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第120話:運命の恋人なんてふざけた神託
しおりを挟む(とにかく! 運命の恋人なんてふざけた神託は今すぐ撤回して下さいね! 撤回! 絶対ですよ! 撤回してくれるまで私毎日ここに通って訴え続けますから覚悟して下さいね! 以上です!)
それを最後に、言いたいことを言い終えたと、愛那がフウッと息を吐いた。
そしてふと自分がライツの腕を抱え込んだままでいることに気づき、慌てて腕を放し距離を取る。
「ご、ごめんなさい! ライツ様!」
「いや、謝らなくていい。それよりマナ、神との対話は終わったみたいだね」
「ええ! ありがとうございました」
笑顔でそう答えた愛那に、どうしても気になってライツが訊ねる。
「ずいぶん長い間、神様といったい何を話していたんだい?」
「あ、はい! 撤回をお願いしていました!」
微笑を浮かべ、愛那は答えた。
「撤回?」
「はい。運命の恋人なんてふざけた神託を今すぐ撤回して下さいとお願いしました」
(!?)
ライツは驚きのあまり顔から表情が抜け落ちた。
『運命の恋人なんてふざけた神託』という言葉を、ライツの運命の恋人である愛那から言われて頭の中が一瞬真っ白になった。
「私、救世主として魔物討伐を任されたことに関しては、どうなるかはわかりませんが頑張ろうと思っています。ですが、あの王太子が私の運命の恋人だなんて絶対に受け入れられません! 絶対に嫌なんです! あの王太子だって私と同じ気持ちだと思います。だから、神様に撤回をお願いしました」
(・・・・・・え?)
止まっていたライツの頭が回転し始める。
慌てて口を開いて何か言おうとしたが、言葉がなかなか出てこない。
「ちょっと・・・・・・待ってくれ、マナ・・・・・・」
右の掌を頭に当て、呻くようにライツは言った。
「ライツ様?」
「マナ。・・・・・・マナの運命の相手は、レディルじゃない」
「え?」
「マナの運命の相手は・・・・・・俺だ」
(!?)
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