Rain -拗らせた恋の行く末は…-

真田晃

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第三章 虚ろいの秋雨

懐かしい温もり1

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×××


爽やかな秋空の下、文化祭が始まった。
仲の良さそうな他校の女子達が、燥ぎながら廊下を横切って行く。
教室の窓の外から見える、色んなクラスの出店。焼そば。チョコバナナ。たこ焼き。有名チェーン店との共同出店らしい、ドーナツ。

「……」

元々やる気の無かったクラスメイト達は、各々好きな場所へと散ってしまい……
特に呼び込みをする訳でもなく、しんと静まったここに、人が寄り付く訳もなく。
ただ只管、時間が過ぎるのを待っていた。

教室の真ん中には、四角く囲うようにして置かれた机。その上に並ぶ、クラスメイト達が持ち寄った不要品。
教室の隅では、暇を持て余して会話を弾ませる女子が二人。石田さんのセンスなのか。ストリート系の男装がよく似合っていて、格好いい。

「……」

時計を見れば、交代の時間はもうとっくに過ぎている。でも、多分来ないんだろうな…と、内心諦めていた。
人が来ないとはいえ。本当はもう、こんな恥ずかしい格好、早く終わりにしたいのに。


「………何だ。誰も来てねぇじゃねぇか」

突然教室に響く、低い声。
開け放った入り口に現れたのは、ガタイの良い体格の──

「おい、白石」

教室に足を踏み入れた今井くんが、真っ直ぐ迷いなく、僕の方へと足早に近付く。

「その辺回って、宣伝してこようぜ」
「………え、」

手を取られ、そのまま強く引っ張られる。
大空がいなくなってからずっと──クラスメイトの前では、こんな事……しなかったのに。



教室を出て、人で溢れかえる廊下を縫い潜る。
階段を駆け上がり、渡り廊下を通って突き当たった所──外へと続く、重厚な鉄の扉を開けた。

ぶわっ……
瞬間。乾いた風が強く吹きつけ、僕の髪やワンピースを乱す。

誰もいない、非常階段。
まるで、秘密基地みたい……コンクリートの分厚い壁に囲まれたそこに、今井くんと降り立つ。
繋がれた手。グイッと引っ張られれば、蹌踉けて今井くんの胸の中にすっぽりと収まってしまった。

「……実雨」

まだ整わない息。
肩を上下に揺らす僕を抱き、覗き込んだ今井くんの唇が、僕の唇を奪う。

「……」

それは、ほんの一瞬。
ふわりと……風が撫でていったかのように、軽くて。

瞬きも忘れ、今井くんを真っ直ぐ見上げれば……少し照れたような、困ったような表情を返された。

「………お前、自分が無防備なの、全然学習してねぇのな」



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