(R18) Lisztomania ~ アル中の女軍人が男とセックスしまくる純愛物語

Purified Water

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劉少奇 篇 (1)

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北方領土の領空侵犯があったという知らせを受け、緊急発進(スクランブル)の指令が降りた。そのときミロは、仙台基地でプロトタイプの『緑眼II』のテストを繰り返していた。IIデモ機は不調ではなかったものの、不慣れだという理由でより高性能のIIで出動しなかったことを、ミロは後悔することになる。
スクランブルの原因となった未確認機は、常軌を超えたスピードだった。IIであれば難なく追いつけたのに、とミロは歯ぎしりする。
「全リストリクション解除。弥生少尉、遠隔リストリクションも全解除願う」
「藤永大尉…! 危険です!」
「IIと同等のスピードになるだけだ。データはすべて大倉へ送信される」
弥生は唇を噛む。ミロがこういうふうに言いだしたら絶対にきかないのを知っていた。『緑眼』のリストリクションを全解除すれば、パイロットがどんな重装備を装着しても、普通の人間では加速に耐えられない。ほぼミロにしか操縦できないスピードになる。
「……了解です…お気をつけて」
「ありがとう、少尉!」

「目視確認、未確認KIWAは恐らく『0峰(レイホウ)』です!」
「了解」
交戦機が『0峰』であるならば、遠慮はまったくいらない。『0峰』は、新興多国籍軍需企業であるスーハイ・エレクトロニクスが提供しているAODβ型の亜種であることをミロは知っていた。
『0峰』との戦闘データを大倉へ送ることができれば、大倉研究所、ヨーバリンダ・テクノ、そして日防軍にとっても大きな貢献になる。ミロは、出力を全開にしてKIWA白兵戦を展開する。

「藤永大尉、交戦停止命令です。日防軍極北師団からです」
「……承知した」
「ハルビン基地へ直ちに着陸してください。直ちに戦闘停止、極北師団長からの命令です」
「…了解」
あと一歩で仕留められるのに、とミロは歯ぎしりしながら思う。最後に3秒ほど「敵機」に連射した後、機首をハルビン基地に向ける。

9月後半、夕刻のハルビン基地は、既に真冬だった。西滑走路は、まだ16時前だというのに暗いオレンジ色に染まり冷気が足元に忍び寄る。凍り付くような外気を切り裂いて爆音を響かせながら、大きな赤い★を左肩にプリントした巨大な緑色のKIWAが着陸する。赤い★のプリントは、単なるミロの趣味でしかなかったが、古い歴史を知る人民解放軍の軍人には好意的に受け止められた。
ミロが「緑眼」KIWAのコクピットから出てきたのを見て、劉は驚きとともに「やはり」という気持ちを覚えずにはいられなかった。
女だった。
ミロの透明なまなざしが、劉の目を貫く。劉は、たじろぐことなくミロを見据える。ミロの表情のない瞳は、ここには無いなにかを見つめているかのようだ。
ミロは、劉にきっちり視線を合わせると、低い声で言った。
「…大した腕だ。貴殿とのニアミスを光栄に思う。自分は藤永ミロ。日防の大尉」
「劉少奇。少佐だ。北方人民解放軍所属」
「『0峰』の噂は聞いている」
「『緑眼』パイロットは貴様か」
「ああ」
「まさか女とはな」
ミロは目を細め、次の瞬間には劉のことを忘れたかのように視線を移して歩き始める。劉は手袋を外しながら、すれ違いざまにミロの体臭を嗅ぎ取る。それまでに感じたことがないほどに強い性欲をミロに覚えた。思わずミロに言う。
「停戦命令にも関わらず、直後に当方への銃撃とはいい度胸だ」
「ストレスの解消」
ミロは悪びれずに言う。劉を再び見てニヤリと笑う。
思いもかけない返事を聞いて、劉は再びミロを見つめずにいられなかった。
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