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3章:異世界と日本との二重生活の始まり
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「ドレスではありませんよ。この上にこういう、上着を合わせて着れば…ほら、落ち着いた雰囲気になるでしょう?」
と、7分袖のブレザーを合わせて見せるマダム。な、なるほど?それでも十分ドレスっぽいんですけどね。スカート部分は隠れないし。こういうのがこっちの普通ではないはずだけど。と、露店に行った時のことを思い出す。
「えぇと、もっと落ち着いた…ひらひらしてない方がいいです」
「ではこちらなんかどうでしょう」
そう言って出されたのは、確かにひらひらしてないけど…っ!刺繍が施されてて絶対すごい奴…!
こちらもお似合いですよ。と言って出された物が、総レースとか。だめだここの人だとこういうものが当然なんだ…いわれるがままにしてるとダメな奴…!と、決めて、スカートの裾が少しだけレースの、ウルトラマリンっぽい色の物を選んだ。これでもちょっとなと思わなくもないけど…これ以外は絶対普段着じゃない。
「では、これと似た物をいくつか用意しましょう」
似た物って、どうしよう。と思った時だった。扉がノックされて、松田さんからの入っていいかとの声。そうして入ってきた松田さんだけど…
「あ、やっぱり。奥様、街にお忍びで行くことないからこうなると思ってた」
お忍び?どうやら貴族の人も一般人の振りして街に行く人がいるのだとか。そういう時は、布地は上等だけど、飾りのないシックな仕立てにするのだとか。
「失礼ですね、これでも若いころにお忍びで街に行ってましたよ。でもその頃の物はもう傷んでしまってないだけです。それに街に行く為の服だとは一言も言ってませんよ」
「そうでしたか?では、高梨さん。今は余所行きの服を選ぶということで」
てっきり街に行くための服を選ぶのだと思ってたらそういう事…でも、余所行きの服って、使う機会あるのかな…
でも、好意で用意してくれたのだろうし、と思って、何とか合いそうな物を選んだけど、疲れた~
そうして、何とか3着選んでようやく解放された。
「後は街で購入かな。たぶんその方がいいと思うよ。俺はまあ、最初から冒険者、っていうかハンターになるからって、装備一式売ってる所に連れてってもらったからさ」
そう言って笑う松田さん。そっか、どうするか決まってればそれに見合う服を用意出来たのか。でも何も決めてないしなぁ。
「けれど、松田。少しはドレスも用意しますからね。選んだデザインを参考にはさせていただきますけれど」
「ドレスは作るのも時間かかるし、それは用意していいと思いますよ。キルギスさんも機関に所属していて一応は平民だけど…衣装は用意してるって言ってましたし。俺はちゃんとした装備もあるので」
ちゃんとした装備ってなんだ。ドレスは断って欲しかったんだけど。と、目で訴えてみたけど、まったく気づかれませんでしたよ。くそう。
「さて。助けに来たのもそうなんだけど、そろそろいい時間なので、俺とキルギスさんで食事に行こうと思って呼びに来たんだよね」
「食事?」
「うん、だから行こうか」
「松田、食事ならこちらで用意します」
食事。話の感じだと、外に食べに行くのかな?と思ったら、やっぱり奥様にそう言われた。けれど、松田さんは外に行くという。
「高梨さんが以前街の食事を随分気に入ってくれたっぽいので、他にも気に入りそうな店があるんで連れて行きたいんですよね。この世界を好きになってもらった方がいいでしょう?」
「けれど、身の安全はどうするのです」
「キルギスさんもいて、俺もいて、どう不安になる要素があるんです?」
領主様の奥様にそんな強気発言していいのか!?と、どきどきしていたけれど、奥様は怒るでもなくそれもそうね。と言って、引いてくれた。
奥様と、マダムやほかの人たちにお礼を言って部屋を出れば、キルギスさんもいた。そうして3人で領主館を出て、門まで歩く。
昨日はそのまま日本に戻ってしまったし、領主館の外がこうなってるとは…きれいな庭園が広がっていて、見所ありそう。
「ちなみに、今の気分だと和洋中でいうとどんな気分?麺類がいいとかそういうのでもいいけど」
と、門まで歩いて向かいながら、松田さんに聞かれた。うーん。
「なんかこう、ほっとする物がいいです」
「えぇ~難易度高いなぁ~甘い物かな。パンケーキとかそっちにしよっか?」
「そうですね…じゃあそれで」
ということで、パンケーキのほかにもケーキ等種類がたくさんあるカフェに行くことになりました。元はケーキ屋だったけど、娘さんがお茶を出し、焼き菓子を出し…と色々始めてどんどん増えたそうで。
意外と評判のお店だそうで、楽しみ。
と、7分袖のブレザーを合わせて見せるマダム。な、なるほど?それでも十分ドレスっぽいんですけどね。スカート部分は隠れないし。こういうのがこっちの普通ではないはずだけど。と、露店に行った時のことを思い出す。
「えぇと、もっと落ち着いた…ひらひらしてない方がいいです」
「ではこちらなんかどうでしょう」
そう言って出されたのは、確かにひらひらしてないけど…っ!刺繍が施されてて絶対すごい奴…!
こちらもお似合いですよ。と言って出された物が、総レースとか。だめだここの人だとこういうものが当然なんだ…いわれるがままにしてるとダメな奴…!と、決めて、スカートの裾が少しだけレースの、ウルトラマリンっぽい色の物を選んだ。これでもちょっとなと思わなくもないけど…これ以外は絶対普段着じゃない。
「では、これと似た物をいくつか用意しましょう」
似た物って、どうしよう。と思った時だった。扉がノックされて、松田さんからの入っていいかとの声。そうして入ってきた松田さんだけど…
「あ、やっぱり。奥様、街にお忍びで行くことないからこうなると思ってた」
お忍び?どうやら貴族の人も一般人の振りして街に行く人がいるのだとか。そういう時は、布地は上等だけど、飾りのないシックな仕立てにするのだとか。
「失礼ですね、これでも若いころにお忍びで街に行ってましたよ。でもその頃の物はもう傷んでしまってないだけです。それに街に行く為の服だとは一言も言ってませんよ」
「そうでしたか?では、高梨さん。今は余所行きの服を選ぶということで」
てっきり街に行くための服を選ぶのだと思ってたらそういう事…でも、余所行きの服って、使う機会あるのかな…
でも、好意で用意してくれたのだろうし、と思って、何とか合いそうな物を選んだけど、疲れた~
そうして、何とか3着選んでようやく解放された。
「後は街で購入かな。たぶんその方がいいと思うよ。俺はまあ、最初から冒険者、っていうかハンターになるからって、装備一式売ってる所に連れてってもらったからさ」
そう言って笑う松田さん。そっか、どうするか決まってればそれに見合う服を用意出来たのか。でも何も決めてないしなぁ。
「けれど、松田。少しはドレスも用意しますからね。選んだデザインを参考にはさせていただきますけれど」
「ドレスは作るのも時間かかるし、それは用意していいと思いますよ。キルギスさんも機関に所属していて一応は平民だけど…衣装は用意してるって言ってましたし。俺はちゃんとした装備もあるので」
ちゃんとした装備ってなんだ。ドレスは断って欲しかったんだけど。と、目で訴えてみたけど、まったく気づかれませんでしたよ。くそう。
「さて。助けに来たのもそうなんだけど、そろそろいい時間なので、俺とキルギスさんで食事に行こうと思って呼びに来たんだよね」
「食事?」
「うん、だから行こうか」
「松田、食事ならこちらで用意します」
食事。話の感じだと、外に食べに行くのかな?と思ったら、やっぱり奥様にそう言われた。けれど、松田さんは外に行くという。
「高梨さんが以前街の食事を随分気に入ってくれたっぽいので、他にも気に入りそうな店があるんで連れて行きたいんですよね。この世界を好きになってもらった方がいいでしょう?」
「けれど、身の安全はどうするのです」
「キルギスさんもいて、俺もいて、どう不安になる要素があるんです?」
領主様の奥様にそんな強気発言していいのか!?と、どきどきしていたけれど、奥様は怒るでもなくそれもそうね。と言って、引いてくれた。
奥様と、マダムやほかの人たちにお礼を言って部屋を出れば、キルギスさんもいた。そうして3人で領主館を出て、門まで歩く。
昨日はそのまま日本に戻ってしまったし、領主館の外がこうなってるとは…きれいな庭園が広がっていて、見所ありそう。
「ちなみに、今の気分だと和洋中でいうとどんな気分?麺類がいいとかそういうのでもいいけど」
と、門まで歩いて向かいながら、松田さんに聞かれた。うーん。
「なんかこう、ほっとする物がいいです」
「えぇ~難易度高いなぁ~甘い物かな。パンケーキとかそっちにしよっか?」
「そうですね…じゃあそれで」
ということで、パンケーキのほかにもケーキ等種類がたくさんあるカフェに行くことになりました。元はケーキ屋だったけど、娘さんがお茶を出し、焼き菓子を出し…と色々始めてどんどん増えたそうで。
意外と評判のお店だそうで、楽しみ。
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