【本編完結済】爆盛りスイーツから始まる恋のレシピ~陰キャ男子はお菓子作りでボッチ回避に成功しました~

ぷかり

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みっちりバスクチーズケーキ5

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 チーズケーキというものは、はしっかり冷やす必要があるらしい。
 最低でも二時間、できれば一晩冷蔵庫に置いてやるのが良いとされているけれど、作ったらその日のうちに食べちゃいたくなるのが自然の摂理ではなかろうか。

 というわけで、晴人伝手に頼んで集合時間をちょっと早くさせてもらった土曜日の午前八時。
 チャイムが鳴ってインターホンを覗くと、ナオくんと大志くんが手を繋いで玄関前に立っていた。

「いらっしゃい」

 扉を開けて出迎えれば、

「シオちゃん!」
「よお」

 大志くんの手を離れたナオくんが飛びついてくる。

「朝早くからありがとうね」
「いっぱい一緒にいれてうれしい!」

 無邪気な笑顔が眩しい。

 それを一歩後ろから見守る大志くんの目にも、この毒気のない様子がキラキラして映っているのか、

「直人、犬みてぇ」

 意地悪を言いながらも、ナオくんを見つめる眼差しはどこまでも柔らかい。

 こういうところは兄弟じゃないのに、子供たちを送り届けてくれた晴人と似ているんだよなあ。

「今日はよろしくね。また夕方迎えに来るから」

 なんて、まるで父親のセリフなのに板につきすぎて、かえってしっくりきてしまっている。

 時刻は通常より一時間早くても流れは同じ。
 部活のため学校へ向かう晴人を三人で見送ってから、お菓子作りに取り掛かる。

 ナオくんも大志くんもよほどケーキが楽しみだったみたいで、晴人が我が家に背を向けた途端、

「早く! 早く!」
「さっさと中、入ろうぜ」

 前回は姿が見えなくなるまで外にいた癖に、もうこれから作成する予定の甘味に夢中になっていた。

 まだ晴人に聞こえる距離なのに。
 なんだか気の毒でならない。
 しかし、リクエストに応えない限り収まりそうにないコールにあっけなく屈服した僕は、近所迷惑にならないうちにと家の中に彼らを通した。

「仕方ないなあ」

 こういうところが年相応で可愛くて、つい言うことを聞いてしまうんだよね。
 でも、他のことでは良い子だから憎めない。
 今だって僕が促さなくても手洗いうがいまできちんと終わらせて、すでにエプロン着用でスタンバっている。

「シオちゃん、これでチーズケーキになるの?」
「豆腐あるけど大丈夫かよ」

 ダイニングテ―ブルに並んだ材料の少なさに目を丸くするナオくんと、例のダイエット食材に怪訝な顔をする大志くん。

 普段冷奴とかで食卓に上がるものでケーキを作るとか、心配になる気持ちもわからないでもないけど、

「大丈夫だよ」

 とりあえずは自信ありげに頷くことしかできない。

 だって「ダイエット」とか口が裂けても言えないもん!
 万が一にでもそんなことを教えた日には、もれなく自動的に晴人の耳にも入ってしまうことだろう。
 すでに晴人には痩せたことを悟られてしまっているものの、それが努力の結果だとはまだ知られていない。

 どうせ種明かしをするのなら、もっと痩せてからの方が良いに決まっている。
 せめてバレンタインまでは隠し通したいんだ。

 そんな強固な意志を以って、

「ささ、ちゃっちゃと始めちゃおうか」

 これ以上深く突っ込まれる前に、二人に泡だて器を握らせた。
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