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ボール蹴りに夢中な子ども・キック
七人目の子ども
「ボール蹴りに夢中な子ども・キック」
キックは、寒い季節も半ズボンでいるくらいに、脚が自慢の子どもです。
季節を問わずに靴工場の裏で、ボールをゴールに向かって蹴り飛ばしています。
キックの目標は、ボール蹴りの選手になる事のようですが、その目標の手前にはたくさんの障害物が見えて、簡単にはシュートもさせてくれません。
意地悪をされているかのように、弾かれてしまうのです。
キックは、その度に練習をしました。
ですが、うまくいきません。
汗と、ずっとこらえていた涙が頬を伝います。
キックは、靴工場の外側の壁を蹴りました。
もうやめなよ、と友だちが言います。
キックは、友だちの言葉が辛くてたまりません。
友だちの脚を蹴って、出ていけと叫びます。
キックは、一人になってから、これがさいごのチャンスだと自分に言い聞かせて、ゴールに向かってボールを思いっきり蹴り飛ばしました。
思いっきり蹴り飛ばしたからでしょうか、ボールは、ゴールの上を飛び越えて、靴工場の裏から、外の道へと出ていきます。
キックは、それを追いかけました。
外は障害物だらけです。
忙しい大人たちが険しい顔で早足で歩いていて、車がビュンビュンと風のように走り抜けていきます。
あっ、あぶない。
荒っぽい運転の車が、急に横から飛び出してきた子どもをひいてしまいました。
車は止まりますが、ひき逃げをします。
他人の死に構っている時間なんて、ないのです。
キックは、黙ってそれを見ていましたが、首を左右にふり、ボールを追いかけました。
あのボールは、きっと、どこかへゴールする。
今でもそう思って、自慢の脚を半ズボンから出して、キックは自分が蹴り飛ばしたボールを追いかけて走り続けています。
キックは、自分の目標をずっと追いかけられて、
しあわせな子どもでした。
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