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第97話:丁寧な挨拶
しおりを挟む愛那はライツに声をかけて手を離してもらい、リオルートに向かい微笑んだ。
そして右足を後ろに下げて両手でスカートの裾をつまみ、少し持ち上げ膝を曲げて腰を深く下ろす。
「初めまして。マナ・サトウエです。ライツ様のお兄様にお会いできて嬉しく思います」
(だ、大丈夫だよね! ナチェルさんに習った通り、うまく出来たと思う!)
「丁寧な挨拶をありがとう。私もライツの大切な女性に会えて、とても嬉しく思うよ」
笑顔でリオルートが挨拶に応えてくれて愛那は安心する。
(ん? え~と、私はお兄様にどういう認識をされているのかな?)
救世主だと知られているのだろうかと愛那が悩む。
(なんだかライツ様の彼女みたいな紹介になっていませんか? 嬉しいけど違いますよ?)
「私の妻と子供たちに紹介する前に、三人だけで話がしたいな」
そう言ってリオルートが傍にいる自分の側近へ目線をやる。
するとその側近が頷き、リオルートとライツ、愛那を残してこの部屋にいた者全てが退出していく。
(ああ、ナチェルさん、ハリアスさんとモランさんも行っちゃった)
扉が閉じて三人だけになると、微笑んでいたリオルートの顔が真面目なものになり、スッと片膝をつき愛那に向かって頭を下げた。
(ええっ!?)
「救世主様。遠きこの地までようこそいらっしゃいました。ルザハーツ家当主として、貴方様を心より歓迎いたします」
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