331 / 559
五十嵐編
331.
しおりを挟む恐怖と性欲──何方が勝るのかは解らない。
だけど単純な愁なら、目の前に人参をぶら下げて走らされる馬のように、本能で僕の言う事を聞こうとするだろう。
トロンとした瞳を愁に向けたまま、僅かに割り開いた唇からチロリと舌先を覗かせる。
首筋から匂い立つ、芳醇で甘っとろい香り。若葉のそれとは比べ物にならないものの、愁にあてるには充分すぎる。
次第に若葉と化していく僕を、もう僕自身止められない。
「それで──工藤をこれからどうするつもりですか」
「………しつこいね、君も」
少し呆れたように溜め息をつく吉岡。しかし、何処かこの状況を楽しんでいる様にも見える。
「まぁいいや。君はよく働いてくれたし。
特別に聞かせてあげるよ。……僕の過去も交えてね」
繁華街を抜けた車は、一級河川沿いの二車線をただ只管真っ直ぐに走り続ける。
自然に囲まれていて、殆ど何も無い田舎道。視界に映る景色は、だだっ広い田んぼと遠くに見える住宅街。時折道沿いに現れる店は、大手のコンビニが殆ど。
閑静な風景と青信号が続く中、吉岡が静かに口を開く。
「僕が、太田組組長の隠し子……っていうのは、当然知ってるよね」
「……」
「父との駆け引きに利用する為に……まぁ簡単に言えば『産まれてくる子供の為に責任取ってよ』的な感じで、結婚を迫る為に母は僕を孕んだ。
けど結局、産んだ所で僕の存在は使い物にならなくてさ。当然僕はお払い箱。出生届も出されなかったから、僕は戸籍上、この世に存在しない人間なんだよ」
「……!」
ルームミラーに映る五十嵐の目が僅かに見開かれ、一瞬だけ吉岡に向けられる。
「文字通りの『隠し子』だ。
古臭い三畳一間のアパートに閉じ込められ、最低限の食事だけを与えられる毎日。……まるで、ブタか何かの家畜だ。
でも、それが正しいか正しくないかなんて、閉鎖された世界しか知らない僕には、その判断のしようもない。人としての尊厳も教養も与えられず、社会との接点を断たれたまま……身体だけが大きくなったからね」
「……」
「そんなある日。僕は初めて精通した。
それが一体何なのか。何が起きたのか。よく解らず、ただその変化に恐ろしさを感じたのを覚えてる。
汚れた下着を風呂場で洗っていたら、酔っ払って帰ってきた母に見つかって、酷く焦ったよ。
そしたら母は突然女の顔に変わって、知らない男の名を口にしながら服を脱ぎ始めて……僕に迫ってきた」
「──!!」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる