。
そう思うと、俺はつい彼の所へ行ってしまう。
いや、それは言い訳かもしれない。
結局は俺が、彼の所へ行きたいのだ。
扉をノックする音が聞こえ、俺は物思いに更けていた意識を浮上させた。
「何ですか?」
扉越しに問うと、向こうからぶっきらぼうな声が聞こえた。
「俺だ」
俺は扉の鍵を開けた。
予想通り、光がそこに立っていた。
光は同じ事務所に所属するアイドル。
俺の先輩であり、そして。
事務所の社長の息子だった。
光は扉を閉じ、鍵をかける。
「なんの用事?」
「お前がここにいるって聞いたから」
「会いに来たわけ?」
「会いに来たんじゃない。話をしに来たんだ」
彼は俺を睨む。
嫌な予感がした。
彼がこのような目をする時、彼は怒っている。
長年の付き合いで、知っていた。
しかし、彼を怒らせるようなことはしたか?
覚えがない。
光は俺に向かってつかつかと歩いてくる。
そして突然、何をするかと思えば、俺が着ていた服をたくし上げた。
そして俺の胸元に付けられたものを見て、舌打ちをして目を逸らした。
胸元だけではない。
首筋にも、背中にも。
服に隠れた至る所に彼の刻印が入っている。
「お前、これはどういうことだ…?」
「…アイドルとはいえ、俺にだって性欲くらいある。お前だってそうだろ?」
相手が聖だということは言わなかった。
先ほども言ったように俺はアイドル。
男とこんなことをしているとバレたら、俺の芸能生活はどうなるかわからない。
しかし俺が隠したにも関わらず、彼は俺を見下ろし冷たく言い放った。
「確かにそうだな。俺だって発散する時はある。でもな、いくらなんでも男が相手ってことはねえぞ」
「なんで俺の相手が男だと思うわけ?」
「お前は無意識かもしれないけどな、聖に会った次の日はいつも腰を気にかけてんだよ」
光は、相手が男というだけでなく、聖だということすら見破っていた。
そこまでは流石に予想外で、俺も驚く。
「俺が聖と会ってるって証拠はあるの?」
「お前、俺を誰だと思ってんだ。この事務所内の人物の行動は把握してんだよ」
「俺が聖に会ってるのをマネージャーから聞いたってこと」
「まあね」
「プライバシーの権利が俺にだってあるんだけど」
「親父から頼まれて聞いてるっていえば、簡単に話してくれるぞ」
いくら社長の息子とはいえ、酷い権利乱用だ。
しかし、仲本さんがそんな簡単に俺のことを話す人だとは思わなかった。
これからは、あの人にはあまり話をしないようにしよう。
いくら誤魔化しても、頭の良い光のことだから俺の嘘は感づくだろうと思い、俺は素直に話すことにした。
「安心してよ。別に聖とは付き合ってないから」
「そこが問題なんじゃねえよ」
てっきり俺と聖が付き合っていると勘違いして怒っているのだと思ったが、俺の言葉を光はすぐ否定した。
そのことが問題でないとしたら、いったい何が問題なのか。
わからずに首を傾げていると、光は諦めたようにため息を吐いた。
「お前、こんなことをして責任が取れんのか」
「責任ってなんの」
「お前と聖の関係がマスコミにバレた時、お前が聖を守れるのかって聞いてんだよ。お前1人の問題だったら、別に勝手にやってくれれば良い。でも、お前がしてることは聖を巻き込んでんだよ。同じ事務所のアイドルが肉体関係にあるって知られれば、マスコミは話題にしないはずがない。そのせいでもしかしたら、聖の人生を狂わせるかもしれないんだぞ。お前には、その後も聖を守ることができんのか」
「俺が聖を巻き込んでいる…?」
つまりはそれは、聖に迷惑をかけているってこと?
俺が、あいつに?
「お前が年上なんだ。もし今後も付き合いを持つっていうならそこまで考えて行動しろ。俺が少し調べればわかるような行動は慎め」
「どうやって……?」
「さあな。例えば会うのはもう少し控えるとかすれば良いんじゃねえの」
「……それは、ダメだよ」
「なんで」
「だってあいつは、俺がいないとダメなんだ。俺が助けてやらないと、すぐに壊れちゃうんだよ」
「……」
光はまた、大きなため息をついた。
「お前はあいつを甘やかしすぎだ。そうやって聖のいう通りにいつも行動してたらあいつのためにならない。本当にあいつのことを考えるなら、もっと厳しくやった方が良い」
「厳しく……」
「そうだよ。あいつも子供じゃないんだ。何度か行動で示してやれば、きっとあいつも正しい行動が理解できるはずだ」
「……光」
「なんだよ」
「それが、本当に聖のためになるの?」
「さあな」
光は俺のそばから離れた。
そして背を向け、楽屋から出ていこうとする。
ドアを閉まりそうな時、微かに
「お前が正しいと思うことをしろ」
と言った。
正しいこと。
俺だけの人生じゃない。聖の人生。
聖のためになること。
これからのためになること。
俺は楽屋にスタッフがやってくるまでずっと、そのことを考えていた。
1日後。
聖から、3件の留守電が入っていた。
俺はその通知を、無視した。
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