シンクロ -アゲハ舞い飛ぶ さくら舞い散る5-

真田晃

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キング編

378.

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「………ほら、こっちも開けてごらん」


僕の唇や歯列をこじ開け、屋久の指先が侵入してくる。

「涙目になってるね。そんなに苦しい?
……でも、駄目だよ。そんな顔しても。
今日はお仕置きなんだから……優しくなんて、しないよ」
「………」


にちゃ……

屋久の親指の腹が、頬裏の粘膜を執拗に弄る。
そうしながら、僕の顎を更に持ち上げ、上体を起こさせようとする。
それに従い、入らない力を懸命に籠め、ベッドに両手を付いて肘を伸ばす。

「その絶望した顔……堪らなくそそるね。……ほら、舌も出してごらん」

冷静で……でも少しだけ甘く、優しい声色。
後ろを犯される度に、壊されていく思考──

「……」

僅かに舌先を出して見せれば、屋久がそれを抓んで引っ張る。

「この舌で、俺のを愛撫するんだ。解るな?
……絶対に、歯を立てるなよ」

ゆっくりと。円を描くように、その指で濡れそぼつ舌を擦る。もう片方の手で、自身の前を寛がせながら剥き出したモノ──てらてらと先走りで光る、そそり立った屋久の怒張が目の前に現れる。


「………かはっ、」


ゴポッッ──

息つく暇も無く、咥内に熱いソレが押し込まれる。
そのまま──その切っ先が容赦なく喉奥を突き、苦しさと嗚咽とでぼろぼろと涙が零れる。


「──いい顔だな。
最高。堪らないよ……」


随分と冷静な声。
本当にそう感じているのか──解らない。
僕の頬をひと撫でし、後頭部に移動すると、屋久の腰が大きく動く。


「───っ、! ……ぅ、う″ぇ……!」


胃の奥から迫り上がる、内容物。
尋常じゃない程身体が震え、全身に寒気がし──いつのか解らない、忌まわしい過去の残像だけが蘇る。



『……姫』
『本当は、カンジてんだろ?』
『ハイジの代わりに飼ってやるよ』
『──次は、俺だ』
『オイ、早く回せよ』


やけにくぐもった、男達の声。
まるで、水中に潜っているかのよう。

ガボッ……、
肺の中の空気が全部抜かれ、音を立てて泡が揺らめきながら上昇する。
開いた口。そこに、張り詰めたモノが勢いよく押し込まれる。
そこに僕の意思なんて無い。
上も下も……穴という穴が全て塞がれていき、次から次へと襲ってくる、恐怖と痛み──

カチ、カチ、カチ……
間近で聞こえる、不穏な金属音。
と突然、目の前の暗闇に現れたのは……鋭く光る、カッターの刃先。

──!

その瞬間、硬直する身体。
その刃が空を切り裂き、僕の身体に襲い掛かる。


『──……い、ぁああ″ぁっ、……!』


流れる血、血、血──
どんなに泣き叫んだって……ハイジの元には、届かない。

ヤニ臭い、小さなアパートの一室。
僕の上に跨がる男が僕を押さえつけ、白いキャンバスに絵筆を走らせるように、僕の身体を切り刻んでいく。

流れる血──そこから生まれる、痛みと熱。



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