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第7章:未来への学びと絆
第249話「学院と街と、両輪の歩み」
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カレドリア学院の講義棟を出たエルヴィンたちは、渡り廊下を通って中庭へと向かっていた。まだ午前の早い時間帯とあって、生徒たちの姿はまばらだったが、その分どこか静かな安らぎが漂っていた。
「はぁ~……やっと終わったぁ……」
エルヴィンは背中をぐっと伸ばしながら、空を仰いだ。
「ヘルムート先生、相変わらず怖すぎるって……」
「でも、予想よりは優しかったんじゃないですか?」
リヴィアが横で微笑む。
「“成果は認める”って、ちゃんと評価してくださっていましたよ」
「そりゃまぁ、怒るだけじゃなくて導いてくれるのが先生ってもんだからな」
レオンは木陰のベンチに腰を下ろし、ぐうっと伸びをする。
「にしても、エルヴィン、マジで講義一度も出てなかったのか?」
「……そうだよ。正直、王都での作業に夢中で……ほら、転写核の魔道文字配列の再設計に手間取ってさ……」
「まぁ、私たちも似たようなものでしたけれど」
カトリーヌは涼しい顔で言った。
「合間を縫ってレポート出したり、少しだけ講義を覗いたりしていただけですもの」
「うっ……やっぱり僕だけか、完全に音信不通だったのは……」
「それは怒られますね」
リヴィアが、すこし苦笑しながらうなずいた。
そんなやりとりの中、中庭の向こうから数人の学院生たちがこちらに気づいてざわめく声が上がる。
「あれ? あの人たち……エルヴィン先輩だよな?」
「本物……! ほんとに帰ってきた……!」
「市場の魔力供給システム、エルヴィン先輩たちが開発したんでしょ?」
小さな集団が、尊敬と興味の入り混じった視線を向けてくる。エルヴィンは少しだけ驚いたように眉を上げた。
「……思ってたより有名になってる……?」
「そりゃそうだ」
レオンが腕を組んでドヤ顔を作る。
「何たって、今の王都で一番注目されてる技術を作ったわけだしな。俺たち、学院の誇りってやつだぜ?」
「レオン様、その言い方だとただの自画自賛に聞こえますわよ」
カトリーヌが肩をすくめる。
エルヴィンは照れくさそうに頭を掻いたあと、ふと真剣な表情を浮かべた。
「……でも、これからが本番なんだよね。学院にも顔を出さなきゃいけないし、王都の魔力供給システムの導入も進めなきゃいけない」
彼は手元の書類を取り出しながら言葉を続ける。
「転写核を使った供給ラインは、青蓮市場やヴィルゲン商会での試験で十分な効果を出せた。だけど、それを王都全域に広げていくには、まだまだ実地のデータと、関係者との調整が必要だ」
「ロベルトさんへの報告は?」
リヴィアが尋ねる。
「明日の午前に予定してるよ。成果報告と……次の導入候補地区についての提案もする予定」
「次はどこに入れるつもりなんだ?」
レオンが問うと、エルヴィンは地図を開いた。
「住宅街だの。特に王都西部にある“シュレイン地区”。ここは古くからの住宅が多くて、魔力結晶の供給に頼ってる家庭がかなり多い。魔力供給の効率化ができれば、住民の生活は大きく変わると思う」
「なるほど」
カトリーヌは納得したように頷いた。
「それなら、次は都市管理局との調整が必要になりますわね」
「そう。でも、その前に……学院にもしばらくは顔を出すようにするよ。講義にも、研究室にも。やっぱり、ここは僕たちの出発点だから」
そう語るエルヴィンの声は、どこか原点に立ち返るような穏やかさを帯びていた。
仲間たちもその言葉にうなずき、しばし風に揺れる学院の木々を見上げる。
「学院と街……どっちも大事にして、両方を繋ぐのが、今の僕たちの役目だよね」
小さな決意のようなその一言に、誰もがうなずいていた。
そして、次の一歩へと進む時が――また、近づいていた。
「はぁ~……やっと終わったぁ……」
エルヴィンは背中をぐっと伸ばしながら、空を仰いだ。
「ヘルムート先生、相変わらず怖すぎるって……」
「でも、予想よりは優しかったんじゃないですか?」
リヴィアが横で微笑む。
「“成果は認める”って、ちゃんと評価してくださっていましたよ」
「そりゃまぁ、怒るだけじゃなくて導いてくれるのが先生ってもんだからな」
レオンは木陰のベンチに腰を下ろし、ぐうっと伸びをする。
「にしても、エルヴィン、マジで講義一度も出てなかったのか?」
「……そうだよ。正直、王都での作業に夢中で……ほら、転写核の魔道文字配列の再設計に手間取ってさ……」
「まぁ、私たちも似たようなものでしたけれど」
カトリーヌは涼しい顔で言った。
「合間を縫ってレポート出したり、少しだけ講義を覗いたりしていただけですもの」
「うっ……やっぱり僕だけか、完全に音信不通だったのは……」
「それは怒られますね」
リヴィアが、すこし苦笑しながらうなずいた。
そんなやりとりの中、中庭の向こうから数人の学院生たちがこちらに気づいてざわめく声が上がる。
「あれ? あの人たち……エルヴィン先輩だよな?」
「本物……! ほんとに帰ってきた……!」
「市場の魔力供給システム、エルヴィン先輩たちが開発したんでしょ?」
小さな集団が、尊敬と興味の入り混じった視線を向けてくる。エルヴィンは少しだけ驚いたように眉を上げた。
「……思ってたより有名になってる……?」
「そりゃそうだ」
レオンが腕を組んでドヤ顔を作る。
「何たって、今の王都で一番注目されてる技術を作ったわけだしな。俺たち、学院の誇りってやつだぜ?」
「レオン様、その言い方だとただの自画自賛に聞こえますわよ」
カトリーヌが肩をすくめる。
エルヴィンは照れくさそうに頭を掻いたあと、ふと真剣な表情を浮かべた。
「……でも、これからが本番なんだよね。学院にも顔を出さなきゃいけないし、王都の魔力供給システムの導入も進めなきゃいけない」
彼は手元の書類を取り出しながら言葉を続ける。
「転写核を使った供給ラインは、青蓮市場やヴィルゲン商会での試験で十分な効果を出せた。だけど、それを王都全域に広げていくには、まだまだ実地のデータと、関係者との調整が必要だ」
「ロベルトさんへの報告は?」
リヴィアが尋ねる。
「明日の午前に予定してるよ。成果報告と……次の導入候補地区についての提案もする予定」
「次はどこに入れるつもりなんだ?」
レオンが問うと、エルヴィンは地図を開いた。
「住宅街だの。特に王都西部にある“シュレイン地区”。ここは古くからの住宅が多くて、魔力結晶の供給に頼ってる家庭がかなり多い。魔力供給の効率化ができれば、住民の生活は大きく変わると思う」
「なるほど」
カトリーヌは納得したように頷いた。
「それなら、次は都市管理局との調整が必要になりますわね」
「そう。でも、その前に……学院にもしばらくは顔を出すようにするよ。講義にも、研究室にも。やっぱり、ここは僕たちの出発点だから」
そう語るエルヴィンの声は、どこか原点に立ち返るような穏やかさを帯びていた。
仲間たちもその言葉にうなずき、しばし風に揺れる学院の木々を見上げる。
「学院と街……どっちも大事にして、両方を繋ぐのが、今の僕たちの役目だよね」
小さな決意のようなその一言に、誰もがうなずいていた。
そして、次の一歩へと進む時が――また、近づいていた。
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