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温かな視線
しおりを挟むいつものように平民専門の洋品店『マルシェリ』へ、古着から作り直しした衣装を持っていくコロネ。
孤児院で暮らす女の子達が考えたデザインで衣装を作ると、好評ですぐに売れていく。
彼女達の「こんな服が着たいの!」と言う憧れが詰まったデザイン帳は、コロネから見ても素敵な夢が詰まっていた。絵本の魔法少女が着るようなフリルがいっぱいの、お姫様のドレスのようなものまであった。
尤もコロネの服も実はリメイクで、侍女達の作った傑作である。本来貴族はお金をかけてドレス等を作り、貴族家の利益を周囲に還元して経済をまわす役割を持つ。
ただ現在はクリム一家がコロネの代わりにそれを行っている為、その部分の貴族の義務は控えている状態である。……と言うか、逆にコロネは赤字解消の為に、還元される側である。トホホッ。
それは、さておき。
最近ではコロネの裁縫の腕は上がり、孤児院の子供達が着たい服を作れるようになった。なのでそれを提案したのだが、彼女達からそれを拒否されていた。
「コロネの作った服は高く売れるから、たくさん売って孤児院にお金が入る方が良いもの。私達の分は自分で縫うから気にしないで」と、そんな風に言われて。
孤児院でも裁縫が上手な子達は、洋品店でアルバイトをしているので、残された子や幼い子らでは上手には作れないのに。
それでも……自分達だけ施されるのは、違うと考えているみたいだ。
「本当に欲しいものは、将来お金を貯めて買うから良いの。素敵なものを洋品店に勤めているお姉ちゃんに作って貰うの」
幼子が、本当に嬉しそうに教えてくれた。
「私も今は(裁縫の)練習中で、シスターに教えて貰いながらみんなの着る服を作っているの。みんなすぐに大きくなるし、動きやすいものの方が良いのよ」
「そうよ、だから気にしないでね」
なんて屈託のない笑顔で話され、納得してしまう。手先が器用ではなくても、簡易な物なら作れる子もそこにはいたからだ。
みんな得手不得手があるようで、裁縫の腕がなくても計算が出来たり、鍛冶屋のような細工が向いていたり、畑仕事が好きだったり、養蜂に興味があったり、将来的にやってみたいことがあるそうだ。
今着る服の順位は、それに比べたら高くはなく、未来に向けて勉強を頑張っているみたいなのだ。
「分かったわ。みんな頑張っているのね。私も負けられないわ」
素敵な服だって着たいと思う。子供の時から優先順位を考えるのは少し寂しいけれど、昔より瞳が輝いているのを見るのはワクワクする。
子供達には子供達の矜持があるのだ。
今必要なのは、資金面だと言われ納得する。
孤児院には、孤児院の運営に関心のある有志者達から、いろんな物が寄付されている。
孤児院に集められた布で服を作ると、その一割が孤児院に入るようになっているので、子供達はそれを期待しているのだ。
(任せておいて。絶対教育費分は稼いで来るから!)
プレゼントの代わりに寄付を頑張ろうと思うコロネは、新たな商売を思い付いていた。
そんな彼女を見つめる瞳があった。それはとても優しくて、切なそうで、温かなものだった。
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