社畜さん、ヒモになる〜助けた少女は大富豪の令嬢だった〜

空野進

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 嬉しそうに鼻歌交じりに歩く莉愛。
 その隣には不審者と間違われないかそわそわとしている俺。

 俺の右手には莉愛の柔らかく小さな手がしっかりと握られていた。


 なんだ、この状況……。


 莉愛のお願い……それはまさかの手を繋ぐこと。
 さすがの俺もこう来るとは思わなかったが、断るすべもなかったためにこうして一緒に歩いていた。

 ただ、周りを歩いているのはほとんどが若いカップルばかりだ。
 そんな中、俺と莉愛が手をつないで歩いているのは浮いて見えるだろう。

 でも、そんな状況もお構いなしに莉愛は嬉しそうだった。
 その状態のまま目的の家具屋へとやってきた。

 ちゃんと彼女にも普通の店でいいから……と伝えたので安心して店の中へと入る。

 その手は莉愛が離してくれなかったため握ったままだった。

 店の中はかなり広くいろんな家具が置かれていた。もの自体は見たことないものばかりだったが、それでも普通の店のようだ。
 少し安心しながら置かれているベッドの値札を見る。


3,000,000円


 ……えっ!?

 その値札を見て俺は口をぽっかりと開けてしまう。
 一瞬数え間違えたのかと思った。
 でも、そこにはしっかりと三百万円の値札が貼られていたのだった。


 俺の年収より高い……。
 でも、ベッド一つだろ……。

 た、たまたまこれが高いだけだ……。


 周りに置かれたほかのベッドも見ていく。
 しかし、値段はどれもほとんど変わりなかった。


 それだけではない。
 よく見るとベッドの下にマットとか色々な言葉とそちらも値段が書かれていた。


 ま、まさか、この値段、全て込みの値段じゃないのか!?


 更に顔を青ざめて一歩後ろに下がる。
 しかし、莉愛は気にした様子を見せずにそのまま店の中に入っていこうとする。


「それじゃあ家具を選んでいきましょうか」


 歩き始めた莉愛の手を引っ張って止める。


「ど、どうしましたか?」
「さすがにこの店は駄目だ……。高すぎる……」


 服を買ったときでも手が震えるほど高い買い物だったのだが、この店のものはもっと危なかった。
 無理に買う必要がないなら買わない方がいい。


 俺の脳内で必死に警鐘が鳴っていた。


「いえ、わざわざ有場さんにうちへ来てもらってるのですからしっかりとした家具を揃えてくつろいでもらわないと行けません。ですから、これは有場さんを呼んだ私の責任でもあるんですよ。だから、気にせずに選んでください」


 笑みをこぼしてくる莉愛。
 ただ、俺にはこの場所は危ないところにしか見えない。


 どうしてこんな場所に? 普通の場所に来たんじゃないのか?


 自問自答を繰り返す。
 すると、莉愛が目と鼻の先まで顔を覗き込ませてくる。


「有場さん……、どうかしましたか?」
「い、いや……、なんでもない……」


 でも、いつまでもこの場所にいると体に悪い。
 とりあえず、ここはまた今度と言って店を出るか……。


 必死に考えを巡らせていると店の奥から細身の男性がゆっくりとやってくる。
 そして、俺たちの前に来ると深々と一礼をする。


「神楽坂様、いつもありがとうございます。本日は何をお探しですか?」
「有場さんの家具一式を探しに来たのですけど、何が良いのかわからなくて……。選んでいただいてもよろしいでしょうか?」
「かしこまりました。では、有場様。少し失礼いたします」


 すっと俺の隣にやってくるとどこから取り出したのか布のメジャーを取り出して、全身を隅々まではかっていく。


「サイズは今測らせてもらったので概ね分かりました。あとはマット等を選んでいただいて、オーダーメイドで作らせるというのはいかがでしょうか?」
「いいですね、ではそれでお願いします。ベッドとテーブル、あとソファー等も入りますね。他に部屋に必要なものを一通りお願いします」
「かしこまりました」


 俺を抜きにして勝手に話が進んでいく……。
 店に置かれたものですら数百万以上の値段がしたのにオーダーメイドとなると一体いくらするんだ……。

 顔を強張らせながら莉愛に聞いてみる。


「……今の家具って一体いくらしたんだ?」
「うーん、私も詳しくは聞いたことないですけど、うちの家の家具は全部ここで買っていますから普通のものだと思いますよ?」
「それなら部屋に置かれたもので十分だったのに……」
「いえ、有場さんに泊まってもらうんですから最高のものを準備しないと自分が許せなくなります!」


 グッと両手を握りしめる莉愛。
 その決意のこもった目を見ると何を言っても無駄だろうと呆れながら俺は頭を掻いた。


「わかった、これも借り一……ということでいいな?」
「はいっ」


 その言葉を待っていましたと言わんばかりに莉愛は笑みを漏らす。
 その様子に俺は深々とため息を吐くのだった。





 家具一式は出来あがり次第家に届くらしい。
 それまでは部屋のものを使っていることになった。

 そして、次の場所を考えながらぶらぶらと町中を歩いていると突然莉愛が手を引っ張ってくる。


「有場さん、有場さん、これって何ですか?」


 莉愛が目を輝かせながらディスプレイに置かれた色鮮やかな綿菓子を眺めていた。


「これは綿菓子だな。なんかインスタ映え? みたいなことを聞いたことがあるが……食ってみるか?」


 莉愛に尋ねてみると彼女は大きく頷いていた。
 よほど食ってみたかったのだろうな。
 俺は苦笑をしながら店員に声をかける。


「すみません、この綿菓子をください」
「どのフレーバーでお作りいたしましょう?」


 よくみるとその色鮮やかなフレーバーはそれぞれ別の味らしい。
 ただ、莉愛が目を輝かせていたのは全ての色を使った七色の綿菓子だった。


「このディスプレイにある全部のフレーバーを使ったやつをもらえるか?」
「かしこまりました。可愛い彼女さんへのプレゼントですね。では先にお会計をさせていただきます。レインボーフレーバーが一つで八百円になります」


 店員が笑顔を見せながら言ってくる。
 しかし、その言葉は莉愛には聞こえなかったようだ。


「彼女……」


 意味深にその言葉をつぶやいていた。
 まぁ、店員もそういうことが言いたかったんじゃないと思うが、片手をつないだ状態だと勘違いしても仕方ないだろう。

 仕方ないと俺が財布を取り出そうとするとようやく莉愛は我に返る。


「あっ、そうだ……、お金……」


 慌てて財布からカードを取り出そうとする。
 ただ、それを見て店員は苦笑を浮かべていた。


「申し訳ありません。うちはカードを取り扱っていなくて……」


 その言葉を聞いて莉愛は悲しそうな表情を見せていた。
 莉愛の財布に現金自体はほとんど入っていなかった。

 元々こういった店に立ち寄ることもなかったんだろうな。

 残念そうにしている莉愛の肩を軽く叩く。


「大丈夫だ。ここは俺が払っておく」


 数百円なら莉愛に買ってもらったもののお礼にもならないだろうが、それでも彼女は嬉しそうに目を潤ませながら上目遣いを見せていた。


「本当に……いいのですか?」
「あぁ、気にするな。莉愛にはいろいろしてもらったからな」
「ありがとうございます」


 莉愛が深々と頭を下げてくる。
 それを見ていると俺の方はむず痒くなってきて視線を店員の方へ向ける。

 店員は微笑ましい目つきで俺たちのことを見ていた。
 それが恥ずかしくなって俺はすぐに財布から金を取り出した。



 それからしばらく待っていると店員の手には人の顔よりも更に大きい綿菓子が握られていた。


「お待たせしました。どうぞ」


 店員が微笑ましく見守りながら莉愛に綿菓子を手渡す。
 頬を染めて惚けていた莉愛が呆然と受け取る。

 そして、側にあるベンチに二人で腰掛ける。
 だいたい人が一人くらい間に入れそうな距離が開いてるのは、あまり近づきすぎるのもよくないと思ったからだ。

 ただ、莉愛はしばらくそれを食べようとはしなかった。


「どうしたんだ。食わないのか?」
「いえ、なんだか食べるのがもったいなくて……。有場さんからこれほど良いものをもらえるなんて思ってもいませんでしたから……」


 いやいや、莉愛に買ってもらったものの方が遙かに高いぞ。


 ただ、莉愛の中ではこの綿菓子は値段以上の価値があるようだった。
 それならと俺は小さな言葉で呟いた。


「それならまた一緒に来るか?」
「はいっ!!」


 大きく頷いた莉愛はようやく綿菓子を食べ始めてくれる。
 小さな口でゆっくり黙々と……。


「美味いか?」
「とっても甘くて美味しいです……」


 よく見ると口が緩み、恍惚の表情を浮かべていた。


「……それならよかった」
「有場さんも食べてみますか?」


 俺の目の前に差し出される綿菓子。
 ちょうど莉愛が食べていた場所だった。


 ここを食うと間接キスになるんじゃないだろうか?


 そんな疑問が浮かんだが、莉愛は気にしていない様子だったのでそのまま一口食べてみる。
 するとその瞬間に口の中に優しい甘さが広がっていく。


「意外と食べやすいな……」
「ですよね。私も初めて食べましたけど、とっても美味しいです」


 再び莉愛は綿菓子を食べようとするが、俺が食べたところを見て一瞬固まる。


「うん、これは仕方ないことですもんね」


 小さく呟くと顔を赤くしながら綿菓子を食べていった。





「とっても美味しかったですー」


 最後に手に付いた綿菓子をくわえていた。


「さすがそれははしたないと思うぞ」


 俺はポケットからハンカチを取り出して、莉愛に渡す。
 すると彼女は驚いた様子だった。


「いいのですか?」
「何がだ? それで手に付いた綿菓子を拭くといい」
「はい、ありがとうございます」


 大事そうにハンカチを抱える莉愛。そして、ゆっくり丁寧に自分の手を拭いていく。

 ◇

 それから町の中を見て回ったのだが、長時間歩いていたからか足が痛くなってくる。


「はぁ……、なんだかどっと疲れたな……」


 莉愛とずっと一緒にいると妙に周りを警戒してしまっていつも以上に疲労を感じていた。


「大丈夫ですか? どこかで休んで行きますか?」


 俺の顔を覗き込みながらドキッとするようなことを言ってくる。


「そうだな、どこかのカフェにでも寄るか?」
「はいっ」


 さっきからチラチラと同世代の少女がたくさんいるカフェが気になっていたようなので、尋ねてみると即返事をしてくる。

 さすが女子高生が列をなして並んでいるようなところには入れなかったので、人が少ないカフェの中に入る。

 でも、莉愛にはそこで十分だったようで中に入った瞬間に目を輝かせて店内を眺めていた。

 店内は落ち着きのあるクラシックが流れ、席はテーブルとカウンター席に分かれていた。
 俺たちは二人ということもありテーブル席に腰掛けると、店のマスターと思われる男性がおしぼりを持ってくる。


「では、ご注文が決まりましたらまた呼んでください」

 軽く頭を下げてカウンターの奥に戻っていくマスター。

 莉愛がメニューとにらめっこしてる間に俺は店内を見渡してみる。
 お世辞にも客は多いとは言えないが、それでも数人はいる。
 隠れた穴場といった感じなのだろう。
 ただ、カウンターに座っている女性の後ろ姿……どこかで見覚えがあるな。

 首を傾げてみていると莉愛が服を引っ張ってくる。


「有場さん、私はこの店主オリジナルのオレンジジュースというものにします」


 どうやら注文するメニューを決めたようだった。
 嬉しそうな表情を見せる莉愛とは裏腹に俺は普通にコーヒーを頼むことにした。

 そして、しばらくするとオレンジジュースとコーヒーが運ばれてくる。


「美味しそう……。いただきます」


 両手を合わせたあと、オレンジジュースをストローで飲んでいく。
 それをのんびり眺めながら俺もコーヒーを口に運ぶ。

 すると先ほど見ていた女性が席を立って店を出ていこうとする。
 その際に顔を見ることができた。


「えっ、大家さん?」
「嘘……、有場さん?」


 まさかこんなところで出会うとは思っておらず、お互いが驚いていた。


「突然部屋の中のものが減ったりして、驚いたんですよ!」
「すみません、突然何も言わずに出ていってしまって……」


 感極まって大声を上げる大家さんに俺は頭を下げていた。


「私は……、私は……、すごく心配したんですよ……」


 俺の胸に頭をつけて泣き出してしまう。
 そこまで心配したのか……。それは悪いことをしてしまったかも。


「だって、有場さんが居なくなったら家賃収入が減ってしまうじゃないですか!」


 思わずこけそうになってしまう。
 するとそんな俺たちの間を割って入るように莉愛が体を押し付けてくる。


「ダメですよ! 有場さんは渡しませんから」


 何を勘違いしたのか、莉愛は頬を膨らませながら大家さんを睨んでいた。

 そんな莉愛と俺の顔を見合わせて大家さんは何かピンときた様子だった。


「そうだったのね。だから、部屋に戻ってこなかったのね。わかったわ、それじゃあ強く言えないわね」


 何かとんでもない方向で納得している様子だった。


「また今度詳しく話を聞かせてね、有場さん」


 それだけ言うと大家さんは店を出ていった。

 そして、俺たちは再び席に戻るが莉愛が不安そうに聞いてくる。


「有場さんは大家さんのことが好き……なんですか?」
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