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第2章 王立ロンデルネス修道学園
第18話 お着替えしよっか?
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クラス選定試験の翌日には、俺たちの入学を祝う式典――いわゆる入学式が執り行われた。その後は学内施設の案内と、各クラスごとのちょっとした交流会が催された。
それらが済んだ次の日から授業が開始される。俺にとっては、すでに知っていることを改めて確認するような退屈なものだったが、アリアやレナにはいい勉強になるだろう。
そんな最初の授業の直後の休み時間。
俺はSクラスの隣の教室である、Aクラスに訪れていた。
「それで、アリアの様子はどうだった?」
アリアのいるDクラスは遠く、休み時間中に様子を見に行くのは難しい。
そこで同じ女子寮から来ているレナに、昨晩から今朝にかけてのアリアの様子を尋ねることにしたのだ。
「アリアさん? いつも通りだったと思うけど……」
「寂しがってはいなかったか? あるいは、なにか変な様子は?」
「カインくんのほうが寂しがってない?」
「それは違う。あいつの様子が見れないのが、少し不便なだけだ」
最後にこの目で確認したのは昨日の夕方だ。
男子寮と女子寮で別れている上、クラスまで遠いとなれば接触機会も減る。せいぜい昼休みと放課後くらいしか会えないのだ。
その間に、アリアになにかあったら初動が遅れてしまう。
決して心配なのではない! アリアを、宿敵に相応しい勇者に導くのに必要なだけだ!
「アリアさんは平気そうだよ。もうクラスで何人かお友達もできたみたいだし、寮でも楽しそう。あっ、でも」
「なんだ、なにがあった?」
食い気味にレナに迫る。レナはやんわりと距離を取る。
「私の気のせいかもしれないけど、上級生の人たちは、あんまりアリアさんと仲良くしてくれてなさそうだったような……」
「ほう……」
「ああ、それならオレも今朝見たぜ。アリアが挨拶しても、よそよそしい反応だったな」
いつの間にかやってきていたグレンが、会話に加わってきた。
「……お前には聞いてないんだがな」
「そう言うなよ。友達だろ」
「友達になった覚えはない。というか、なんでお前が知ってるんだ。まさかお前、アリアを尾けてるのか!?」
「いやそうじゃねえよ! ちょっとDクラスに用事があったんだよ」
「アリア以外に、お前がDクラスに行く用事なんて無いだろ」
「あるっつーの。お前に言われたのもあって、この前、友達じゃねえって言っちまった連中に謝りに行ってたんだよ」
そこで次の授業が始まるベルが鳴る。俺とグレンは自分の教室へ戻った。
そして昼休み。
学舎内の食堂で、アリアとレナ、そして勝手についてきたグレンと一緒に昼食を取ろうとしていたときだ。
「あっ、せんぱーい」
アリアが上級生の女子たちを見かけて、声をかけたところ。
「ごきげんよう。私たちはこちらですから」
そそくさと歩む方向を変えて、遠くの席へ行ってしまう。
「あー、行っちゃったぁ……。ランチメニューのおすすめとか聞きたかったんだけどなぁ」
どうやらレナやグレンが言うことは正しいらしい。
しかもその上級生たちは、こちらをチラチラと窺いながら、なにやらこそこそと相談している。
その様子に、俺はひとり、ほくそ笑む。
なるほど。早速、開始されるのだな! いじめが!
本来の歴史では、勇者アリアはその無教養さと高すぎる実力が、他の生徒との軋轢を生み、陰湿ないじめを受けることとなった。
今のアリアには、その原因となるものは無いが、まあ、この俺の姉というだけでも羨ましがられるであろう上に、ひときわ目立つ美少女ぶりだ。憧れを通り越して嫉妬心を抱かれ、敵意や憎悪を向けられても無理はない。
勇者アリアが冷たい殺意の塊へ至るのには、こういったつらい経験は必須のはず。
どれほどのことをしてくれるのか、この俺がしかと見定めねばならんな!
そうと決まれば、やることはひとつ。
放課後。
俺はレナから、上級生たちの様子をさらに詳しく聞いていく。
「ふむ。やはり隠れてなにか準備していそうだな……」
「やっぱりそうとしか思えないよね」
と、てくてく歩いていくと、急にレナが慌てた様子で立ち止まった。
俺が目の前の建物に入ろうとするのを引き止める。
「待ってカインくん! ここ女子寮だよ! 入っちゃダメ! 男子禁制!」
「問題ない。俺は潜伏も得意だ」
「潜伏って……アリアさんのこと、そこまで心配してるんだね……」
「心配じゃない。確認したいだけだ」
「でもでも、バレたら大変なことになっちゃうよ」
「確かに、上級生たちが予定を変えるかもしれんな……」
「そういう問題じゃなくて……」
「偽装魔法で顔を変えておくか」
「待ってダメ! それ使ったら警報鳴るって、エミリー先生が言ってたよ!」
あの試験官もやってたメガネの女教師か。大した実力者ではないが、そういう細かい魔法に関しては得意そうだったな。
「では、やはり潜伏しか」
「もう……。そこまでするんなら、私も手伝う……。ちょっと待ってて」
レナは一旦女子寮に入り、しばらくして出てくる。
両腕で、なにやら衣服らしきものを抱えている。
というか、女子の制服のように見える。
「じゃあカインくん。お着替えしよっか?」
レナはにっこりと笑って、俺を人気のないところへ連れ込んだ。
それらが済んだ次の日から授業が開始される。俺にとっては、すでに知っていることを改めて確認するような退屈なものだったが、アリアやレナにはいい勉強になるだろう。
そんな最初の授業の直後の休み時間。
俺はSクラスの隣の教室である、Aクラスに訪れていた。
「それで、アリアの様子はどうだった?」
アリアのいるDクラスは遠く、休み時間中に様子を見に行くのは難しい。
そこで同じ女子寮から来ているレナに、昨晩から今朝にかけてのアリアの様子を尋ねることにしたのだ。
「アリアさん? いつも通りだったと思うけど……」
「寂しがってはいなかったか? あるいは、なにか変な様子は?」
「カインくんのほうが寂しがってない?」
「それは違う。あいつの様子が見れないのが、少し不便なだけだ」
最後にこの目で確認したのは昨日の夕方だ。
男子寮と女子寮で別れている上、クラスまで遠いとなれば接触機会も減る。せいぜい昼休みと放課後くらいしか会えないのだ。
その間に、アリアになにかあったら初動が遅れてしまう。
決して心配なのではない! アリアを、宿敵に相応しい勇者に導くのに必要なだけだ!
「アリアさんは平気そうだよ。もうクラスで何人かお友達もできたみたいだし、寮でも楽しそう。あっ、でも」
「なんだ、なにがあった?」
食い気味にレナに迫る。レナはやんわりと距離を取る。
「私の気のせいかもしれないけど、上級生の人たちは、あんまりアリアさんと仲良くしてくれてなさそうだったような……」
「ほう……」
「ああ、それならオレも今朝見たぜ。アリアが挨拶しても、よそよそしい反応だったな」
いつの間にかやってきていたグレンが、会話に加わってきた。
「……お前には聞いてないんだがな」
「そう言うなよ。友達だろ」
「友達になった覚えはない。というか、なんでお前が知ってるんだ。まさかお前、アリアを尾けてるのか!?」
「いやそうじゃねえよ! ちょっとDクラスに用事があったんだよ」
「アリア以外に、お前がDクラスに行く用事なんて無いだろ」
「あるっつーの。お前に言われたのもあって、この前、友達じゃねえって言っちまった連中に謝りに行ってたんだよ」
そこで次の授業が始まるベルが鳴る。俺とグレンは自分の教室へ戻った。
そして昼休み。
学舎内の食堂で、アリアとレナ、そして勝手についてきたグレンと一緒に昼食を取ろうとしていたときだ。
「あっ、せんぱーい」
アリアが上級生の女子たちを見かけて、声をかけたところ。
「ごきげんよう。私たちはこちらですから」
そそくさと歩む方向を変えて、遠くの席へ行ってしまう。
「あー、行っちゃったぁ……。ランチメニューのおすすめとか聞きたかったんだけどなぁ」
どうやらレナやグレンが言うことは正しいらしい。
しかもその上級生たちは、こちらをチラチラと窺いながら、なにやらこそこそと相談している。
その様子に、俺はひとり、ほくそ笑む。
なるほど。早速、開始されるのだな! いじめが!
本来の歴史では、勇者アリアはその無教養さと高すぎる実力が、他の生徒との軋轢を生み、陰湿ないじめを受けることとなった。
今のアリアには、その原因となるものは無いが、まあ、この俺の姉というだけでも羨ましがられるであろう上に、ひときわ目立つ美少女ぶりだ。憧れを通り越して嫉妬心を抱かれ、敵意や憎悪を向けられても無理はない。
勇者アリアが冷たい殺意の塊へ至るのには、こういったつらい経験は必須のはず。
どれほどのことをしてくれるのか、この俺がしかと見定めねばならんな!
そうと決まれば、やることはひとつ。
放課後。
俺はレナから、上級生たちの様子をさらに詳しく聞いていく。
「ふむ。やはり隠れてなにか準備していそうだな……」
「やっぱりそうとしか思えないよね」
と、てくてく歩いていくと、急にレナが慌てた様子で立ち止まった。
俺が目の前の建物に入ろうとするのを引き止める。
「待ってカインくん! ここ女子寮だよ! 入っちゃダメ! 男子禁制!」
「問題ない。俺は潜伏も得意だ」
「潜伏って……アリアさんのこと、そこまで心配してるんだね……」
「心配じゃない。確認したいだけだ」
「でもでも、バレたら大変なことになっちゃうよ」
「確かに、上級生たちが予定を変えるかもしれんな……」
「そういう問題じゃなくて……」
「偽装魔法で顔を変えておくか」
「待ってダメ! それ使ったら警報鳴るって、エミリー先生が言ってたよ!」
あの試験官もやってたメガネの女教師か。大した実力者ではないが、そういう細かい魔法に関しては得意そうだったな。
「では、やはり潜伏しか」
「もう……。そこまでするんなら、私も手伝う……。ちょっと待ってて」
レナは一旦女子寮に入り、しばらくして出てくる。
両腕で、なにやら衣服らしきものを抱えている。
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「じゃあカインくん。お着替えしよっか?」
レナはにっこりと笑って、俺を人気のないところへ連れ込んだ。
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