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京香さんと話をする
京香さんと話をする②
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「ただね、硏真さんに出会ってなかったとしても、永真とあのまま付き合い続けることはなかったと思う」
「え?」
「一度は付き合うって言った。言ったけど……その……」
京香さんが言い淀む。
「ハァ……あまり時間もないことだし、もうぶっちゃけて言うわね」
正直なところ、二人の過去の話なんて聞きたくなかった。わざわざ、今日のこの良き日に、聞きたいと思う話じゃない。
「あの……」
「聞きたくないかもしれないけど、でも聞いて。
あなたは聞いた方がいい」
「……」
そこまで言われたら聞かざるを得ないじゃない。
私は渋々耳を傾けることにした。
「大学に入学して少しした頃から、永真が私のことを好きなのは気づいてたの。
でも私には彼氏がいたし、永真とはなんでも言い合える友達だとしか思ってなかった。
2年の終わりだったかな。彼氏と上手くいかなくなって別れたの。
原因は彼の浮気。
彼ね、浮気したにもかかわらず、それは私のせいだって言ったのよ」
「え?」
「彼とは高校時代からの付き合いで、大学は別々だったのよ。
それでも上手くやっていけると思ってたんだけど……。
たしかに、医大なわけだから当然私の方が忙しくて、なかなかデートもままならなかった。
それなのに、会ったら私が永真の話ばかりしていてムカついたんだって。
俺だって他の女と! って思ったみたい。
……酷い話よね、浮気したのは自分の弱さじゃない? なのに私のせいにするなんて。
永真のことは、友達として名前を挙げていただけなのに」
彼氏の浮気。しかも、浮気をしたにもかかわらず、相手のせいにするなんて…………どこかで聞いた話だ。
まさか、京香さんが私と同じ別れ方を経験していたとは思いもしなかった。
「それでも長く付き合っていたから情はあった。
辛かったわ。だからその……」
「辛いから、忘れようと永真さんと付き合ったんですか?」
「……まあ、そんなとこ。
もちろん、なんとも思ってなかったわけじゃなく、好意はあったのよ?
一緒にいると楽しかったし、付き合えると思ったの。
でも、いざキスをしてみたら……違ったの。
全くときめかないというか、弟としているみたいな感じ?」
「弟……」
「そう。これは違うって、すぐに思った。
思ったんだけど、ちょうど学年末の総合試験期間で、そんな話出来なかったの。
そんな中で出会ってしまったのよ、硏真さんに。
一目惚れだった。
それに、元カレともまた全然違ったのよね。
こう……なんというか……何もかも委ねたくなっちゃう感じ?」
「……」
どうしよう……。
永真さんから聞いた時は、この人のことを酷い人だと思ったのに、今はそんな気持ちがわかってしまう。
私もあの夜、目がほとんど見えていなかったにもかかわらず、会ったばかりの永真さんに何もかも委ねたくなったのだ。それはきっと本能的なもの――。
「きっと本能的なものね。あ、この人が私の半身だ! って」
「――!!」
「だから、試験が終わったら、ちゃんと永真には話をしようと思ってたの。
でも、言う前に見つかっちゃって……とっさに永真との事をなかったかのように振舞ってしまった。
あの日、研真さんから初めて呼び出されて、告白されたの。だからその……硏真さんに知られたくなくて……。
永真には本当に申し訳ないことしたと思ってる。『やっぱり付き合えない』って、先に永真に言うべきだった」
おそらくこれは全て本心で、京香さんは心から申し訳なく思っているのだろう。
だからといって、永真さんが京香さんによって女性不信に陥ったのは事実なのだ。
今さら謝られても、永真さんの過去は救えない。
なのに、なぜ私にこんな言い訳のような話を聞かせるのだろう?
それにこの人、病院で会った時に牽制まがいの話し方をしてこなかった?
あれはなんなの?
この際だと、今までの疑問をぶつけてみる。
「え?」
「一度は付き合うって言った。言ったけど……その……」
京香さんが言い淀む。
「ハァ……あまり時間もないことだし、もうぶっちゃけて言うわね」
正直なところ、二人の過去の話なんて聞きたくなかった。わざわざ、今日のこの良き日に、聞きたいと思う話じゃない。
「あの……」
「聞きたくないかもしれないけど、でも聞いて。
あなたは聞いた方がいい」
「……」
そこまで言われたら聞かざるを得ないじゃない。
私は渋々耳を傾けることにした。
「大学に入学して少しした頃から、永真が私のことを好きなのは気づいてたの。
でも私には彼氏がいたし、永真とはなんでも言い合える友達だとしか思ってなかった。
2年の終わりだったかな。彼氏と上手くいかなくなって別れたの。
原因は彼の浮気。
彼ね、浮気したにもかかわらず、それは私のせいだって言ったのよ」
「え?」
「彼とは高校時代からの付き合いで、大学は別々だったのよ。
それでも上手くやっていけると思ってたんだけど……。
たしかに、医大なわけだから当然私の方が忙しくて、なかなかデートもままならなかった。
それなのに、会ったら私が永真の話ばかりしていてムカついたんだって。
俺だって他の女と! って思ったみたい。
……酷い話よね、浮気したのは自分の弱さじゃない? なのに私のせいにするなんて。
永真のことは、友達として名前を挙げていただけなのに」
彼氏の浮気。しかも、浮気をしたにもかかわらず、相手のせいにするなんて…………どこかで聞いた話だ。
まさか、京香さんが私と同じ別れ方を経験していたとは思いもしなかった。
「それでも長く付き合っていたから情はあった。
辛かったわ。だからその……」
「辛いから、忘れようと永真さんと付き合ったんですか?」
「……まあ、そんなとこ。
もちろん、なんとも思ってなかったわけじゃなく、好意はあったのよ?
一緒にいると楽しかったし、付き合えると思ったの。
でも、いざキスをしてみたら……違ったの。
全くときめかないというか、弟としているみたいな感じ?」
「弟……」
「そう。これは違うって、すぐに思った。
思ったんだけど、ちょうど学年末の総合試験期間で、そんな話出来なかったの。
そんな中で出会ってしまったのよ、硏真さんに。
一目惚れだった。
それに、元カレともまた全然違ったのよね。
こう……なんというか……何もかも委ねたくなっちゃう感じ?」
「……」
どうしよう……。
永真さんから聞いた時は、この人のことを酷い人だと思ったのに、今はそんな気持ちがわかってしまう。
私もあの夜、目がほとんど見えていなかったにもかかわらず、会ったばかりの永真さんに何もかも委ねたくなったのだ。それはきっと本能的なもの――。
「きっと本能的なものね。あ、この人が私の半身だ! って」
「――!!」
「だから、試験が終わったら、ちゃんと永真には話をしようと思ってたの。
でも、言う前に見つかっちゃって……とっさに永真との事をなかったかのように振舞ってしまった。
あの日、研真さんから初めて呼び出されて、告白されたの。だからその……硏真さんに知られたくなくて……。
永真には本当に申し訳ないことしたと思ってる。『やっぱり付き合えない』って、先に永真に言うべきだった」
おそらくこれは全て本心で、京香さんは心から申し訳なく思っているのだろう。
だからといって、永真さんが京香さんによって女性不信に陥ったのは事実なのだ。
今さら謝られても、永真さんの過去は救えない。
なのに、なぜ私にこんな言い訳のような話を聞かせるのだろう?
それにこの人、病院で会った時に牽制まがいの話し方をしてこなかった?
あれはなんなの?
この際だと、今までの疑問をぶつけてみる。
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