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3章:異世界と日本との二重生活の始まり

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 そうして日本とリュリュクスとの二重生活が始まった訳だけど…なんか来るたびに物理的な距離が縮まっていくんだけど。
 いや、ね。座学の時は最初正面に座ってたのに、地図や本(何気にこれもチートで読める)を使うんだけど、横の方が教えやすいからと横に座り始めて、今は肩が触れる程ですよ…
 ご飯食べに行けば、これまた同様に横ですよ。しかも内容別な物を選んでシェアするけど、カトラリー別にしなくなりましたよ…
 いやまあ気にしないけど、前はちゃんとしてたからちょっとね。
 しかも、

「ユカ、これを身につけていて欲しいんだ」

 と、機関で勉強をして帰るという時で、しかもスーザンさんが居ない今、差し出されたのはケースに入った指輪で。


「え、でも…」
「これは少しだけ運が上がる指輪なんだ。あっちでもユカの身を守るには結界の効果がある指輪がいいんだが、松田にこっちの方がいいと言われてね。小指に合うサイズだと思う。頼む」

 その指輪はシルバーかプラチナか…世界が違うから素材も違う可能性があるけど、銀色の指輪で真ん中にダイヤみたいな透明で、キラキラしたものがついている。
 カット技術、こっちにもあるのかな。プロじゃあないから、ブリリアントカットかどうかなんてわからないし。
 そしてこういうのって日本で婚約指輪と言うのでは…でも小指にと言ってるからそこまでじゃないのか、松田さんの入れ知恵か。

「…ありがとうございます」

 受け取ってつけようとしたら、箱をヒョイと引かれて、え?と思う。

「私がつけよう。手を」

 そう言われて右手を出せば、するりと小指に指輪をつけてくれるけどぴったりだな…特に測った記憶ないんだけど。

「サイズぴったりでよかった」
「測ってないですよね?」
「測ってはいないが…その、手を繋いだ時の感覚で」

 それでぴったりの指輪を選ぶとかどれだけハイスペックなんだ…

「あと、運が上がると言うのはどう言う効果なんですか?」
「運が上がると言うか、こっちの世界では怪我になりにくいと言うのかな…ハンターは害獣対策なんかで運良く攻撃をかわしたりとか、たまたま早く出発して難を逃れたとか、そういう感じだな」

 虫の知らせとかそういうやつかな。確かに結界より日本向きだよね…結界だと弾くとかそう言う感じだろうし、程度によるけどそれこそ交通事故だと無傷…はいいとして車グッシャリだとどんな怪人なんだってなっちゃうし。

「そうそう事故とかないとは思いますけど、ありがとうございます。大切にしますね」
「ああ。万が一という事もあるだろうからな。それに、虫除けにもなると松田も言っていたし」

 虫除け!?ってどういう意味?本当に虫除けなのか…それとも男性避けという事なのか。

「…ユカ。好きなんだ。女性として」
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