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閑話 祭の報告書
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「おや、これは有場君からの報告書か。相変わらず仕事が早いな」
館に戻ってきた勇吾は自分の机に置かれた紙の束を見て微笑んでいた。
相変わらず彼からの報告書は必要な要点がしっかりまとめられており、軽く読んだだけでその問題点がはっきり読み取ることができた。
「やはり、花火と天候の問題は考えないといけないな。その日しか見にこられない人もいるわけだからな。延期にしたところで見にこれないなら同じだからな。おや、こっちの紙は?」
いつもなら余計なものを置かない彼が今日は別の物を置いていた。
もしかして、緊急事態とかか?
少し緊張をした様子で勇吾はもう一つ置かれた紙を見てみる。
『有場さんと一緒の水風船を取った。有場さんはとっても上手く取ってかっこよかったな。私は一つだけ……。でも有場さんと同じものを取れて嬉しかった』
……こ、これはもしかして――。
勇吾は紙を持つ手が震えていく。
まさか莉愛のデートの感想をもらえるなんて思っても見なかったことだった。
震える手をなんとか沈めると勇吾は声をあげる。
「遠山、遠山はいるか!?」
「こちらに……」
すぐに遠山が現れる。
「最近莉愛が行った祭の映像はあるか?」
「もちろんにございます。莉愛様の様子は護衛がしっかりと」
「ではすぐにその映像を持ってまいれ」
「はっ」
遠山がすぐに映像を持ってきてくれたので改めて莉愛の手紙とあわせて眺めていく。
『有場さんと一緒にいろんなものを食べました。とっても美味しかったです』
一言だけ書かれていた食べ物系の屋台なのだが、実際は恥ずかしそうに食べさせあっていた。
その仲睦まじい様子を見て勇吾自身もニヤけてくる。
やっぱり莉愛が嬉しそうにしているのはありがたいな……。
そんなことを思っていると次の場面に移行する。
「有場さんが変な人たちから私を守ってくれた。有場さん、頼りになるなぁ……」
映像には体を張って莉愛を守ってくれている有場の姿が映っている。
「遠山、この男達は!?」
「すでに処理済みです」
「ならよい」
既に警察に引き渡されているのならもう俺に言うことはないだろう。
あとは――。
『花火は残念だったな……。有場さんとゆっくり見たかったのに……』
莉愛の悲しそうな表情と共にその手紙を見る。
「神楽坂の研究機関を使えば、花火の間くらい天候を操れる装置くらい作れるか。あとは周りの天候被害等を計算して……。もう二度と莉愛があんな悲しそうな表情を見せないように――」
「あっ、やっぱりお父様のところにあったんですね」
莉愛が恥ずかしそうにやってくる。
勇吾は慌てて祭の映像を消すと莉愛の方に振り向く。
「何かあったのか?」
「はい、その手紙……。そっちは祭の様子をまとめたものじゃなくて私の日記……ってお父様、読んでしまいましたか?」
「い、いや、これから読むところだったぞ」
反射的に嘘をついてしまう。
すると莉愛が安心した表情を見せてくる。
「よかったです。それならその手紙を返してもらえますか? お父様にはこっちの報告書を渡しておきますので」
莉愛が別の手紙を渡してくるとそのまま頭を下げて帰っていった。
そうか、あれは莉愛の日記だったのか……。
あの内容からおそらく最近の日記は有場との生活についてばかり書かれているのだろう。
それが嬉しくもあり、同時にどこか寂しい気持ちにもなる。
まぁ、莉愛が幸せになってくれるならそれでいいか。
最終的にそう結論つけると改めて莉愛が持ってきた報告書を見ていく。
館に戻ってきた勇吾は自分の机に置かれた紙の束を見て微笑んでいた。
相変わらず彼からの報告書は必要な要点がしっかりまとめられており、軽く読んだだけでその問題点がはっきり読み取ることができた。
「やはり、花火と天候の問題は考えないといけないな。その日しか見にこられない人もいるわけだからな。延期にしたところで見にこれないなら同じだからな。おや、こっちの紙は?」
いつもなら余計なものを置かない彼が今日は別の物を置いていた。
もしかして、緊急事態とかか?
少し緊張をした様子で勇吾はもう一つ置かれた紙を見てみる。
『有場さんと一緒の水風船を取った。有場さんはとっても上手く取ってかっこよかったな。私は一つだけ……。でも有場さんと同じものを取れて嬉しかった』
……こ、これはもしかして――。
勇吾は紙を持つ手が震えていく。
まさか莉愛のデートの感想をもらえるなんて思っても見なかったことだった。
震える手をなんとか沈めると勇吾は声をあげる。
「遠山、遠山はいるか!?」
「こちらに……」
すぐに遠山が現れる。
「最近莉愛が行った祭の映像はあるか?」
「もちろんにございます。莉愛様の様子は護衛がしっかりと」
「ではすぐにその映像を持ってまいれ」
「はっ」
遠山がすぐに映像を持ってきてくれたので改めて莉愛の手紙とあわせて眺めていく。
『有場さんと一緒にいろんなものを食べました。とっても美味しかったです』
一言だけ書かれていた食べ物系の屋台なのだが、実際は恥ずかしそうに食べさせあっていた。
その仲睦まじい様子を見て勇吾自身もニヤけてくる。
やっぱり莉愛が嬉しそうにしているのはありがたいな……。
そんなことを思っていると次の場面に移行する。
「有場さんが変な人たちから私を守ってくれた。有場さん、頼りになるなぁ……」
映像には体を張って莉愛を守ってくれている有場の姿が映っている。
「遠山、この男達は!?」
「すでに処理済みです」
「ならよい」
既に警察に引き渡されているのならもう俺に言うことはないだろう。
あとは――。
『花火は残念だったな……。有場さんとゆっくり見たかったのに……』
莉愛の悲しそうな表情と共にその手紙を見る。
「神楽坂の研究機関を使えば、花火の間くらい天候を操れる装置くらい作れるか。あとは周りの天候被害等を計算して……。もう二度と莉愛があんな悲しそうな表情を見せないように――」
「あっ、やっぱりお父様のところにあったんですね」
莉愛が恥ずかしそうにやってくる。
勇吾は慌てて祭の映像を消すと莉愛の方に振り向く。
「何かあったのか?」
「はい、その手紙……。そっちは祭の様子をまとめたものじゃなくて私の日記……ってお父様、読んでしまいましたか?」
「い、いや、これから読むところだったぞ」
反射的に嘘をついてしまう。
すると莉愛が安心した表情を見せてくる。
「よかったです。それならその手紙を返してもらえますか? お父様にはこっちの報告書を渡しておきますので」
莉愛が別の手紙を渡してくるとそのまま頭を下げて帰っていった。
そうか、あれは莉愛の日記だったのか……。
あの内容からおそらく最近の日記は有場との生活についてばかり書かれているのだろう。
それが嬉しくもあり、同時にどこか寂しい気持ちにもなる。
まぁ、莉愛が幸せになってくれるならそれでいいか。
最終的にそう結論つけると改めて莉愛が持ってきた報告書を見ていく。
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