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3章:異世界と日本との二重生活の始まり

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「あーあとねーあの世界の魔法、何でもありだからさ~逆に注意しないといけないんだよね」
「注意、ですか?」
「そ。例えば、水なんだけど、こっちではなんとなーく水道局で浄化というか、きれいにして、水道管通って蛇口から出るっていうのは分かるでしょ?」

 ああ、まあ…本当になんとなくだけどね。水道局でどんなことしてきれいにしてるかまではわからないわよ。

「それがなんとイメージ力でできちゃうんだよね」
「…はい?」
「なんていうか、理屈が通っちゃえばなんでもありなんだよ。空気中の水分を集めてコップに入れるとかもありだし。だから無詠唱とかも簡単だし。考えただけで出来ちゃうから。あ、ちなみに日本っていうかこの世界だと魔法に関してそこまで緩くないらしくてね。これでも一応頭の中で短縮呪文使ってるんだよね」
「え、そうなんですか?」

 そうなんです。と、ドヤ顔で言われる。うっかり魔法発動しちゃったとかはないらしいので助かる。変な目で見られたりするのは回避したい。

「日本で魔法が使えるのは、あっちの世界とのパスができてるから呪文唱えると色々出来ちゃうっていう訳なんだけど」
「覚える気ないので問題ありません」
「遮音位は覚えてほしいなぁ。通話で会話するのにちょっと不便」

 うぐ…確かにそれはあるかも。

「遮音は必要という事で覚えますけど…他は覚える気はないけど、色々と理屈というか、そういうのは知りたいです」

 突っ込み満載だし、なんならイメージ力だけで魔法になるならやらかしそうで怖いし。それを伝えれば確かに必須だねと言われる。

「あとはまあ、あっちの世界で生活する為の服とかかな。こっちでそろえてもいいし、あっちでキルギスさんに街中デートしつつ買ってもらってもいいし」
「………」

 デートって言うな、デートって。

「あ、そうそう、ちょっと試したいんだけど、スマホとかPCって持ち込めたりすると思うんだけど…どこまで機能が使えるか試したいんだよね」
「機能、ですか?」
「そ。ネットつながったらヤバくない?」
「ヤバいんですか?」
「だって検索すればなんでも出てくるんだよ?」

 あ!そっか。そうだよね。

「…それ、できたら危険度あがりませんか」
「上がるねぇ、爆上がりだねぇ」

 けらけらかるーい感じに笑ってるけど、笑いごとじゃないよね!?

「だから色々と安全策を講じてる訳でね」

 松田さんも、異世界転移してからいろんな事がなかった訳じゃないと言って、困った様に笑ってる。ギルドから無茶ぶり依頼や他の領地からの依頼もあったのだとか。でも、そういう時はキルギスさんや、領主様に相談をして凌いだという。

「一応いろんな漫画とか小説読んでたからさぁ。下手に国とか貴族に抱えられても怖かったっていうか」
「でも、今はある意味キルギスさんの…フェンデル領に抱えられてるようなものじゃないですか」
「あーまあ、そうだね。それはこう、信頼関係があるっていうか」

 そう言って話してくれるけれど…人を使うのがうまいというか人心把握がうまいだけなんじゃ?と、思わなくもない。こう、日本人ってお願いされると断れないとかあるし。

「もし何かあっても全部吹っ飛ばして日本に戻れば問題ないから」
「いやそれ問題大有りでしょう!」
「それ位の気持ちでいいんだよ。なんなら魔王降臨できちゃう訳だしね~」

 と、言われて…納得してしまった自分に自己突っ込みを入れてしまった。
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