シンクロ -アゲハ舞い飛ぶ さくら舞い散る5-

真田晃

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五十嵐編

290.堕ちる

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×××


ギシ、ギシ、ギシ、

先程まで乱暴に扱われていた窄みに、太くて熱いモノが押し込められる。
遠慮がちながら、無遠慮な律動。連動するベッド軋み。シーツの擦れる音。
僕の両手首を縫い付けた手の指先が、じりじりと這い上がり……柔く握った僕の指を解きほぐし、交差させ、汗ばむ手の平を重ね──

「……ごめん、工藤……」

耳元に寄せられた五十嵐の唇から吐息混じりの声が漏れれば、否応なしに外耳を擽られる。
その耳下辺りに唇がそっと触れ、直ぐに熱い舌が這い、柔く歯を立てられ……

「……、っ」
「……ごめ……ん……、……」

苦しそうに呻きながら、付いた歯形を確かめるように舌先でなぞられる。
間近で僕を覗く瞳には、憂いながらもしっかりと熱情を孕んでいて……

「……」

仕方なく、なんだよね……
五十嵐は男の僕に、そういう目で見た事なんてない筈。
それに、今までだって……僕に好意的に接してきたのは、妹を守る為であって、僕の為じゃない。
僕の知ってる五十嵐は、本当の五十嵐じゃない。僕を騙す為に嘘で塗り固めた、偽物の姿なんだから。

だったら、今更……謝られても困る。
偽善者ぶって、こんな……償うみたいな優しい抱き方されても、迷惑だ。

「……っ、」

甘噛みされた首筋から、無情にも甘い痺れがぴりぴりと広がる。
腸壁ナカを擦り上げる度に質量と硬度が増し、反り上がって存在を主張する。
それを逃したくないと……僕の意思とは関係なしに、吸い付いて離さない。

寛司との性行為を重ねるうちに次第に開花されてしまったこの身体は、優しくされればされる程簡単に快感を引き出し──相手が誰であろうと、構わず素直に反応を示してしまう。

……それが、堪らなく嫌だ……

「……」
「………はぁ、……ごめ、ん……」

言葉とは裏腹に、激しくなる五十嵐のピストン。
重ねた手が離れ、擦れて捲れたシャツの中にその手が滑り込む。
胸の膨らみを求めていたのか。弄る手つきが一瞬戸惑い、直ぐに胸の平たさをゆっくりと確かめる。そして見つけた小さな胸の尖りを、徐に抓む。


ギシ、ギシ、ギシ……
……はぁっ、はっ、はぁ、……

閉じた瞼から透けて通る電光。
柔く瞼を開ければ、五十嵐の肩越しから天井の照明器具が視界に映る。
五十嵐が上下に揺れる度にそれが見え隠れし、僕の顔に落とす影の濃度や形を微妙に変化させる。

同級生とは思えない、男らしい体つき。
光の下、陰影がつき浮き彫りになる締まった筋肉。
揺れる度に輝く──ゴールドのネックレス。

「……」

ゆっくりと瞬きをしながら、視線を横にずらす。
そこに映ったのは……ハンディカメラを構え、無機質なレンズを此方に向ける、八雲の姿。


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