聖女の力が弱まったと告げられ、婚約破棄されましたが——それでも私は真実を求め、証明するために戦います

ただのA

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第3話:暗躍する影

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王宮を後にしてから数日が経った。町の賑わいの中で、私は次第に孤独を感じるようになった。けれども、心の中では誓ったことがあった。私は必ず、自分が聖女であることを証明し、あの場で私を偽りの聖女だと決めつけた者たちの真意を暴く。そのために動かなければならないのよ。

「リリアン様、今、何をなさろうとしているのですか?」
エマの声が背後から響く。私は振り返り、彼女を見つめると、心配そうな目が私を見つめていた。

「エマ、私はこれから神殿に向かおうと思っているの。」私は決意を込めて答える。「神官たちが私を聖女として認めた経緯、そしてなぜ今になって再調査を行ったのか、その真相を必ず解明するわ。」

「それは危険です。」
エマは私の決意を理解しつつも、その目には懸念の色が浮かんでいた。「もし、あの神官たちに疑われていることが事実であれば、反感を買うことになりませんか?」

「わかっているわ。でも、私は黙っていられない。」私は目を鋭くして答えた。「聖女として王国を支えてきた私が、突然疑われて追放されるなんて納得できるわけがないもの。私が本当に偽りの聖女だったのなら、何もかも諦めていい。でも、私にはその証拠がどこにも見当たらない。だからこそ、真実を明らかにしなければならないのよ。」

エマはしばらく黙って考え込み、それから静かに言った。「リリアン様、あなたが危険を冒してまで真実を求めるのなら、私も共に行きます。」

その言葉に、私は感謝の気持ちを込めて頷いた。「ありがとう、エマ。共に行ってくれることに、心から感謝するわ。」


神殿へ向かう途中、町の広場で人々が集まっているのが目に入った。何かが起こったのだろうかと足を止め、近づいてみると、そこには一人の男性が地面に倒れており、周囲の人々はただ見守るだけだった。

男性は顔をしかめ、苦しそうに息を吐きながら、片方の足を押さえていた。血がじわじわと滲み、足元には赤黒い染みが広がっている。

「どうしたんですか?」私は急いで駆け寄り、その男性に声をかけた。

「足が、足が……」男性は言葉を震わせながら、顔を歪めて答えた。「転んで、岩に足をぶつけてしまって……痛い、動けない……」

その足を見ると、靴が血に染まり、膝下の部分がひどく変形していた。骨が露出しており、すぐには動かせる状態ではない。無理に動かそうものなら、更にひどくなるだろう。

「今、すぐに手当てしますから。」私は冷静に声をかけ、手を差し出す。

男性は助けを求めるように、必死に私を見つめた。私は心を決め、足元に膝をつけて、まずは血を止めるために傷口を優しく押さえた。

「少しだけ、我慢してください。」私は言葉をかけながら、深呼吸をして力を込める。傷口が痛々しいが、私はその痛みを和らげるために必死になった。

少しずつ、傷が閉じていく感覚が伝わってきた。骨の部分も戻り、血が止まっていくのがわかる。しかし、完全に治癒するまでにはまだ時間がかかるだろう。

「痛みは少し収まりましたか?」私は彼の顔を見つめながら、そっと尋ねる。

男性は、痛そうに顔をしかめつつも、うなずいた。「ああ、かなり楽になった。助かった……」

「無理に動かさないでくださいね。」私は優しく言った。「まだ完全に回復したわけではありませんから、しばらく安静にしていてください。」

男性は感謝の言葉を口にし、涙を浮かべながら私に頭を下げた。「本当に、ありがとうございます……」

私は微笑んで、「お大事にしてください。」と言い、再び立ち上がった。

──やはり、以前より治癒の力が落ちている。

聖女としての力を使うたびに、以前よりも疲労が増していることを感じていた。王宮にいた頃なら、これほどの怪我ならもっと短時間で治せていたはず。それなのに、今は……

その場を後にし、神殿に向かう足取りが少し軽くなった。助けを求めている人を見て、自然と手を差し伸べたことに、心から満足していた。この力をどう使うべきかはわからないが、ただ困っている人を助けたいという気持ちが湧き上がり、それが私の原動力だと感じた。

神殿の大扉を開けると、静かな空気が広がっていた。神殿内には神官たちが祈りを捧げるために集まっているが、その表情にはどこか隠しきれない緊張が見て取れた。私の足音が、神殿内で響き渡る。

「リリアン様、お待ちしていました。」
一人の神官が私に近づき、冷徹な目を向けてきた。「聖女としての証明を求めることは、あなたの名誉にも関わることです。しかし、どうしても納得いかない点があるようですね。」

その言葉に私は決して怯まず、冷静に答える。「私は聖女として、王国のために祈りを捧げ続けてきました。ですが、突然聖女の称号を剥奪され、追放された。それに納得できるわけがないもの。誰が私を陥れたのか、その真相を知りたいのよ。」

その神官は冷笑を浮かべた。「あなたが何を言おうと、私たちは正当な手続きに従ったまでです。聖女としての力が弱まったとき、私たちが調査をするのは当然のことです。」

その言葉には反論する余地がないように感じたが、心の中で何かが引っかかっていた。聖女としての力が衰えたという理由で調査が行われたが、それが本当に正当な理由だったのか。その微妙な違和感を、私は見逃すわけにはいかないのよ。

「神官様、私の力が衰えたことに、何か別の理由が隠されていませんか?」私は鋭く問いかける。

その神官は目を細め、しばらく沈黙していたが、やがて口を開いた。「それは……関係者には言えないことです。」

その言葉に、私は更に疑念を抱く。だが、今は無理に真実を引き出す時ではない。むしろ、次の一手を考えるべきだろう。

「わかりました。」私は冷静に言い放つ。「では、私はこの神殿から去ります。ですが、必ず再び来ます。そして、その時には全てを明らかにさせていただきます。」

神官たちは何も言わず、ただ私を見送るだけだったが、私はそのまま神殿を後にした。心の中で確信したことがある。私が聖女であることを証明し、この謎を解明することができれば、あの王宮に戻ることができる。

そのために、今は一歩一歩進むのみだ。私は絶対に諦めない。
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