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第三章(最終章)
8-2.
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8-2.
マクライドから、ラギアスくんが軍をやめて、家を出たって言う話を聞いた時には、本当にビックリした。だって、彼がその二つをどれだけ誇りに思っているかを知っていたから。
ラギアスくんに、何か大変なことが起きたんじゃないかって、不安になっていた時。招かれた夜会で声をかけてくれたお友達の一人が、その噂を教えてくれた。
―ラギアス・ヂアーチは、平民に溺れて継承権を奪われ、辺境に逐われた
ひどい!と思った。だって、ラギアスくんはそんな人じゃない!そんな、責任を放棄するような人じゃないし、辺境なんかに追いやられていい人じゃない!
我慢出来ずに、その場で泣き崩れちゃったけど、側に居てくれたマクライドが、大丈夫だ、ラギアスはそんなやつじゃないって、慰めてくれたから。ラギアスくんを信じよう!って思えた。
なのに、一年ぶり、剣術大会で見た彼は、本当に酷いことになっていて。あんなに打ち込んでいた剣術、魔力付与が全く使えなくなっていた。
二回戦、昔のラギアスくんなら、あっという間に倒せていたような、そんな相手にも苦戦しているのを見て、何とかしなくちゃって。今度は私が、彼を助けなくちゃいけないんだって気がついた。
―だって、彼の剣は私の命を救ってくれたんだから
駆けつけたラギアスくんの側には、何故かヴィアンカさんがいて、二人が結婚したって聞いた時には、思わず驚いちゃったけど。
魔術は使わなかっただけって言い訳するラギアスくんの言葉に、あの噂を思い出した。
―もしかして、ヴィアンカさんが?
だって、おかしい。ラギアスくんは、ヴィアンカさんのことをとても嫌っていたし、ヴィアンカさんだって、そう。なのに、そんな二人が、結婚?ラギアスくん、私たちにも言えないような、苦しい目にあってるんじゃ―
―だったら、今度は私が助ける番!
なのに、それを伝えても、返って来たのは、ヴィアンカさんからの拒絶の言葉。
―縛る?
私は、そんなことしない!縛っているのは、あなたでしょう?私は、ラギアスくんを助けたいだけ、それだけなのに。
結局、ヴィアンカさんに部屋を追い出されてしまった。悔しくて、ラギアスくんを助けられなかったのが悲しくて、また、たくさん泣いた。
マクライドは、ラギアスのことはあれでいいんだ。もう、忘れようって言うけれど。だけど、私は、忘れられない。ラギアスくんを放ってはおけないよ。だって、彼はあんな人じゃないって、私は知ってるから―
―そして、やっぱり、ラギアスくんは私の信じてたラギアスくんだった
大夜会の夜、また意地悪を言ってくる人達の言葉に落ち込んでいたら、マクライドが呼ばれて行ってしまった。
代わりに、久しぶりに会えた学生時代のお友達がたくさん励ましてくれて、最近どうしているかなんて話をしていたのだけれど。大事な話があるからって、気づけば別の部屋に連れて行かれてしまって。
どうしたら、彼らを傷つけずにいられるか迷っていたら、鍵のかけられたドアをラギアスくんが体当たりで壊して現れた。
うん!あの時と同じ!ラギアスくんは、困ってる私を助けに来てくれたんだ。
だけど、彼についてきたヴィアンカさんは、私が傷つけたくないと思っていたお友達に、平気で酷いことを言って、結局彼らを傷つけてしまった。
彼らだって、私を傷つけるつもりなんて、本当はなかったはず。ただ、私を励ましてくれていただけ。それが度を越してしまっただけなのに。
それでも、ヴィアンカさんも私を助けに来てくれたつもりなのだろうから、何も言えなかった。マクライドへ告げ口することだけは、止めてくれるように説得したけれど。
マクライドから、ラギアスくんが軍をやめて、家を出たって言う話を聞いた時には、本当にビックリした。だって、彼がその二つをどれだけ誇りに思っているかを知っていたから。
ラギアスくんに、何か大変なことが起きたんじゃないかって、不安になっていた時。招かれた夜会で声をかけてくれたお友達の一人が、その噂を教えてくれた。
―ラギアス・ヂアーチは、平民に溺れて継承権を奪われ、辺境に逐われた
ひどい!と思った。だって、ラギアスくんはそんな人じゃない!そんな、責任を放棄するような人じゃないし、辺境なんかに追いやられていい人じゃない!
我慢出来ずに、その場で泣き崩れちゃったけど、側に居てくれたマクライドが、大丈夫だ、ラギアスはそんなやつじゃないって、慰めてくれたから。ラギアスくんを信じよう!って思えた。
なのに、一年ぶり、剣術大会で見た彼は、本当に酷いことになっていて。あんなに打ち込んでいた剣術、魔力付与が全く使えなくなっていた。
二回戦、昔のラギアスくんなら、あっという間に倒せていたような、そんな相手にも苦戦しているのを見て、何とかしなくちゃって。今度は私が、彼を助けなくちゃいけないんだって気がついた。
―だって、彼の剣は私の命を救ってくれたんだから
駆けつけたラギアスくんの側には、何故かヴィアンカさんがいて、二人が結婚したって聞いた時には、思わず驚いちゃったけど。
魔術は使わなかっただけって言い訳するラギアスくんの言葉に、あの噂を思い出した。
―もしかして、ヴィアンカさんが?
だって、おかしい。ラギアスくんは、ヴィアンカさんのことをとても嫌っていたし、ヴィアンカさんだって、そう。なのに、そんな二人が、結婚?ラギアスくん、私たちにも言えないような、苦しい目にあってるんじゃ―
―だったら、今度は私が助ける番!
なのに、それを伝えても、返って来たのは、ヴィアンカさんからの拒絶の言葉。
―縛る?
私は、そんなことしない!縛っているのは、あなたでしょう?私は、ラギアスくんを助けたいだけ、それだけなのに。
結局、ヴィアンカさんに部屋を追い出されてしまった。悔しくて、ラギアスくんを助けられなかったのが悲しくて、また、たくさん泣いた。
マクライドは、ラギアスのことはあれでいいんだ。もう、忘れようって言うけれど。だけど、私は、忘れられない。ラギアスくんを放ってはおけないよ。だって、彼はあんな人じゃないって、私は知ってるから―
―そして、やっぱり、ラギアスくんは私の信じてたラギアスくんだった
大夜会の夜、また意地悪を言ってくる人達の言葉に落ち込んでいたら、マクライドが呼ばれて行ってしまった。
代わりに、久しぶりに会えた学生時代のお友達がたくさん励ましてくれて、最近どうしているかなんて話をしていたのだけれど。大事な話があるからって、気づけば別の部屋に連れて行かれてしまって。
どうしたら、彼らを傷つけずにいられるか迷っていたら、鍵のかけられたドアをラギアスくんが体当たりで壊して現れた。
うん!あの時と同じ!ラギアスくんは、困ってる私を助けに来てくれたんだ。
だけど、彼についてきたヴィアンカさんは、私が傷つけたくないと思っていたお友達に、平気で酷いことを言って、結局彼らを傷つけてしまった。
彼らだって、私を傷つけるつもりなんて、本当はなかったはず。ただ、私を励ましてくれていただけ。それが度を越してしまっただけなのに。
それでも、ヴィアンカさんも私を助けに来てくれたつもりなのだろうから、何も言えなかった。マクライドへ告げ口することだけは、止めてくれるように説得したけれど。
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