[R-18]あの部屋

まお

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44.侵食2

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柏木は朔の臀から飛び出す玩具の取っ手を優しく掴んだ。朔は整わない呼吸のまま柏木をただ見上げるのが精一杯だった。


「大人しいね。期待してるのかな?」

朔は何も言えずに柏木を力のない瞳で見上げる。


「野坂は淫乱だから、1回イったくらいじゃ満足しないよね?わかってるよ。この機能でまたイかせてあげるからね」

何も言葉を返さない朔に一方的に話しかけ柏木は手をかけていたバイブのスイッチを操作した。


「──ッぃァアッッぁぁああ゛ッ」

先程まで力無く脱力して横たわっていた身体が、大きく跳ね、朔は首を仰け反らせ目を見開き啼き叫ぶ。

あまりの衝撃にのたうつ朔の身体を背中から踏みつけ柏木は口角をあげた不敵な笑みで悶える朔を見下ろす。


「どう?電流で前立腺責めされるの。気持ちいい?」

朔の胎内に収まったままのバイブは、胎内で振動するのに加えて前立腺にあたる部分から微弱な電流が流れる構造となっており、朔の胎内を強烈な刺激が襲っていた。


「あ゛ァアッぁあ゛ぁあー」

電流を一番敏感な箇所に流され、朔の口から漏れでる悲痛な悲鳴が部屋に響き渡る。


「素敵な声だね」

柏木は満足そうに目を細め朔の身体を眺める。朔の傷や痣だらけの身体は柏木の征服欲を満たした。そのうち朔の身体が大きくガクガクと震えだす。


「またイく?電流流されてイくんだー。ドMだね、かわいい」

「ン゛ンんッ っぁ…ひぃ ぁあっア゛」

背中を踏みつけられ耐えるように俯き鳴き続ける朔の背中を、柏木は今度は足を避けしゃがみこみ指でゆっくりなぞる。うなじからゆっくり指を下へ滑らせ尾てい骨の部分に辿り着くと優しくとぐりぐり刺激する。
その擽ったく危うい刺激から逃れるために朔は腰だけを突き出すように掲げ刺激を受け流そうとするが、逆にその格好は柏木の情欲を唆るものとなってしまう。


「ッ…は、……ンんっ!…もっ ぃあア゛──!!」

朔は堪らず身体を丸め大きくビクンっと痙攣すると、その後身体から力が抜けて拘束された手足が弛緩して掲げていた腰も床へと崩れ落ちていく。


「電気流されて気持ちよくなっちゃったね。…あーあ、もう尿みたいな精液になっちゃったな」

横たわった朔の下半身の怒張からは透明な液体が床と先端を繋ぐように滴り落ちていた。
朔は半分意識を飛ばしながら果てた。


「あと何回出せるかな?空っぽになってもイかせ続けたらどうなるか実験しようね」

柏木は一旦バイブのスイッチを切ると、立ち上がり力無く横たわる朔の頬を足で踏みつけ、半笑いで顔を覗き込む。
朔は抵抗もせずそのまま焦点の合わない視線を遠くに向けていた。


「野坂、何か言ったら?話せなくなった?死ぬ?」

柏木はしゃがみこみ朔の顎をとり、自分の方へと向けさせる。
ぼんやりとしていた朔の視線が柏木を捉える。柏木は朔がどんな絶望や羞恥の表情を見せるのか楽しみにしながら黙って朔の顔を見つめた。もしかしするともう精神が崩壊したのかもしれない。そう思うと興奮と高揚が柏木の全身を支配し、下半身に熱が集中した。

朔が壊れた時、それは朔の死を意味する。

柏木は朔を完全に壊してから殺したかった。朔の精神を壊して自らの手にかけることは、柏木にとって最終目標だった。そうすることが、柏木の思惑を全て叶えることになるのだ。

しかし、そう期待し待ち構えていた朔からは予想していない反応が返ってきた。
朔は柏木を力無く見つめてから小さく口を開き小さい声で何か言葉を発した。


「……」

柏木の表情から笑顔が消え無表情のまま、ぼそぼそ何か話す朔の口元に耳を寄せる。


「……め…、………………」

何か話している朔の言葉の節々しか聞き取れなく、柏木は朔の髪を掴み顔を引き寄せさらに耳を澄ませた。


「ご…め……。た………くせ…せ、奪……て。かな……し、お……い……させ…る ……こ…に…なって………。……め…ん」

柏木は思わず動きを止めた。

──ごめん。拓先生を奪って。悲しい思いをさせることになって。ごめん。

意識を失いかけ弱り果てた朔の口から紡がれた言葉は、柏木への謝罪だった。


「……」

柏木は、頭の中の思考が停止したような錯覚に陥る。そのまま茫然としていると、記憶の奥から頭の中に響くように声が聞こえてくる。

─ごめんな…、颯希。裏切るつもりは無かったんだ…。駄目な兄ちゃんで…本当にごめん。傍に居てあげられなくて…ごめん…───

柏木はいつの間にか強く握りしめていた自身の拳に視線を向ける。
そう言って最後まで笑顔を崩さなかったその時の拓人の泣きそうな笑顔と遠ざかる背中を思い出した。



「…ふざけんな。謝ってんなよ。お前に謝られる理由ねぇよな?なぁ!?」

柏木は声を荒らげ、朔の髪を掴み頭が床から高く浮くほどさらに引き上げて威喝する。
見たことのない柏木の激高する様子に朔は恐怖や痛みよりも申し訳無さが勝った。朔はいくら柏木が憤怒しても、自分の記憶が無いにしても、無関係だった柏木に少なからず負の影響を与えてしまったことがただひたすら申し訳なく、自然と謝罪の言葉を紡いでいた。


「…そんなに俺を不快にさせて楽しいか?……本当は野坂を殺すのにもうそんなに時間かからないと思ってたけど、気が変わった。もっと苦しめてやりたくなった」

柏木は怒りを宿した瞳で朔を見下ろす。ただ、やはりその表情は笑顔だった。
柏木は掴んでいた朔の髪を離す。朔は重力のままに、床に頭を打ち付ける。

そんなつもりはない。偽善ではなくて本当に思っているんだ。
そんな言葉を言いたくても朔はもう身体を起き上がらせ言葉を発するのだけの体力が残っていなかった。


「次はこれ使おう。出力強くしたらすぐ気を失っちゃうから弱くして沢山甚振ってやるよ」

柏木がいつの間にかまたクローゼットから取り出していたのは、黒い手のひらより少し大きいくらいの縦長の機械。柏木がその機械のスイッチを押すと、先端にイナズマのような光が走り、ビリビリと電気音が鳴り響く。

力が無くてもその人体に影響しそうな音を間近で聞くと、防衛本能のように朔の身体は逃げを打つようにびくっと小さく反応する。


「ケツで咥えてるバイブとこのスタンガンで電気責めしてあげる。野坂はやっぱり痛いのが好きみたいだしね」

朔はうつ伏せのまま、顔を横に向け柏木のその手の中の凶器から視線を逸らさず小さく首を左右へ振る。


「また泣いてる。泣くほど嬉しい?」

恐怖でいつの間にか溢れていた涙が床の上にこぼれ落ち、朔の頬を冷たく濡らしていた。
柏木はゆっくりとした動作でその機械を朔の脇腹へと押し当てる。そして同時に後ろのバイブのスイッチを付けた。


「ひぃい゛…ぅッッ」

「怯えてる野坂も、泣いてる野坂も、すごく綺麗。余計なこと言わなかったなら気持ちよく最期迎えられたのにね。地獄を見せてやるからな」

柏木はそのまま押し当てたスタンガンのスイッチを押し込む。

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