弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり

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ブルーベルからの手紙 ミディアへ

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 ブルーベルはタバサ監修の元、ミディアにも謝罪の手紙を送った。

 内容的には、『初対面なのに馴れ馴れしくして申し訳ありません。あの時は、どうかしていました。従妹であるブルーベルにも謝罪し、何とか許して貰えました。今後は公爵家では絶対に姿を現しませんので、どうかご勘弁下さい』等などと。


 言い訳にならぬよう簡潔に記すように指導され、何度か書き直したものからタバサが選んだものを。
 ミディアとコロネは婚約者だが、ブルーベルとは接点がない為、当主代理としてワッサンモフ公爵家の家令レイアーから、手紙を送ることになった。

 本来ならブルーベルの父である、クリムが送るべきなのだが、彼は「悪いのはコロネだ。ブルーベルはただ、茶会に出たいと思っただけだ」と、娘の過失を認めず怒りを見せた。


 クリムのこの態度により、ますます自分の父親を責任感のなさを感じるブルーベル。
 彼女は自分の非を、隠さず伝えたと言うのに。


 でも…………。
 今までのブルーベルだったなら「さすがお父様。私を庇ってくれて嬉しいわ。そうよね、やっぱり悪いのはコロネよね!」と、受け入れていたことだろう。

 これが毒親教育の影響なのね…………。
 他責的な大人達が、黒歴史(過去の本当にあった怖い話)で聞いた貴族家の没落や、物知らずの娘や息子達を地獄に落としたのだ。自分達ごと纏めて。


 だからこそ……自分が元凶だと分かっていても、切ない気持ちでいっぱいになったブルーベルだ。


 歪んではいるが、愛には違いない。
 けれどそれが、幸福になる可能性は少ない。
 クリムとコーラス以外は、全員それが見えているのに。彼らの娘のブルーベルでさえ、分かりかけているのに。




◇◇◇
 受け取ったミディアは、読む前に躊躇していた。けれど同時に、コロネから届いた手紙を読んだことで、ブルーベルの手紙に目を通したのだった。

『彼女は反省して謝ってくれたわ。私への酷い言葉も、叔父クリムからの影響があったみたいで。(タバサとの)話し合いで、過ちに気付いてくれたみたいなの。だから手紙を読んであげてね』

 そんな感じで。


「そうなんだ。じゃあ、読んでみるか」
 そして読み終えた。

 う~んと悩む、ミディア。
 反省したのは分かった。
 けれど…………。

「ビンタって何? 騎士団とか傭兵じゃないと、こんなことしないよね? いや、騎士団でビンタもあまり聞いたことないけどさ。ワッサンモフ公爵家って武闘派だっけ? これって許さないと、あの子どうなるの?」

 
 普段ノンビリしているミディアは、焦って返事を書いて送った。大事にならないように、今回の騒動のことは親には一切知らせなかった。


『貴女が反省したことは分かりました。なので、今回の件は許します。ビンタの件は不要です。それから僕が公爵邸へ訪問しても、隠れなくて大丈夫ですので。周囲の方も彼女への制裁は不要ですから、どうか普通に暮らして下さい』

 そんな気遣いの返信だった。



「ミディア様、優しい。あんなに不安そうに帰ったのに。さすがちゃんとしてる。以前の私だったら同じ目にあえば、こんなこと書けないし許せないよ。……やっぱり教育の違いなのかな?」

 ブルーベルの呟きに、一緒に手紙を読んでいたタバサが答える。

「教育は関係ないかな、この場合は。彼は心配したんだろ(体罰を受けないか心配で)。良い奴だとは思うぞ。(それかとんでもないチキンか)」


 所々発しない声が出ているタバサとブルーベルは、地下部屋でバーベル上げ訓練をしていた。そこにレイアーが届けた手紙なのだ。


「訓練の方は進んでいるか? 顔付きは幾分マシになったようだが」
「ええ、かなり順調です。コロネお嬢様のビンタくらいなら、問題ないでしょう」

「そうか。(ビンタ検定の)最終試験は、タバサの平手打ちだな?」
「はい。もう少しすれば、イケます」

「そうか。頼んだぞ」
「了解です」


 レイアーの問いに丁寧に答えるタバサ。それを見てブルーベルは思う。

(レイヤーさんは、タバサさんの上司なんだね。お父様には丁寧に接してくれていたけど、これが本当の顔なんだ。いつも感情を抑えた、完璧な執事姿しか見てなかったから、こんな顔があるとは思わなかったよ。……私には貴族は無理だな)



 そんなブルーベルの思いを知らず、彼女ブルーベルを真っ当な令嬢にしようと考えているタバサ。

(こいつ意外と根性あるから、嫌いじゃないぞ。きちんと教育してから毒親とは切り離し、適当な貴族家に入れてやろう)とか思っていた。

 
 バーベルの重さはただ今、5kgずつ。
 他の訓練も順調で、筋肉はコツコツと鍛えられている。

 タバサは、彼女を隠密にする気ではないのだが…………。隠れた才能が育っているようだ。


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