君よ、土中の夢を詠え

ヒロヤ

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 こんなに少ない言葉で、何が伝わると言うのだろう。

 最初はそう思っていた。

 でも、あなたは笑いながら、だからこそ価値があるんだよと言った。

 二人にしか、わからない秘密の言葉。

 私は胸が躍った。

 あなたの優しい声と、優しい手と、優しい瞳が大好き。

 でも、それ以上に伝えなくてはいけない言葉があるんです。
 

 それなのに。


 あの人が消えた。

 もう、この手が届かないところへ。

 わかっていたことだというのに。

 この覚悟の弱さは何だ。

 
 私に笑いかけてくれた、あの眼差し。
 私が考えていることなど、すべてお見通し。

 そうしていつも、私の髪を優しくなでてくれた。

 あの人。

 水の中で現れた人。

 私の身体の中を、あの人で満たしたい。

 そうすればいつも、あの人を感じていられる。

 余計なものが入らないようにしなくては。

 この肺はだらしがない。使えない。

 息が苦しい。

 悪いものが入ってしまったようだ。

 私は咳き込む。

 早く私の肺から出て行け。


 遠くから眩しい光がやってきた。

 これは雷か。

 いや、これは、そうだ。

 炎だ。

 燃えていく。

 このままでは干上がってしまう。

 息が苦しい。咳き込む。

 逃げるわけにいかぬ。

 あの人は言ったのだ。

 また会えると。

 待っていろと。

 身体が熱い。

 咳が止まらぬ。

 ヒューヒューと肺が泣く。

 
 嗚呼。


 姉が部屋に飛び込んできた。

 待たせてごめんね、そう言った。


 違う。

 違う、あなたじゃない。


 でも、それは言ってはいけない。


「おねえさん」


 姉は泣きそうな顔になった。
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