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ロカール日常シリーズ ▶️50話
【シングラント鉱石の採掘】#5 憧れの人がやっぱり凄かった
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「…それで、セリ君は何で男の子の恰好をしてるのかしら?」
「…」
楽しいお食事中。話の内容は、師匠のことや冒険者になった経緯などだったはず。それが、突然、ザーラさんから偽装を暴くような言葉を向けられて、思考が止まった。
「やっぱり、防犯上?冒険者なんてしてると、荒くれどもとも渡り合っていかなきゃいけないものね?女だと、なめられることが多いし。」
「…なんで…」
何で、いつ、バレてしまったんだろう。困惑と、少しの緊張感。ザーラさんをじっと見つめる。
「あら?…ごめんなさい、警戒させちゃったのかしら。ごめんなさいね?そんなつもりは無かったの。ただ、純粋に好奇心というか、同じ魔導師の先輩として気になってしまって。」
「…あの、えっと、ザーラさんは、その、いつから…?」
「ああ。それは最初から。最初にセリ君とシオン君とお仕事した時から気づいていたわ。私、魔力を読むのは得意だから、性別くらいならなんとなく分かっちゃうの。」
「…一応、これでも、認識阻害はかけているんですが…」
「そうね。ふふ。上手だと思う。でも、そういう意味で言えば、私の方が一枚上手ってことよ。」
「…なるほど。」
拙い魔術に偽装。年上の同性に指摘されて、何となく気恥ずかしくなる。
「…あの、男の恰好をしている理由は、はい、先ほどザーラさんが仰ったので、ほぼ合っています。」
「あら、やっぱり?」
「はい。正確には、冒険者になる前、兄と二人で生きていくって決めた時から、なんですけど。」
「…ヴァイズ導師の元に弟子入りする前、ってことかしら?」
「はい。…なので、師は、ひょっとしたら、私のこと、男だと思っているかもしれません。」
「まさか!ヴァイズ導師ほどの実力者が、弟子の魔力を読み解けないなんてことあり得ないわ!」
「あ、いえ。可能だとは思います。ただ、本人にその気が無いというか、そういうことに頓着しない性格なものですから。」
「あー、そういうことね、それなら納得。」
可笑しそうに笑うザーラさん。それにつられて、自分の頬が緩む。師は、魔術の実力とともに、その浮世流れした生き様でも有名な人だから。
「…あの、それで、勝手なんですが、私が女だということは、出来れば秘密にして頂きたいんです。」
「それは勿論そうするわ!ごめんなさい、最初から理由を聞いてみたかっただけで、周囲に話すとか、そういうことは全く考えて無かったんだけど。…脅かしてしまったわね?」
「いえ。ザーラさんが、わざわさわ吹聴して回るとは思っていません。…性別も、今は、絶対に偽らないといけないというわけでもないですし…」
「あら、そうなの?」
「はい。…ただ、その、カミングアウトするのに、タイミングというか、ちょっと勇気は要るな、という程度で。」
「…あの彼ね?ルキ君って言ったかしら?」
「っ!?」
顔が、一瞬でゆだった。
「そ、んなに、分かりやすいですか?」
「ええ、まぁ、そうね?セリ君の魔力、いつでもルキ君を気にして流れてるから、見る人が見れば、ね?」
「っ!?!?」
恥ずかしい─
これは、物凄く恥ずかしい。魔導師という職業柄、魔力コントロールには十分気をつけているつもりだった。それが、無意識とは言え、駄々もれだったなんて。
「本当に好きなんだなぁって伝わってきて、ちょっと羨ましいくらい、かな?」
「…」
ザーラさんの笑顔から視線を逸らして下を向く。誤魔化すつもりで、テーブルの上に並んだデザート、チョコレートケーキに行儀悪くフォークを突き刺した。そのまま、大きな塊を口いっぱいに放り込んで、そこで漸く気が付いた。
(…あ、コレ、ヤバい。)
口の中に広がる芳醇な香り。馥郁たるブランデーのフルーティな甘さが、苦めのチョコレートとの相性抜群で、つまり─
(うん、酔った。)
「…」
楽しいお食事中。話の内容は、師匠のことや冒険者になった経緯などだったはず。それが、突然、ザーラさんから偽装を暴くような言葉を向けられて、思考が止まった。
「やっぱり、防犯上?冒険者なんてしてると、荒くれどもとも渡り合っていかなきゃいけないものね?女だと、なめられることが多いし。」
「…なんで…」
何で、いつ、バレてしまったんだろう。困惑と、少しの緊張感。ザーラさんをじっと見つめる。
「あら?…ごめんなさい、警戒させちゃったのかしら。ごめんなさいね?そんなつもりは無かったの。ただ、純粋に好奇心というか、同じ魔導師の先輩として気になってしまって。」
「…あの、えっと、ザーラさんは、その、いつから…?」
「ああ。それは最初から。最初にセリ君とシオン君とお仕事した時から気づいていたわ。私、魔力を読むのは得意だから、性別くらいならなんとなく分かっちゃうの。」
「…一応、これでも、認識阻害はかけているんですが…」
「そうね。ふふ。上手だと思う。でも、そういう意味で言えば、私の方が一枚上手ってことよ。」
「…なるほど。」
拙い魔術に偽装。年上の同性に指摘されて、何となく気恥ずかしくなる。
「…あの、男の恰好をしている理由は、はい、先ほどザーラさんが仰ったので、ほぼ合っています。」
「あら、やっぱり?」
「はい。正確には、冒険者になる前、兄と二人で生きていくって決めた時から、なんですけど。」
「…ヴァイズ導師の元に弟子入りする前、ってことかしら?」
「はい。…なので、師は、ひょっとしたら、私のこと、男だと思っているかもしれません。」
「まさか!ヴァイズ導師ほどの実力者が、弟子の魔力を読み解けないなんてことあり得ないわ!」
「あ、いえ。可能だとは思います。ただ、本人にその気が無いというか、そういうことに頓着しない性格なものですから。」
「あー、そういうことね、それなら納得。」
可笑しそうに笑うザーラさん。それにつられて、自分の頬が緩む。師は、魔術の実力とともに、その浮世流れした生き様でも有名な人だから。
「…あの、それで、勝手なんですが、私が女だということは、出来れば秘密にして頂きたいんです。」
「それは勿論そうするわ!ごめんなさい、最初から理由を聞いてみたかっただけで、周囲に話すとか、そういうことは全く考えて無かったんだけど。…脅かしてしまったわね?」
「いえ。ザーラさんが、わざわさわ吹聴して回るとは思っていません。…性別も、今は、絶対に偽らないといけないというわけでもないですし…」
「あら、そうなの?」
「はい。…ただ、その、カミングアウトするのに、タイミングというか、ちょっと勇気は要るな、という程度で。」
「…あの彼ね?ルキ君って言ったかしら?」
「っ!?」
顔が、一瞬でゆだった。
「そ、んなに、分かりやすいですか?」
「ええ、まぁ、そうね?セリ君の魔力、いつでもルキ君を気にして流れてるから、見る人が見れば、ね?」
「っ!?!?」
恥ずかしい─
これは、物凄く恥ずかしい。魔導師という職業柄、魔力コントロールには十分気をつけているつもりだった。それが、無意識とは言え、駄々もれだったなんて。
「本当に好きなんだなぁって伝わってきて、ちょっと羨ましいくらい、かな?」
「…」
ザーラさんの笑顔から視線を逸らして下を向く。誤魔化すつもりで、テーブルの上に並んだデザート、チョコレートケーキに行儀悪くフォークを突き刺した。そのまま、大きな塊を口いっぱいに放り込んで、そこで漸く気が付いた。
(…あ、コレ、ヤバい。)
口の中に広がる芳醇な香り。馥郁たるブランデーのフルーティな甘さが、苦めのチョコレートとの相性抜群で、つまり─
(うん、酔った。)
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