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変態さん?
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「どうしたの?」
私は体を起こすとマークくんを見る。
「はぁ、はぁ、お、お前……はぁ、はぁ」
マークくんは息を切らせながら何かを伝えようとしていた。ただ、それが何なのかいまいちわからなかった。
「マークくん。落ち着いて」
私はマークくんの背中をポンポンと叩いてあげる。
「はぁ、はぁ、すまん。助かった。……いや、違う。こんな場所まで来て、危ないじゃないか!? ここは魔物が出るんだぞ!」
「こんな町近くだと大丈夫だよー」
周りもとってもよく見えるけど魔物なんて全く見えない。
それに歩いて数分で町なのに……。
しかし、マークくんは少し怖い顔をしていた。
「お前一人じゃ絶対ダメだ! お前が魔物に勝てるはずがない!」
「そんなことないよ。こう見えて結構強いよー」
私は力こぶを作ってみせる。
申し訳程度にポコっと膨らんだ気もする。
「ダメだ! 魔物は専門職の人に任せるんだ!」
「……!?」
私はそれを聞いてハッとした。
そっか……、別にお金さえ払えばそういう人も雇えるんだね。
そうすればもっと遠くまで素材を集めに行けそうだ。
「どうしたの? 何か悩んでいるみたいだけど?」
いきなり優しい声をかけられる。
それに少し驚きながらも声のした方に振り向く。
でも、すぐに視線をマークくんに戻し、必死に目で訴えかける。
た、大変だよマークくん。へ、変態さんがいるよ。
マークくんに伝わったかはわからないけど、必死に訴える。
私が振り向いたときに見た人は顔は優しそうな感じの人だった。
長めの金髪をした整った顔立ちのかっこいい人……。
ただ、視線を下の方に向けると明らかにおかしかった。
上半身は何も着ていなかった。
これはまだ村の人たちと仕事をして暑くなってくると脱ぐ人がいた。
私は恥ずかしくて目をそらしていたけど、おばちゃんたちは堂々と話していたしおかしい格好ではないのだろう。
ただ、下半身。
こちらもほぼ裸。
申し訳程度に見えたらいけないところにだけ布がついていた。
そして、腰には剣を携えている。
それを見た瞬間、直感がこの人とは関わってはいけないと訴えかけてきていた。
◇
私は必死にイヤイヤと首を振っていたのだけど、どういうわけか変態さんはマークくんと意気投合していた。
ただ、ちょっとした誤算はこの変態さんが相当腕の立つ剣士だということだ。
腕が立っても変態さんだよ!?
そう言う視線を何度もマークくんに送っている。
でも、マークくんはへんたいさんの武勇伝を聞かせてもらってから目をキラキラと輝かせていた。
そ、そうだ。もしかして、錬金で服が作れるかも……。
服の素材なら布だし、拭いたりするために何枚か予備が、ある。
ちょっとちびどらの口を拭ったりしたものだけど、ないよりはマシだよね。
ないよりは……。
布きれを取り出し、錬金で使えないかページを探す。
するとやはり本のページが増えていたようで布の服が作れるようになっていた。
【布の服】
必要素材:布
ということで早速作成する。
そして、完成したものを変態さんに渡しに行く。
完成した服もなんだかよだれが付いている気がするけど、今の格好よりはマシだよね?
「へ、変態さん。これ、着てください!」
「おいおい、変態さんはないよ。僕はフリード。旅の剣士さ」
「いいから着てください!!」
話を聞いてくれそうになかったので強めに言う。
すると渋々だが服を着てくれる。
◇
私の作った服はサイズが合わなかったようだ。
それもかなり小さかったみたいでまた際どい格好になっていた。
肌に張り付くほどピッチピチの服。
小さすぎておへそあたりは普通に見えているし、袖はないに等しいほどだった。
下のズボンも半ズボンを通り越して、ホットパンツみたいになっている。
それでも、先ほどよりはマシだったが……。
「す、すぐ作り直します!」
私は顔を真っ赤にして振り返ると素材の布を準備しようとする。
「ああ、いいよ。他ならぬ君が作ってくれた服だ。大切に着させてもらうよ」
笑顔でお辞儀してくるフリードさん。
顔だけ見たら本当に絵になる人だった。顔だけ見たら……。
マークくんは私の顔とフリードさんを見比べて、少し目を見開いて、驚きとも悔しさともとれる表情をしていたけど、それはどうしてだろう?
まぁいいや。今はフリードさんを追い返して……、いやいや、ちょっと待って。
フリードさんは変態さんだけど、腕が立つみたいだし、この人と一緒なら素材採取も……。
で、でも、ちびどらがいるからといってこの人と2人になるのは……抵抗あるなぁ……。
「ま、マークくん。お願いがあるんだけど……」
「なんだ?」
そっけない振りをしながら明らかに顔がにやけているマークくん。
なんだか無性に頭を撫でてあげたくなる。
「素材採取、一緒に来てほしいな……」
私はマークくんに精一杯のお願いしてみた。
私は体を起こすとマークくんを見る。
「はぁ、はぁ、お、お前……はぁ、はぁ」
マークくんは息を切らせながら何かを伝えようとしていた。ただ、それが何なのかいまいちわからなかった。
「マークくん。落ち着いて」
私はマークくんの背中をポンポンと叩いてあげる。
「はぁ、はぁ、すまん。助かった。……いや、違う。こんな場所まで来て、危ないじゃないか!? ここは魔物が出るんだぞ!」
「こんな町近くだと大丈夫だよー」
周りもとってもよく見えるけど魔物なんて全く見えない。
それに歩いて数分で町なのに……。
しかし、マークくんは少し怖い顔をしていた。
「お前一人じゃ絶対ダメだ! お前が魔物に勝てるはずがない!」
「そんなことないよ。こう見えて結構強いよー」
私は力こぶを作ってみせる。
申し訳程度にポコっと膨らんだ気もする。
「ダメだ! 魔物は専門職の人に任せるんだ!」
「……!?」
私はそれを聞いてハッとした。
そっか……、別にお金さえ払えばそういう人も雇えるんだね。
そうすればもっと遠くまで素材を集めに行けそうだ。
「どうしたの? 何か悩んでいるみたいだけど?」
いきなり優しい声をかけられる。
それに少し驚きながらも声のした方に振り向く。
でも、すぐに視線をマークくんに戻し、必死に目で訴えかける。
た、大変だよマークくん。へ、変態さんがいるよ。
マークくんに伝わったかはわからないけど、必死に訴える。
私が振り向いたときに見た人は顔は優しそうな感じの人だった。
長めの金髪をした整った顔立ちのかっこいい人……。
ただ、視線を下の方に向けると明らかにおかしかった。
上半身は何も着ていなかった。
これはまだ村の人たちと仕事をして暑くなってくると脱ぐ人がいた。
私は恥ずかしくて目をそらしていたけど、おばちゃんたちは堂々と話していたしおかしい格好ではないのだろう。
ただ、下半身。
こちらもほぼ裸。
申し訳程度に見えたらいけないところにだけ布がついていた。
そして、腰には剣を携えている。
それを見た瞬間、直感がこの人とは関わってはいけないと訴えかけてきていた。
◇
私は必死にイヤイヤと首を振っていたのだけど、どういうわけか変態さんはマークくんと意気投合していた。
ただ、ちょっとした誤算はこの変態さんが相当腕の立つ剣士だということだ。
腕が立っても変態さんだよ!?
そう言う視線を何度もマークくんに送っている。
でも、マークくんはへんたいさんの武勇伝を聞かせてもらってから目をキラキラと輝かせていた。
そ、そうだ。もしかして、錬金で服が作れるかも……。
服の素材なら布だし、拭いたりするために何枚か予備が、ある。
ちょっとちびどらの口を拭ったりしたものだけど、ないよりはマシだよね。
ないよりは……。
布きれを取り出し、錬金で使えないかページを探す。
するとやはり本のページが増えていたようで布の服が作れるようになっていた。
【布の服】
必要素材:布
ということで早速作成する。
そして、完成したものを変態さんに渡しに行く。
完成した服もなんだかよだれが付いている気がするけど、今の格好よりはマシだよね?
「へ、変態さん。これ、着てください!」
「おいおい、変態さんはないよ。僕はフリード。旅の剣士さ」
「いいから着てください!!」
話を聞いてくれそうになかったので強めに言う。
すると渋々だが服を着てくれる。
◇
私の作った服はサイズが合わなかったようだ。
それもかなり小さかったみたいでまた際どい格好になっていた。
肌に張り付くほどピッチピチの服。
小さすぎておへそあたりは普通に見えているし、袖はないに等しいほどだった。
下のズボンも半ズボンを通り越して、ホットパンツみたいになっている。
それでも、先ほどよりはマシだったが……。
「す、すぐ作り直します!」
私は顔を真っ赤にして振り返ると素材の布を準備しようとする。
「ああ、いいよ。他ならぬ君が作ってくれた服だ。大切に着させてもらうよ」
笑顔でお辞儀してくるフリードさん。
顔だけ見たら本当に絵になる人だった。顔だけ見たら……。
マークくんは私の顔とフリードさんを見比べて、少し目を見開いて、驚きとも悔しさともとれる表情をしていたけど、それはどうしてだろう?
まぁいいや。今はフリードさんを追い返して……、いやいや、ちょっと待って。
フリードさんは変態さんだけど、腕が立つみたいだし、この人と一緒なら素材採取も……。
で、でも、ちびどらがいるからといってこの人と2人になるのは……抵抗あるなぁ……。
「ま、マークくん。お願いがあるんだけど……」
「なんだ?」
そっけない振りをしながら明らかに顔がにやけているマークくん。
なんだか無性に頭を撫でてあげたくなる。
「素材採取、一緒に来てほしいな……」
私はマークくんに精一杯のお願いしてみた。
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