最強のラスボスが逆行転生したら宿敵の美少女勇者の弟だった件

内田ヨシキ

文字の大きさ
46 / 51
第4章 新しい過去、違う道の未来

第39話 お姉ちゃんには、敵わないな……

しおりを挟む
「行くぞ!」

 合図とともに、俺たちは戦闘を再開した。

 体が軽い。自重を感じないほどに力がみなぎっている。魔力なしで、敵を殴り倒せるほどに。

 身体強化能力に目覚めたのか?

 うぅん、違うと思う。

「!?」

 声というより思考が流れ込んできて、俺はアリアに目を向けた。アリアも同じように目を丸くしている。

 その一瞬が隙となり、俺は敵の接近を許してしまった。死角からの一撃を受け、膝をついてしまう。

 危ない!

 また思考が流れ込んだかと思うと、俺にトドメを刺そうとした敵が魔力で撃ち抜かれていた。

 アリアの指先から発射された、圧縮魔力だ。

 アリアの驚きが伝わってくる。そして俺の納得も、アリアに流れているだろう。

 この能力は『血の共鳴レゾナンス・フィール』だ。

 学園の図書館で読んだ、過去の勇者たちの覚醒能力の記録。その中にあった、血の繋がった勇者同士でのみ発動する力。

 互いの能力を共有できる。

 俺はアリアの身体能力と技を。アリアは俺の魔力と魔法を。

 そしてなにを考え、なにを感じているのかもわかる。

 痛みも、苦しみも、勇気も、闘志も!

「レナ、グレン! 前は俺たちに任せろ!」

 もはや俺とアリアには、目配せさえ必要ない。一緒に飛び出していく。

 ふたりが、ひとつになったような感覚だ。

 ふたりの視界を共有して互いの死角を補い、戦場を掌握。豊富な戦闘経験からくる俺の判断が、俺の魔法とアリアの技を最適化して敵にぶつけていく。

 ヴァウルどもが分体を何体繰り出してこようとも、斬り、蹴り、撃ち、砕く。

 分体の復活速度より、こちらが倒すほうが早い。

「ぐぅう、強い……! しかし、どんなに凄まじい連携を見せたとしても、所詮はふたり! 数十人の私に勝てるわけがありません!」

 焦りからかヴァウルは、レナやグレン、ゾールたちに当てていた戦力を集結させた。俺とアリアを物量で押し潰すつもりだ。

 確かに、この数には太刀打ちできない。

 でもチャンスだね?

 そうだ!

「グレンくん、下がって!」

「レナ! ゾールたちと一緒に防壁を張れ!」

 俺たちの指示を受け、ふたりは後退する。

「俺たちはこの瞬間を――」

「――待ってたんだよ!」

 俺とアリアは身を寄せ合い、ふたり分の魔力を集中して練り上げる。

「まとめて消えてなくなれ!」

二重ダブル!」

閃爆ブラスト!」

「「――魔砲《キャノン》!!」」

 同時に放たれたふたつの魔力波動が、交差して渦を巻く。

 目の前の分体たちを刹那のうちに飲み込んで突き進み、集団の中心で巨大な爆発を巻き起こす。

 巨大に膨れ上がっていく高熱の閃光が、集結したヴァウルたちをすべて焼き尽くす。

 火傷するほどの爆風が吹き荒ぶ中、俺たちは見た。

 生き残りが、ふたり。魔力防壁を張り、かろうじて消滅を阻止した者がいる。

「はっ、ははは……っ。まさ、か。ここまで追い詰められようとは……しかし、あなたたちの魔力はもう無い! 私の勝ちだ!」

 再び分体が生み出されていく。だが、そんなものに俺たちは目もくれない。

 もう倒すべき本体は見えたのだ。

 俺たちの狙いは、今の一撃を耐えられるやつを見つけることだったのだ。

 そして俺たちの力は、魔力だけではない。

「グレン! 剣を貸してくれ!」

「おぉ! 使え!」

 呼びかけに応じ、躊躇いなく剣が投擲される。それを空中でキャッチ。そのまま本体の一方へ向けて、斬りかかる。

 アリアも同時に、もう一方の本体へ飛びかかっていた。

 それぞれの剣が、燃え上がるように聖気をまとう。

ツイン!」

聖光ブライト!」

「「破斬スラッシュ!!」」

 魔将ヴァウルの肩口から、鋭く斜めに斬りつけた。深く食い込んだ瞬間、剣の聖気が爆発。

 ヴァウルは内側から爆散した。

 バラバラに弾けた肉体が塵となって消えていく中、首だけがごろりと地面に転がる。

「バカ、な……数十人の私が、たった、ふたり、に――」

 信じられないといった表情のまま、その首も塵となって風に流される。分体も、次々に消滅していった。

「……バカめ。お前は、ずっと独りだった。そんなのが、ひとつになった俺たちに、勝てるものか」

 そうだろう?

 アリアに目を向けると、笑顔で大きく頷いてくれる。

 戦いの終わりを実感したからか、俺とアリアの金色の聖気は消える。ふたりの共有も切れる。

 けれど、そんな能力などなくとも、俺には今アリアが感じていることも、次にすることもわかる。

「やった……! やったよ、カイン! わたしたち勝てたよぉお!」

 ほら。こうやって大げさに喜んで、俺に抱きついてくるのだ。

「ふん、魔将ごときを討ち取ったくらいで喜びすぎだぞ。でも……まあ今日は、一緒に喜んでやってもいい……」

 そして、きっとアリアも、俺がどう感じているか知っている。

「はいはい。カインも嬉しいんだよね、お姉ちゃん、わかってるよ~!」

 ほらな。まったく……。

 お姉ちゃんアリアには、敵わないな……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

処理中です...