アラカルト -a la carte-

真田晃

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5rd

踏切×風

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※こちらの作品は、『屋上×プランター』まで一連のストーリーとなっております。





いつからだろう。
祐の髪が金色に変わったのは。
いつからだろう。
制服のボタンを外し、ピアスを幾つも付け、柄の悪い人達と連むようになったのは。

風に靡く黒髪がさらさらとしていて。柔らかく微笑む祐の周りには、明るい人達がいた筈なのに。

「お、祐じゃん!」

視線の先に見えた、祐の背中。駆け寄ろうとする僕を阻むように、祐の周りに群がる不良達。

「……」

カンカンカン──……
いつの間にか下りた、遮断機の向こう側とこちら側。警報器が鳴り響く限り、もう祐には近付く事ができない。







「柚」

下駄箱で靴を入れ替えていると、背後に人影が立つ。ざわめく雑音を突き抜けるように響く、凜とした声──振り返らなくても解る。
この声は、従兄弟の:玲音(レオン)。

「おはよ」

肩まで長い白金の髪。切れ長の双眸。
涼しげで綺麗な顔立ちをした彼は、この辺りで知らない人はいない。
何故なら、この辺り一帯を仕切っている暴走族 “black-Fairies” の次期総長だから。

「ちょっと付き合って」
「……え」

今し方仕舞った僕の靴を取り出し、有無も言わさず僕の腕を引っ張る。

「……」

強引。でも嬉しいかも。
小学生以降、会う機会が減って。この学校に入って再会するまで、淋しさを感じていたから。



ドゥルルルン……

風を切りながら走るバイク。
後ろに乗せて貰うのは、二回目。やっぱり心地良いな。身体に伝わる振動も。爆音も。玲音の背中も。
腰に回した腕に力を籠めれば、僕を安心させるかのように、トントンと2回叩いてくれる。


……あ、海だ。

風の湿度が変わり、潮の匂いが微かにする。
玲音の背中にしがみついたまま、太陽の光に照らされた海を眺める。

学校をサボったのも、バイクで海岸沿いを走るのも初めてで。いけない事をした分、大人びた玲音に近付けたような気がする。


海が一望できる駐車場。その縁石に並んで座り、自販機で買って貰ったホットミルクティーを飲む。

「寒くない?」
「うん」

日差しは温かいものの、晩秋の風は冷たくて。晒された頬や鼻先がまだ冷たい。
それに気付いたのか。手袋を外した玲音が僕の頬に触れる。

「ひゃっ、!」
「ハハ。反応可愛すぎ」

そういって微笑む玲音が、僕をギュッと抱き締める。

「……ねぇ、柚」
「ん?」
「俺が傍にいなくて、淋しかった?」

耳元に掛かる、熱い吐息。
突然変わる雰囲気に、トクトクと心臓が高鳴る。
最後に会ったのは、去年の秋口。連絡する事はあったけど、玲音からの返信は気まぐれで。だからかな。会わなかった分、玲音が格好よく見えて。

「ずっと俺の事、考えてたでしょ?」
「……そ、そんなこと」

目を逸らして俯くと、玲音が揶揄うようにグイと引き寄せる。

「だったら結構、嬉しいんだけどな」
「……」



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