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親愛なる坂本葵様 (4)
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忍さんが運転する車が、自宅に近づいていました。私は自分の本当の気持ちを押し殺し続けることに耐えられなくなってきていました。忍さんといることは、私にとってはあまりにも自然で楽しいことでした。これ以上私の気持ちを伝えずにいるのは、辛すぎました。あと30分ほどで到着する、というときになってとうとう私は意を決し、忍さんに告白しました。
「ずっとお慕いしています、あなたのことがとても好きです」と。
忍さんは、しばらく黙って運転していましたが、ハザードランプを点滅させて、砧公園の駐車場にゆっくり入って行き車を止めました。私の心臓は爆発しそうなほどに早鐘をうち、鼓動の音が忍さんに聞こえてしまうのではないかと心配になるほどでした。忍さんは、ハンドルを握ったまま私を見ると微笑んで言いました。
「もう少し、亜子ちゃんが大人になってからね」
と。そして、私の頬にそっとキスをしました。私は、キスをしてもらった嬉しさと、自分の告白を真に受けてさえもらえなかった悲しみが混ざり合って、何を言うこともできませんでした。気が付くと、涙があふれ出していました。忍さんは、少し困ったような表情をして、黙って私の左手をじっと握ってくれました。忍さんの手は、指が長くてとても大きくて暖かくて、こんな手で自分の体を愛してもらったらどんなに素敵だろうと、再びあられもないことを考えていたのです。しばらくして私が泣き止むと、忍さんは
「そろそろ送っていくよ」
と言って、再び車のエンジンをかけました。左手でハンドルを操作しながら、右手で相変わらず私の手を握ってくれていて、私は忍さんの横顔を見つめずにはいられませんでした。忍さんは、本当に整った顔立ちをしていて、優しくて、顔を見ているうちにまた涙が溢れてきました。忍さんは、それに気づくと車を再び路肩に停車させました。
「亜子ちゃんを泣かせたまま送って行ったら、ご両親に何を言われるか、わからないからね」
と冗談めかして言いました。私は、それでも泣き止むことができません。もはや涙だけではなく、すすり泣きの声を抑えることもできなくなっていました。突然、忍さんはそっと私のあごを手に取ると、私の唇に自分の唇を押し付けました。私は、驚きで心臓が止まるかと思いました。忍さんの舌がそっと私の口に入ってきます。忍さんの口は、さっきまで噛んでいたミントガムの味がして、かすかに煙草の匂いがしました。私は忍さんのなすがままになっていましたが、忍さんは上手に舌を絡めてきました。私はもう気を失いそうでしたが、そのときそっと忍さんが唇を離しました。時間にして多分1分もなかったと思います。
私は泣き止んでいました。
忍さんは、そのまま黙って車を運転して、私を自宅まで送っていきました。
私と忍さんとの、この「初デート」の1年ぐらい前から、忍さんは藤永ミロさんともう生活をし始めていたのかしら? そう考えると、忍さんと藤永さんは、本当にずいぶんと長い「お付き合い」なのですね。
「ずっとお慕いしています、あなたのことがとても好きです」と。
忍さんは、しばらく黙って運転していましたが、ハザードランプを点滅させて、砧公園の駐車場にゆっくり入って行き車を止めました。私の心臓は爆発しそうなほどに早鐘をうち、鼓動の音が忍さんに聞こえてしまうのではないかと心配になるほどでした。忍さんは、ハンドルを握ったまま私を見ると微笑んで言いました。
「もう少し、亜子ちゃんが大人になってからね」
と。そして、私の頬にそっとキスをしました。私は、キスをしてもらった嬉しさと、自分の告白を真に受けてさえもらえなかった悲しみが混ざり合って、何を言うこともできませんでした。気が付くと、涙があふれ出していました。忍さんは、少し困ったような表情をして、黙って私の左手をじっと握ってくれました。忍さんの手は、指が長くてとても大きくて暖かくて、こんな手で自分の体を愛してもらったらどんなに素敵だろうと、再びあられもないことを考えていたのです。しばらくして私が泣き止むと、忍さんは
「そろそろ送っていくよ」
と言って、再び車のエンジンをかけました。左手でハンドルを操作しながら、右手で相変わらず私の手を握ってくれていて、私は忍さんの横顔を見つめずにはいられませんでした。忍さんは、本当に整った顔立ちをしていて、優しくて、顔を見ているうちにまた涙が溢れてきました。忍さんは、それに気づくと車を再び路肩に停車させました。
「亜子ちゃんを泣かせたまま送って行ったら、ご両親に何を言われるか、わからないからね」
と冗談めかして言いました。私は、それでも泣き止むことができません。もはや涙だけではなく、すすり泣きの声を抑えることもできなくなっていました。突然、忍さんはそっと私のあごを手に取ると、私の唇に自分の唇を押し付けました。私は、驚きで心臓が止まるかと思いました。忍さんの舌がそっと私の口に入ってきます。忍さんの口は、さっきまで噛んでいたミントガムの味がして、かすかに煙草の匂いがしました。私は忍さんのなすがままになっていましたが、忍さんは上手に舌を絡めてきました。私はもう気を失いそうでしたが、そのときそっと忍さんが唇を離しました。時間にして多分1分もなかったと思います。
私は泣き止んでいました。
忍さんは、そのまま黙って車を運転して、私を自宅まで送っていきました。
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