シンクロ -アゲハ舞い飛ぶ さくら舞い散る5-

真田晃

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菊地編

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「──それで。
さくらちゃんは、何処で降りるの?
何処へ向かえばいい……?」

幸せそうなオーラを放つ真木が、ルームミラー越しに柔らかな目をやり、何時になく穏やかな声で僕に尋ねる。
何もかもを見透かしたような、兄貴風を吹かせる眼。
その眼が、何とも憎たらしい。


「……」


無かった事になんか、させない。
……許さない。
絶対。

そんな犠牲の上に作られた幸せなんか、壊れてしまえ……

──気持ち悪い。


「……と、とりあえず、近くの駅まで送ってください」

堪りかねた五十嵐が、チラリと僕の様子を盗み見た後、そう口を出す。
その遠慮がちな言葉と態度が、余計に腹が立つ。


「……」

二人を視界から追いやり、再び窓の外を眺める。
シートに身を預け、移りゆく景色を眺めながら……もう二度とここへは戻れないんだと感じ、胸が張り裂けそうになる。

『……産まれてくる子は別だろ』
『俺には、幸せにする義務がある』

──真木が吐いた言葉が、今更になって僕の胸中に渦巻き、心に重くのし掛かる。

全ての罪を背負い、その重みを一人抱えたまま……幸せから遠ざかろうとしていた寛司。
家族の幸せの為なら、他人を傷つけ……どんな罪をも犯し、悪にでもなる真木。

そのどちらが正しくて、どちらが間違ってるかなんて……僕が勝手に決めつけたらいけないのかもしれない。

真木の言う通り──産まれてくる子にまで、罪はない。

ハイジも僕も、そうであったように……
他人の僕が、その子の幸せを壊す権利なんて、ないのだから……


「……」


でも……だからこそ──

この気持ちを、どうしたらいい。


どうしたら、いいんだよ……


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