47 / 119
ブルーベルとサイダー夫妻
スライストの懸念していた、チェロスト子爵家のサイダー夫妻とは話し合い、当主の補佐は外れて貰っていた。
元々当主はクリムであり、役職にも就いていない彼らに責任はない筈なのだ。
ただ彼らの臨時権限で『男爵家の会計士、ライス』を雇い入れて貰った。スライストはチェロスト子爵家の会計などを担当し、税金その他の仕切りを行うことになった。
クリム一家がいない今、領地収入は良好であり、不作や増水被害などもスライストの知識で対応し熟しているので、何も問題がない。
領地で収穫した農作物や乳製品、肉類をサイダー夫妻の商会に売却し、その商会で加工品や輸出することで利益は出せている。
今までのように足元を見られ、他商人に農作物などを買い叩かれることがなくなった。
商会には領民もおり、働く場所が増えれば人も集まることになり、過疎化も防げている。
もしクリム一家の使用した資金をセサミが請求しても、責任はクリム達にある。邸、領地、税収、爵位などを売却し、責任を取らせれば良い。
農地の多いこの場所を買う貴族は、多くないだろう。もっぱら売れているのは加工品の方だから。
何れサイダー夫妻の力で、買い取ることもできるだろう。そうなれば当主はサイダー夫妻が就くでも良いし、爵位を持たぬまま商人として生きるのも良い。
領民達はきっとサイダー夫妻を、当主に望むことだろうけれど。
チェロスト子爵領がなくなれば、南の島への送金も止まることになる。その時に前子爵がどうするかも、サイダー夫妻の責任ではない。
まあこれは最悪のことで。
セサミが料金の請求など、しないかもしれない。
ただサイダー夫妻には、コロネとスライストとミカヌレ、モロコシとモロコシの冒険者ギルド、
今はまだ利くワッサンモフ公爵家の力と、コロネ達に協力してくれるチェルシーやルチーズ、孤児院(の子供達やシスター、神父)や鍛治師、
洋品店、フルーツパーラー、馴染みになった銀行などと協力者は多い。
それにコロネが言えば、ワッサンモフ公爵家の隠密達と、仲間に加わったブルーベルもいるのだ。
ブルーベルは既にサイダー達に謝罪し、許しを得ている。
「今まで我が儘に振る舞い、大変失礼致しました。本当に申し訳ありません。そして……私が言っても両親の散財は止まらないのです。重ね重ね、ご心痛をおかけします」
こんな感じで頭を下げる彼女。
2年間なら考えられないブルーベルの姿に、驚愕したサイダーとジンジャーだ。彼らの娘、レモナと息子、ブルネルも驚いていた。
「爵位のない平民の癖に」などと、さんざん馬鹿にされていたからだ。
けれど……礼儀正しく謝罪する、辛そうな面持ちは彼らの心にも届いた。
(あぁ、彼女は変わったのね。顔付きが違うもの)
(今までと雰囲気が違うな。公爵家でいろいろと学んだみたいだ)
だから親子で相談し、彼女だけは許すことにしたのだ。
ブルーベルは微笑んで感謝し、チェロスト子爵家の復興の援助を約束した。
「私で出来ることがあれば、何でもします。仰って下さい」
彼女の隣にはタバサがいて、彼女を見守っていた。
(ああ、彼女には頼れる人が出来たのだ)
それが分かって、心が暖かくなるサイダー達。
「その時はよろしくお願いするわね、ブルーベル。姪なのだから、そこまでの敬語はいらないわ」
サイダー一家に受け入れられて、「っ…良かったぁ……ありがとう、ございます」と口に手を当てて、涙を堪えるブルーベル。
許して貰えないと思っていた。
だから余計に嬉しかった。
今さらながら自分の振る舞いを恥じ、お世話になってきたことを思い出していた。
元々当主はクリムであり、役職にも就いていない彼らに責任はない筈なのだ。
ただ彼らの臨時権限で『男爵家の会計士、ライス』を雇い入れて貰った。スライストはチェロスト子爵家の会計などを担当し、税金その他の仕切りを行うことになった。
クリム一家がいない今、領地収入は良好であり、不作や増水被害などもスライストの知識で対応し熟しているので、何も問題がない。
領地で収穫した農作物や乳製品、肉類をサイダー夫妻の商会に売却し、その商会で加工品や輸出することで利益は出せている。
今までのように足元を見られ、他商人に農作物などを買い叩かれることがなくなった。
商会には領民もおり、働く場所が増えれば人も集まることになり、過疎化も防げている。
もしクリム一家の使用した資金をセサミが請求しても、責任はクリム達にある。邸、領地、税収、爵位などを売却し、責任を取らせれば良い。
農地の多いこの場所を買う貴族は、多くないだろう。もっぱら売れているのは加工品の方だから。
何れサイダー夫妻の力で、買い取ることもできるだろう。そうなれば当主はサイダー夫妻が就くでも良いし、爵位を持たぬまま商人として生きるのも良い。
領民達はきっとサイダー夫妻を、当主に望むことだろうけれど。
チェロスト子爵領がなくなれば、南の島への送金も止まることになる。その時に前子爵がどうするかも、サイダー夫妻の責任ではない。
まあこれは最悪のことで。
セサミが料金の請求など、しないかもしれない。
ただサイダー夫妻には、コロネとスライストとミカヌレ、モロコシとモロコシの冒険者ギルド、
今はまだ利くワッサンモフ公爵家の力と、コロネ達に協力してくれるチェルシーやルチーズ、孤児院(の子供達やシスター、神父)や鍛治師、
洋品店、フルーツパーラー、馴染みになった銀行などと協力者は多い。
それにコロネが言えば、ワッサンモフ公爵家の隠密達と、仲間に加わったブルーベルもいるのだ。
ブルーベルは既にサイダー達に謝罪し、許しを得ている。
「今まで我が儘に振る舞い、大変失礼致しました。本当に申し訳ありません。そして……私が言っても両親の散財は止まらないのです。重ね重ね、ご心痛をおかけします」
こんな感じで頭を下げる彼女。
2年間なら考えられないブルーベルの姿に、驚愕したサイダーとジンジャーだ。彼らの娘、レモナと息子、ブルネルも驚いていた。
「爵位のない平民の癖に」などと、さんざん馬鹿にされていたからだ。
けれど……礼儀正しく謝罪する、辛そうな面持ちは彼らの心にも届いた。
(あぁ、彼女は変わったのね。顔付きが違うもの)
(今までと雰囲気が違うな。公爵家でいろいろと学んだみたいだ)
だから親子で相談し、彼女だけは許すことにしたのだ。
ブルーベルは微笑んで感謝し、チェロスト子爵家の復興の援助を約束した。
「私で出来ることがあれば、何でもします。仰って下さい」
彼女の隣にはタバサがいて、彼女を見守っていた。
(ああ、彼女には頼れる人が出来たのだ)
それが分かって、心が暖かくなるサイダー達。
「その時はよろしくお願いするわね、ブルーベル。姪なのだから、そこまでの敬語はいらないわ」
サイダー一家に受け入れられて、「っ…良かったぁ……ありがとう、ございます」と口に手を当てて、涙を堪えるブルーベル。
許して貰えないと思っていた。
だから余計に嬉しかった。
今さらながら自分の振る舞いを恥じ、お世話になってきたことを思い出していた。
あなたにおすすめの小説
いらない子のようなので、出ていきます。さようなら♪
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
魔力がないと決めつけられ、乳母アズメロウと共に彼女の嫁ぎ先に捨てられたラミュレン。だが乳母の夫は、想像以上の嫌な奴だった。
乳母の息子であるリュミアンもまた、実母のことを知らず、父とその愛人のいる冷たい家庭で生きていた。
そんなに邪魔なら、お望み通りに消えましょう。
(小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
国から追放された長女は、生きたいそうです。
ぷぎゅ
ファンタジー
ある日前世の記憶を思い出した、王家ルートヴィッヒ家の長女マリーは「このままでは断罪され、命がない」と悟る。
追放される事は遅かれ早かれ変わらない。そう考えた彼女は、追放されるまでの日々を、生き残る術を身に着けて過ごす事にした。
ついに追放された日。彼女は旅へと出る。
彼女の未来はどう変わるのだろうか?
□□□□
毎日 12時/21時 1日2話更新 予定
※できなかったらどこかで調整します。
「その薬草は毒かもしれぬ」と追放された令嬢薬師——領地に疫病が広がったとき、彼女の薬草園はもう枯れていた
歩人
ファンタジー
侯爵令嬢リリアーナは、母から受け継いだ薬草園「星霜の庭」を守り、領民の病を癒す薬師。
だがある日、新任侍医マティアスが讒言した。
「あの令嬢の薬草は怪しい。毒が混じっているかもしれない」
父も婚約者クラウスも、それを信じた。
追放されたリリアーナが辿り着いたのは、辺境の村ノルトハイム。
老薬草師ヘルダに導かれ、荒れ地に新たな薬草園を拓く。
飄々とした若き領主ルシアンの体には、母から受け継いだ「銀花毒」が二十三年間潜んでいた。
誰にも治せなかったその毒を、リリアーナは治すと決める。
一方、薬師を失った星霜の庭は枯れ果て、疫病が元の領地を襲う。
マティアスの教科書通りの処方は何一つ効かない。
「戻ってこい」——使者が届けた手紙に、リリアーナは静かに答えた。
「わたくしの薬草は、毒でしたか?」