9 / 44
今更だわ…
しおりを挟む
翌年、私は10歳になりました。
少しは背も伸びたんですよ…少しは…
そして、お兄様にも婚約者が出来ましたの!
キャロライン・グリゲイル侯爵令嬢です。 私と同い年なのですよ。
もちろんクリスティアナも去年、クロード・ローウェン侯爵子息と婚約。
私はそのクリスティアナの紹介で、ミリアンナ・マーヴェル伯爵令嬢ともお友達になれました。
今日のお茶会で、キャロラインのお友達を紹介して貰うんです。
確かお名前はスザンヌ・ドランダム公爵令嬢ですわ。
皆、同い年で嬉しいなぁ。
「スザンヌ・ドランダムと申します。カストリア家のお茶会に呼んで頂いて、とても嬉しいですわ」
「フェリシア・カストリアです。お会い出来て光栄ですわ。私の事はフェリシアと呼んで下さると嬉しいです」
「では、私の事もスザンヌと呼んで下さいね」
そう言って…にっこり笑った顔が、とても可愛らしい少女でした。
そうして5人でのお茶会を何度か催していたのですが、我が家でやるときは毎回の様に殿下方が来るものだから、他の4人のお屋敷でする様にしていたら……まったく…はぁぁ…
自分達が参加出来ないからと、全員に王宮への招待状が届いたのよ…
その内、ヴェルド殿下は側近候補を2人、クィンザ殿下は御友人を1人連れて参加する様になって、10人程のそこそこ中規模的なお茶会になっている。
男女交えてのお茶会なので、時折お兄様も参加する様になりました。
ゲイルはもちろん、相手をするのが面倒臭いと疾風のままで参加です。
王宮に呼ばれた時だけは、姿を消して付いて来てくれていますが…
そしてクィンザ殿下の御友人、トリスタン・アヴァイン公爵子息とスザンヌ・ドランダム公爵令嬢が婚約。
翌年にはヴェルド殿下のもう1人の側近候補、シルグランド・ケルンスト侯爵子息とミリアンナ・マーヴェル伯爵令嬢が婚約した。
まぁ、これだけ一緒にお茶会で顔を会わせていれば、好き合うのも仕方ない事ではあるなぁ…
殿下方を見ればある程度分かると思いますが、この国は比較的自由恋愛が許されているのです。
更に時は流れて今、私は15歳になりました。
9歳の時に、フェンリルの加護を貰い…陛下とお父様、そして私の3人での契約を交わして以来、安心していたのか…ゲームの事を考えない生活をしていた。
けれども最近、お茶会メンバーの男性陣の顔が段々…あの時映像で見たものに近付いて来てやっと気付いた…
皆、攻略対象者だったのだ…
名前とかはよく覚えていなかったから迂闊だったわ。
あと居ないのは、留学生である隣国の第2王子だけである。
「フェリシア? どうしたんだ?」
「ヴェルド殿下……何でもありませんわ…」
「熱でもあるのでは?」
クィンザ殿下が額に手を当ててくる。
「体調は悪くありませんのよ…今度の魔力検査の事を考えていて…つい」
今日は王宮で3人だけのお茶会です。
お2人は相変わらず優しい…
他の攻略対象者達も私に紳士的だわ…
この人達が、いつかあのゲームの様になってしまうなんて…
やっぱりおかしい…他の方々もそれぞれ婚約者に対して紳士的ですもの。
私はともかく、皆は政略的な婚約関係では無いのだものねぇ…
もしかして、これも今までとは違う所なのかしら…?
攻略対象者の婚約者までは覚えていませんし…
「あの……色々気になりまして、今日はお暇しても宜しいでしょうか?」
「ああ。帰ってゆっくりした方がいい」
「ええ。兄上、今日は僕が送って行きます」
「そうだな、俺はこの後、学園の用事があるから頼む」
「無理を言って申し訳ありません…」
「いや…俺で分かる事なら教えるからな…? 気に病む前に言えよ?」
「はい」
「ではフェリシア。行きましょうか」
「ええ」
私はそのまま、クィンザ殿下に送って頂きました。
屋敷に戻ると、疾風が姿を現して話しかけて来た。
『今日は気も漫ろだったな』
「ええ…久しぶりにゲームの事が気になってしまって…」
『あゝやはりか…もう断頭台へ送られても死なないと思うが…何が気になるのだ?』
「ヴェルド殿下の側近2人と、クィンザ殿下の友人は攻略対象者だった」
『まぁ、驚きはしないな…お前の周りに集う時点で可能性は高かったし』
「あの優しい人達が、何故人が変わったかの様になるのかしら…」
『考えられるとすれば……魅了魔法か洗脳だな』
「魅了魔法……」
疾風が傍に来て寝そべる…
私も座り込んで疾風に凭れ掛かる…フカフカで気持ち良い…
「でも、魅了ってそんなに強力なの? 権限も無いのに裁判もしないで処刑してしまう程?」
『恐らく魅了を掛けた上で、言葉巧みに洗脳してしまうのだろう』
(そんな……それじゃあヒロインって、悪役そのものじゃない…)
『ゲームであれば、それで良かったのだろうな…』
「悪役令嬢を断罪して、ヒロインが幸せになるゲームだものね…」
『その後も続くのであれば、幸せかどうか…国が傾くかも知れんな…』
「ええっ!?」
『当然だろう…? 下位貴族の底辺だぞ…男爵位は。 その令嬢が成人してから王妃教育を受けたとしても、身に付く訳が無い』
「そうか……だから吸収しやすい年齢から学ばないといけないんだ」
『まぁ心配するな。 知らない事とは言え、何年も俺と接して来たんだ…易々と魅了魔法等には掛からんよ』
「そうなの!?」
『お前……俺が神獣だと分かってるか? 全員の近くに居たから、精神系の魔法耐性は上がっている筈だ』
「ちょっと待って…じゃあ、今一番危険なのって…残りの攻略対象者?」
『他にも居るのか!?』
「…隣国の第2王子……」
少しは背も伸びたんですよ…少しは…
そして、お兄様にも婚約者が出来ましたの!
キャロライン・グリゲイル侯爵令嬢です。 私と同い年なのですよ。
もちろんクリスティアナも去年、クロード・ローウェン侯爵子息と婚約。
私はそのクリスティアナの紹介で、ミリアンナ・マーヴェル伯爵令嬢ともお友達になれました。
今日のお茶会で、キャロラインのお友達を紹介して貰うんです。
確かお名前はスザンヌ・ドランダム公爵令嬢ですわ。
皆、同い年で嬉しいなぁ。
「スザンヌ・ドランダムと申します。カストリア家のお茶会に呼んで頂いて、とても嬉しいですわ」
「フェリシア・カストリアです。お会い出来て光栄ですわ。私の事はフェリシアと呼んで下さると嬉しいです」
「では、私の事もスザンヌと呼んで下さいね」
そう言って…にっこり笑った顔が、とても可愛らしい少女でした。
そうして5人でのお茶会を何度か催していたのですが、我が家でやるときは毎回の様に殿下方が来るものだから、他の4人のお屋敷でする様にしていたら……まったく…はぁぁ…
自分達が参加出来ないからと、全員に王宮への招待状が届いたのよ…
その内、ヴェルド殿下は側近候補を2人、クィンザ殿下は御友人を1人連れて参加する様になって、10人程のそこそこ中規模的なお茶会になっている。
男女交えてのお茶会なので、時折お兄様も参加する様になりました。
ゲイルはもちろん、相手をするのが面倒臭いと疾風のままで参加です。
王宮に呼ばれた時だけは、姿を消して付いて来てくれていますが…
そしてクィンザ殿下の御友人、トリスタン・アヴァイン公爵子息とスザンヌ・ドランダム公爵令嬢が婚約。
翌年にはヴェルド殿下のもう1人の側近候補、シルグランド・ケルンスト侯爵子息とミリアンナ・マーヴェル伯爵令嬢が婚約した。
まぁ、これだけ一緒にお茶会で顔を会わせていれば、好き合うのも仕方ない事ではあるなぁ…
殿下方を見ればある程度分かると思いますが、この国は比較的自由恋愛が許されているのです。
更に時は流れて今、私は15歳になりました。
9歳の時に、フェンリルの加護を貰い…陛下とお父様、そして私の3人での契約を交わして以来、安心していたのか…ゲームの事を考えない生活をしていた。
けれども最近、お茶会メンバーの男性陣の顔が段々…あの時映像で見たものに近付いて来てやっと気付いた…
皆、攻略対象者だったのだ…
名前とかはよく覚えていなかったから迂闊だったわ。
あと居ないのは、留学生である隣国の第2王子だけである。
「フェリシア? どうしたんだ?」
「ヴェルド殿下……何でもありませんわ…」
「熱でもあるのでは?」
クィンザ殿下が額に手を当ててくる。
「体調は悪くありませんのよ…今度の魔力検査の事を考えていて…つい」
今日は王宮で3人だけのお茶会です。
お2人は相変わらず優しい…
他の攻略対象者達も私に紳士的だわ…
この人達が、いつかあのゲームの様になってしまうなんて…
やっぱりおかしい…他の方々もそれぞれ婚約者に対して紳士的ですもの。
私はともかく、皆は政略的な婚約関係では無いのだものねぇ…
もしかして、これも今までとは違う所なのかしら…?
攻略対象者の婚約者までは覚えていませんし…
「あの……色々気になりまして、今日はお暇しても宜しいでしょうか?」
「ああ。帰ってゆっくりした方がいい」
「ええ。兄上、今日は僕が送って行きます」
「そうだな、俺はこの後、学園の用事があるから頼む」
「無理を言って申し訳ありません…」
「いや…俺で分かる事なら教えるからな…? 気に病む前に言えよ?」
「はい」
「ではフェリシア。行きましょうか」
「ええ」
私はそのまま、クィンザ殿下に送って頂きました。
屋敷に戻ると、疾風が姿を現して話しかけて来た。
『今日は気も漫ろだったな』
「ええ…久しぶりにゲームの事が気になってしまって…」
『あゝやはりか…もう断頭台へ送られても死なないと思うが…何が気になるのだ?』
「ヴェルド殿下の側近2人と、クィンザ殿下の友人は攻略対象者だった」
『まぁ、驚きはしないな…お前の周りに集う時点で可能性は高かったし』
「あの優しい人達が、何故人が変わったかの様になるのかしら…」
『考えられるとすれば……魅了魔法か洗脳だな』
「魅了魔法……」
疾風が傍に来て寝そべる…
私も座り込んで疾風に凭れ掛かる…フカフカで気持ち良い…
「でも、魅了ってそんなに強力なの? 権限も無いのに裁判もしないで処刑してしまう程?」
『恐らく魅了を掛けた上で、言葉巧みに洗脳してしまうのだろう』
(そんな……それじゃあヒロインって、悪役そのものじゃない…)
『ゲームであれば、それで良かったのだろうな…』
「悪役令嬢を断罪して、ヒロインが幸せになるゲームだものね…」
『その後も続くのであれば、幸せかどうか…国が傾くかも知れんな…』
「ええっ!?」
『当然だろう…? 下位貴族の底辺だぞ…男爵位は。 その令嬢が成人してから王妃教育を受けたとしても、身に付く訳が無い』
「そうか……だから吸収しやすい年齢から学ばないといけないんだ」
『まぁ心配するな。 知らない事とは言え、何年も俺と接して来たんだ…易々と魅了魔法等には掛からんよ』
「そうなの!?」
『お前……俺が神獣だと分かってるか? 全員の近くに居たから、精神系の魔法耐性は上がっている筈だ』
「ちょっと待って…じゃあ、今一番危険なのって…残りの攻略対象者?」
『他にも居るのか!?』
「…隣国の第2王子……」
4
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
そちらがその気なら、こちらもそれなりに。
直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。
それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。
真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。
※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。
リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。
※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。
…ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº…
☻2021.04.23 183,747pt/24h☻
★HOTランキング2位
★人気ランキング7位
たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*)
ありがとうございます!
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。
乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。
唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。
だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。
プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。
「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」
唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。
──はずだった。
目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。
逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる