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第三章(最終章)
7-2.
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7-2.
帝都を出て三里を駆けた。大きく二又に別れた道の前で馬を降り、その表層を確かめる。
「…駄目だ。流石にこの時期は往来が多すぎる。轍の判別がつかない。馬車では、サリアリアの魔力の痕跡も無さそうだな」
「東の方が転移陣を置いている街までの距離は近いですが、人目を避けて西に進んだ可能性もあります。二手に別れますか?」
クレストの提案を暫し吟味する。馬上で返答を待つクレストに、ディノールが馬を近づけた。
「ていうか、クレストもついて来ちゃったんだね?」
「大事になる前に、現場を抑えておきたいですし、できるなら公にならないように処理してしまいたいんですよ」
クレストの言葉は己も同意するところだ。己の推測が当たっているとしたら、サリアリアを救助する場には確実に居合わせたい。
―どうする?
「!?何!?」
「これは!?」
突然、彼方から感じる大規模な魔力放出。この魔力は―
「サリアリアか!」
「西の方!山越えの方向から!」
魔力感知に関しては有能なディノールが、片方の道の先を指す。
「くそっ!居場所がわかったのはいいが、こんなとこであんな魔力放ちやがって!」
ラギアスが悪態を飛ばす。既にここは帝都の守護結界の外だ。魔力に餓えた魔物達の生息域。魔物程度であれば何とかなるだろうが、問題は。あれほど目立ってしまえば、魔人の襲撃さえあり得る。
「急ごう!」
「あそこだ!」
ディノールが指差す先、山越えのための山小屋が見える。懸念した通り、サリアリアの魔力が確認されるそこは、ウルフ種の群れの襲撃を受けていた。張られた結界は、しかし安定せず、今にも消滅してしまいそうな様相を見せる。
「ヴィア!お前はここで待ってろ!」
馬で駆け抜けて行くラギアスの背を見送って、言われたとおりに馬の足を止める。見守る先、ラギアスを追った三人も加わり、瞬く間にウルフの群れが掃討されていく。
群れが無力化されたところで、マクライドが山小屋の中へ飛び込んだ。馬を飛び降りて、その後を追う。
「サリアリア!」
床に座り込み放心する彼女の側、膝をついていた長髪の男が振り返る。その瞳に、在りし日の男の姿が甦る。
「貴様!サリアリアから離れろ!」
マクライドの恫喝にも動じる気配の無い男。マクライドがサリアリアへと近づき、その体をすくい上げた。
敵意をみなぎらせるマクライド。立ち上がった―まだ少年と言ってもいい―男を睨み、その腕にサリアリアをきつく抱き止める。
対する少年の目に浮かぶのは諦念か、絶望か。赤眼の奥に見える陰りに、胸を締め付けられる。
背後で扉の開く気配。肩を包む温かい手。頭上からこちらを気遣う声が降ってくる。
「…怪我してねえな?ここじゃさすがに無防備過ぎる。移動するぞ」
ラギアスの言葉に頷いて、少年に声をかけた。
「…コルネルト・ハース、だな?」
少年の視線がこちらを向く。応えは無いかと思ったが、真っ直ぐな声が返る。
「そうです」
「わかった。あなたの主張は後で聞こう。ここは危険だ。魔人の襲撃もありえる、移動して」
「何故です?」
コルネルトの視線がサリアリアに流れる。
「ここには、英雄の娘であるサリアリア様がいらっしゃる。魔人など、彼女が倒せばいい」
「貴様!サリアリアを何だと思っている!」
「そちらこそ、何を考えているのです?彼女は英雄の娘なのでしょう?ならば、魔人を、魔のものを倒すのが彼女の役目。帝都深くに隠し込んで、貴方こそ彼女を何だと思っているんですか?」
「貴様!」
「…コルネルト、手荒な真似はしたくない。今は大人しく私たちについてきてくれ」
「…お断りします」
ならば、多少の力業は仕方ない。ラギアスに視線を送れば、突如、小屋の外で膨れ上がる異変―
「くそっ!?」
「サリア!」
覆い被さる巨体に守られる。周囲に防御結界が張られたのがわかった。
瞬間、爆発的な魔力の接近とともに、小屋が吹き飛んだ。
「コルネルト!」
「っ!大丈夫だ。あいつのとこまで、結界張ってる」
ラギアスの言葉に安堵する。轟音をたてて、小屋が崩れ落ちた。結界に弾かれ、転がる小屋の残骸。立ち込める粉塵の向こうに、サリアリアを抱いたマクライド、膝をついたコルネルトの無事を確認する。
小屋のあった先、クレストを背後に庇うように、見事な防御結界を展開しているのはディノール。彼の見上げる先、対峙するは、禍々しい魔力を身にまとう、人の形をした人ならざるもの。
「ラギアス!」
それだけで、こちらの意を解してくれる男と共に、コルネルトに駆け寄る。
「コルネルト!」
魔人を凝視する彼の顔からは血の気がひいている。震える体を揺するが、こちらに全く反応しない。
「…ヴィア」
視線の合ったラギアスがコルネルトの服を掴み、持ち上げる。そのまま、マクライド達の元へと引きずった。
「マクライド、こいつも頼む。もう少し大きめに結界張り直せ」
「…」
マクライドからの返事は無いが、周囲を包む結界が拡がった。
「ごめんなさい!私のせいで!」
場違いの謝罪は、サリアリアのもの。自身がことの元凶だという自覚はあるようだ。
「彼…コルネルト君の魔力、ううん、話にびっくりしちゃって、暴走しちゃったの、本当にごめんなさい!」
「今は謝罪など不要だ」
それよりも、あの魔人をどうするか。ディノールはクレストを庇いながらの防御結界で精一杯。結界が安定していることから、もうしばらくはもつだろうが。
「ヴィア、クレストじゃ無理だ。俺が行くから、ここで大人しくしてろ」
ラギアスの言葉に、躊躇する。相手は魔人。彼一人で果たして―
「…無理だ!あいつ、あいつは!」
魔人に震えていたコルネルトが恐慌を来して、暴れ出した。
「落ち着け、コルネルト」
「無理だよ!あいつは普通じゃない!ただの魔人じゃないんだ!あいつは倒せない!誰にも!」
「!?感知能力か!」
コルネルトの様子に、思い当たるものがあった。浮かぶのは、不滅者の感知に優れた部下が、彼と同じような反応を見せた場面。ならば、
―奴を倒すのは、私だ
「ラギアス!私が出る!援護を!」
「!ちっ!仕方ねえ!ぜってえ、怪我すんな!」
ラギアスの声を背後に駆け出す。かなり厳しい条件をつけられたが、それが彼の希望なら努力しよう。
「クレスト!待て!」
彼が放とうとした魔法攻撃を寸でで止める。この魔人が真実、不滅者だとしたら、魔力の拡散は極力避けなければ。
「ディノール!クレスト!マクライドんとこまで下がれ!」
「でも、ラギアスは!?」
「任せとけっつってんだよ!邪魔だから、下がっとけ!」
「…わかった!」
ディノールが防御結界を拡大しながら、安全な退路を確保するのを視界の済みで確認する。
目の前、こちらを獲物と認識した魔人の意識が向いた。ゆっくりと、体内の魔力循環を開始する。体の隅々まで行き渡らせたそれを、身体の内、決して外には漏れ出さぬように、圧力をかけながら、膨張させていく。身体が熱い―
「…行くぞ!」
帝都を出て三里を駆けた。大きく二又に別れた道の前で馬を降り、その表層を確かめる。
「…駄目だ。流石にこの時期は往来が多すぎる。轍の判別がつかない。馬車では、サリアリアの魔力の痕跡も無さそうだな」
「東の方が転移陣を置いている街までの距離は近いですが、人目を避けて西に進んだ可能性もあります。二手に別れますか?」
クレストの提案を暫し吟味する。馬上で返答を待つクレストに、ディノールが馬を近づけた。
「ていうか、クレストもついて来ちゃったんだね?」
「大事になる前に、現場を抑えておきたいですし、できるなら公にならないように処理してしまいたいんですよ」
クレストの言葉は己も同意するところだ。己の推測が当たっているとしたら、サリアリアを救助する場には確実に居合わせたい。
―どうする?
「!?何!?」
「これは!?」
突然、彼方から感じる大規模な魔力放出。この魔力は―
「サリアリアか!」
「西の方!山越えの方向から!」
魔力感知に関しては有能なディノールが、片方の道の先を指す。
「くそっ!居場所がわかったのはいいが、こんなとこであんな魔力放ちやがって!」
ラギアスが悪態を飛ばす。既にここは帝都の守護結界の外だ。魔力に餓えた魔物達の生息域。魔物程度であれば何とかなるだろうが、問題は。あれほど目立ってしまえば、魔人の襲撃さえあり得る。
「急ごう!」
「あそこだ!」
ディノールが指差す先、山越えのための山小屋が見える。懸念した通り、サリアリアの魔力が確認されるそこは、ウルフ種の群れの襲撃を受けていた。張られた結界は、しかし安定せず、今にも消滅してしまいそうな様相を見せる。
「ヴィア!お前はここで待ってろ!」
馬で駆け抜けて行くラギアスの背を見送って、言われたとおりに馬の足を止める。見守る先、ラギアスを追った三人も加わり、瞬く間にウルフの群れが掃討されていく。
群れが無力化されたところで、マクライドが山小屋の中へ飛び込んだ。馬を飛び降りて、その後を追う。
「サリアリア!」
床に座り込み放心する彼女の側、膝をついていた長髪の男が振り返る。その瞳に、在りし日の男の姿が甦る。
「貴様!サリアリアから離れろ!」
マクライドの恫喝にも動じる気配の無い男。マクライドがサリアリアへと近づき、その体をすくい上げた。
敵意をみなぎらせるマクライド。立ち上がった―まだ少年と言ってもいい―男を睨み、その腕にサリアリアをきつく抱き止める。
対する少年の目に浮かぶのは諦念か、絶望か。赤眼の奥に見える陰りに、胸を締め付けられる。
背後で扉の開く気配。肩を包む温かい手。頭上からこちらを気遣う声が降ってくる。
「…怪我してねえな?ここじゃさすがに無防備過ぎる。移動するぞ」
ラギアスの言葉に頷いて、少年に声をかけた。
「…コルネルト・ハース、だな?」
少年の視線がこちらを向く。応えは無いかと思ったが、真っ直ぐな声が返る。
「そうです」
「わかった。あなたの主張は後で聞こう。ここは危険だ。魔人の襲撃もありえる、移動して」
「何故です?」
コルネルトの視線がサリアリアに流れる。
「ここには、英雄の娘であるサリアリア様がいらっしゃる。魔人など、彼女が倒せばいい」
「貴様!サリアリアを何だと思っている!」
「そちらこそ、何を考えているのです?彼女は英雄の娘なのでしょう?ならば、魔人を、魔のものを倒すのが彼女の役目。帝都深くに隠し込んで、貴方こそ彼女を何だと思っているんですか?」
「貴様!」
「…コルネルト、手荒な真似はしたくない。今は大人しく私たちについてきてくれ」
「…お断りします」
ならば、多少の力業は仕方ない。ラギアスに視線を送れば、突如、小屋の外で膨れ上がる異変―
「くそっ!?」
「サリア!」
覆い被さる巨体に守られる。周囲に防御結界が張られたのがわかった。
瞬間、爆発的な魔力の接近とともに、小屋が吹き飛んだ。
「コルネルト!」
「っ!大丈夫だ。あいつのとこまで、結界張ってる」
ラギアスの言葉に安堵する。轟音をたてて、小屋が崩れ落ちた。結界に弾かれ、転がる小屋の残骸。立ち込める粉塵の向こうに、サリアリアを抱いたマクライド、膝をついたコルネルトの無事を確認する。
小屋のあった先、クレストを背後に庇うように、見事な防御結界を展開しているのはディノール。彼の見上げる先、対峙するは、禍々しい魔力を身にまとう、人の形をした人ならざるもの。
「ラギアス!」
それだけで、こちらの意を解してくれる男と共に、コルネルトに駆け寄る。
「コルネルト!」
魔人を凝視する彼の顔からは血の気がひいている。震える体を揺するが、こちらに全く反応しない。
「…ヴィア」
視線の合ったラギアスがコルネルトの服を掴み、持ち上げる。そのまま、マクライド達の元へと引きずった。
「マクライド、こいつも頼む。もう少し大きめに結界張り直せ」
「…」
マクライドからの返事は無いが、周囲を包む結界が拡がった。
「ごめんなさい!私のせいで!」
場違いの謝罪は、サリアリアのもの。自身がことの元凶だという自覚はあるようだ。
「彼…コルネルト君の魔力、ううん、話にびっくりしちゃって、暴走しちゃったの、本当にごめんなさい!」
「今は謝罪など不要だ」
それよりも、あの魔人をどうするか。ディノールはクレストを庇いながらの防御結界で精一杯。結界が安定していることから、もうしばらくはもつだろうが。
「ヴィア、クレストじゃ無理だ。俺が行くから、ここで大人しくしてろ」
ラギアスの言葉に、躊躇する。相手は魔人。彼一人で果たして―
「…無理だ!あいつ、あいつは!」
魔人に震えていたコルネルトが恐慌を来して、暴れ出した。
「落ち着け、コルネルト」
「無理だよ!あいつは普通じゃない!ただの魔人じゃないんだ!あいつは倒せない!誰にも!」
「!?感知能力か!」
コルネルトの様子に、思い当たるものがあった。浮かぶのは、不滅者の感知に優れた部下が、彼と同じような反応を見せた場面。ならば、
―奴を倒すのは、私だ
「ラギアス!私が出る!援護を!」
「!ちっ!仕方ねえ!ぜってえ、怪我すんな!」
ラギアスの声を背後に駆け出す。かなり厳しい条件をつけられたが、それが彼の希望なら努力しよう。
「クレスト!待て!」
彼が放とうとした魔法攻撃を寸でで止める。この魔人が真実、不滅者だとしたら、魔力の拡散は極力避けなければ。
「ディノール!クレスト!マクライドんとこまで下がれ!」
「でも、ラギアスは!?」
「任せとけっつってんだよ!邪魔だから、下がっとけ!」
「…わかった!」
ディノールが防御結界を拡大しながら、安全な退路を確保するのを視界の済みで確認する。
目の前、こちらを獲物と認識した魔人の意識が向いた。ゆっくりと、体内の魔力循環を開始する。体の隅々まで行き渡らせたそれを、身体の内、決して外には漏れ出さぬように、圧力をかけながら、膨張させていく。身体が熱い―
「…行くぞ!」
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